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その症状、紹介するか?経過をみるか?

皆さまこんにちは。

柔道整復師の鈴木(@s_0645)です。


あけましておめでとうございます。

令和3年に差し掛かりましたが、昨年はどんな1年でしたか?


僕は国家試験を取得し、現場にでて昨年で5年目になりました。(今年で6年目…)

5年目が経ち、仕事に関しては様々な変化が出てきている状況ではあるのですが、中でも”医師に紹介するケース”がその一つになります。

今年になって、医師の先生に紹介させていただくケースが昨年と比較して極端に増えました。(症例に関しては失敗例も含めて後述・紹介致します。)

で、紹介させていただくにあたり思うこと・考えさせられることが多々ありまして…
今回はそれを記事として綴っていきます。


「コイツの頭ん中こんな感じなんか…」

と”鼻〇ソを小指でほじりながら”軽~く読んでいただければ幸いです。


▶なぜ、紹介する事が増えた?

・twitter
・エコー

簡単に挙げるとするのなら上記が2つの理由です。

まず1つ目、twitter。

一見、関係ないように見えます。(だって、臨床とSNS。)
が、ここで良くも悪くも様々な情報に日々触れさせていただいています。

基礎的なことから、症例や症状に関すること、red-flags等々…
様々な情報に触れられているからこそ、ある程度の線引きができるようになったのかな…と感じています。
(かといってそれに頼りきりになるのではなく、自分でしっかり情報収集やインプットしていくことがさらに大事。さらにアウトプット…)

2つ目、エコー。

これもどちらかというとtwitterがきっかけですね。エコーについて発信している先生方のおかげで判断材料としてエコーを使うこと、勉強することがかなり増えました。
 → 実際、昨年と比較して10倍以上エコーを使用した回数が増加

エコー2

※画像はイメージです。


エコーはその時の状況をそのまま可視化できるので説明する際に重宝しています。
(但し、筋の位置関係や描写している筋は何筋か?、また骨のどの部分か?をしっかり説明できるようにならないといけません。)

エコーで観察することで患側(痛い方)と健側(痛くない方)の比較ができるので、異常が発見できれば症例次第では医師の元へ…


他にあるとすれば、確認させていただく中で「これは一度診断いただいた方がいいかも…」と思い、それを視野に経過観察をした時です。
経過観察についても最近、というか今年それについて思うこと、考えさせられたことが多々ありましたので次の項にて↓


▶それは経過を観察すべきなのか?

確認・検査等を行ったうえで”これは??”と思った場合、”医師のもとへ紹介した方がいい。”と考えております。

但し、エコー上で明らかな不整像やred-flagsに該当する者は除く。あとは骨折や脱臼の整復後。
→ なぜなら、それらは”医師の元に紹介し、精密検査を受けるべき”事項だからです。
 上記はあくまで判断に迷った場合、判断が困難な場合です。

実際にあった例を記しますと↓

・40代男性。肩の痛みで来院。


 患側上肢の挙上や外転動作が制限されている状況でした。いくつか検査等を行ったうえで、「もしかしたら腱板やっているかもしれない…」と感じたからです。
 そこで院長に相談したところ、紹介について拒否されました。一度経過・様子をみてくれ、と。

結果的に改善に向かったようですが、正直納得いっていませんでした。
かといって、偉そうに言える立場ではないですし、院長の考えがあるのも事実なのでそれ以上踏み込みませんでしたが…

で、この症例でなぜ紹介に踏み込もうとしたか?


ここ重要です。
(肩動かないですね…病院行きましょう!な訳がないので。)


肩の可動域(GHをはじめとする肩関節複合体、肩甲胸郭機能)・腱板の検査・痺れの有無・病歴・既往歴・仕事や運動等々聞いて確認したうえでの判断に加えて、その数か月前に他の患者様で医師に紹介して腱板断裂だった…という症例があった為、それも視野に入っていました。
だからこそ、僕の頭の中に”もしかしたら…”があったので紹介しようとした相談したわけです。


柔道整復師は応急処置として整復や、捻挫・打撲・挫傷等の”判断”はできますが”診断”はできません。
だからこそ、時として医師の先生方に診断していただくことが重要なのです。(それが治療方針にも関わります)

大事なことなのでもう一度。



診断できるのは医師の先生だけ。



少し変わりますが、

red-flagsについて把握すること。

これも重要です。


”腰痛診療ガイドライン2019 改訂第2版”に腰痛に関して様々な情報があります。
内容は腰痛に関するガイドラインなのでred-flagsも腰痛のものですが…あとは診察の手順(プロトコル)ですね。
これは他の症例にも当てはめることができるほど非常に参考になります。


(但し、あくまで参考です。)



