1. 探究型学習 (1)

探究型学習と聞いてまず思いつくのは、目下自分自身が所属する大学で取り組んでいる『Independent Study Program』である。

俗にISと呼ばれるのだが、これを日本語に訳すと、「自由研究」と訳されるようだ。自由研究というと急にとても聞き馴染みのある言葉である。誰もが小学校や中学校でやったものだ。しかし、卒論としてやっているISと自由研究とはもちろんやることが甚だ違う。探究度の深さが違うというべきか。

まず、「じゃ、やってきて」と投げやりに渡される自由研究とは違い、ISにはJunior ISという準備期間が三年生の1年間をかけて行われる。

その準備期間で心理学専攻の自分が学んだことは以下のことだ。

0. 統計の取り方(心理学専攻は1又は2年生の時に行う)
1. 仮説の立て方
2. 文献の調べ方
3. 文献のまとめ方

特別0.2.3の三つは入学した時からしっかりとしたトレーニングがされたが、1の仮説の立て方は個人的に全く教えられなかった。論文を毎週毎週いくつも読んであとは自分で読んだ論文と知識をつなぎ合わせて仮説を立てるしかなく、Creativityが必要とされた。こういうトレーニングを全くやってこなかった日本人の俺としては非常に骨が折れた。

四年生の研究時には、生徒一人一人に研究テーマにもっとも近い分野が専門の教授がついて毎週ミーティングをもちアドバイスをくれる。自分のたてた仮説がなぜ成り立つかをサポートする文献を見つけつなぎ合わせてまとめるのが非常に大変な作業であるのだが、経験・知識豊富な教授たちのサポートは非常に役に立った。

日本の教育制度は俺から見るといつもとても雑な感がある。他の国でいいとされているシステムをそのシステムのバックグラウンドやコンテクストを全く無視して、そのまま現場に放り込むくせがある。
単に自由研究をやるにしても、小中学生にはしっかりしたインストラクションが必要であるだろう。

教師の作業の限界いうことを無視していうならば、夏休みの自由研究にはその夏休み前に「どんなテーマで研究し」「どう調べてゆくか」夏休み前に一度発表会を持ってみるのが、この自由研究を充実させる簡単な手立てであるように思う。