▶医師のもとへ紹介した症例(簡単に)
(2020年12月現在)

※左側が来院時確認させていただいた状況、右が医師の診断

左上肢の痺れ(TOS、肘部管の疑い) → 肘部管症候群
左肘(上腕骨内側上顆の骨折の可能性あり) → 左上腕三頭筋肉離れ
頸部痛(神経症状あり、TOS等疑い) → C4/5間に骨棘&頚椎椎間板ヘルニアによる神経根症
腰痛(慢性化) → L5腰椎分離症(分離期)
右肩関節前方脱臼整復後(反復性脱臼) → 骨性バンカート損傷あり
右肘、上腕骨内側上顆剥離の疑い → 上腕骨内側上顆・骨軟骨障害
右L4腰椎分離症の疑い → 腰痛(レントゲンやMRIでも異常なし)
右母趾基節骨遠位部骨折の疑い → 右基節骨骨折の確定診断
左膝・ACLまたはLM損疑い
 → LM損傷並びにLM周囲にガングリオン
 → LM損傷(内視鏡で確認だが未決定、患者様本人の意思による)
右膝ベーカー嚢腫の疑い → 右膝・多包性ベーカー嚢腫
右肩ヒルサックス損傷の疑い → 右腱板断裂
右肘OCD、肘後方インピンジメントの疑い → 右肘・関節内遊離体、後方インピンジメント
左中手骨基部骨折の疑い → 左手CM関節捻挫
右肘・内側上顆剥離骨折の疑い → 右肘内側骨軟骨障害

他、紹介というより整形受診を促したケース(診断結果)
・鎖骨骨折(小児)
・腱性マレットフィンガー


こうやって見るとまあ、判断力の乏しいこと。
もっと見極める力をつけないと…(見極めて線引きができるように)



▶紹介させていただいた中で最も考えさせられた事例

前項で今年、医師の元へ紹介した例はざっとあんな感じです。

しかし、この中で最大の失敗があります。それが↓


腰痛(慢性化) → L5腰椎分離症(分離期)


これ最悪なパターン…


終末期まで行ってしまっているので、骨癒合は不可能です。
 → ちなみに分離症の場合は、”炎症期”であれば骨癒合が見込めます。

ある中学生男子・水泳をしていて負傷したケース。
治療を行っていく中で、疼痛が中々引かない。これは長期化すると感じ、アプローチ・運動指導も慎重に行っていました。
日もある程度経ってきたが、痛みがまだ残っていて保護者の方も長期化する痛みに不安を抱いている。


で、最終的に精密検査を受けていただくことに。
結果は上記の通り。

この時大会が近くにあり、結果は自己ベストだったらしいのですが…




正直喜べませんでした。



ろくな判断をせずに引っ張った結果、ずっとケガと付き合わせてしまうことになったからです。途中、というか早い段階でしっかりと評価と検査を行っていれば…と今でも思います。

画像2

冷静に考えれば長期化するな…と思った時点で構造上の問題がないかの確認をすべきだったんですよね。


▶それは患者様の利を考えての判断か?

医師の元へ紹介すると、

①接骨院での治療を継続していくケース
②医師の元(病院や整形外科)で経過をみていくケース

とがあります。

後者の場合、接骨院には来ることはなくなります。
ここで考えていただきたいのが、


接骨院に来なくなることをあまりよく思わないかのように言う人。
(正直、僕もこの思考が以前ありました。)


それって、患者様のことを考えての発言なのでしょうか?
(そうでなければ、自分たちの利でしか考えていない単なるエゴです。)


医師に診断をいただくことではっきりとした状況がわかる。
来なくなる=医師が「経過をみる必要がある。」と判断したという事。

そもそも、医師ありきの資格であることを忘れてはいけません。


僕ら柔整は応急処置として骨折・脱臼の整復ができますが、そのあとは合併症の有無やしっかり整復がなっているか?の確認で必ず医師の診察が必須です。



「患者さんが来なくなるよね?」


それがどうした?


下手にズルズルいって患者様に不安な思いをさせるくらいなら医師の元へ紹介して詳細な情報を伺た方がいいと感じます。

それに

患者様がしっかりとした医療を受けられるのであればそれが最善だと感じていますし、こちら側もある意味提供する側です。


▶上記までを踏まえて、あるシステムの着手

前項までに「あ~だこ~だ」とわめいてきましたがこの考えが「ある所」でシステム化しようとしています。

それが、

母校(高校)の部活です。

現役時代からお世話になっているトレーナーからの意向で、万が一選手にケガや障害がみられた場合に医師に診察を受けてもらって、その診断をもとに病院または接骨院で治療や復帰までの運動を行っていく。というもの。

前項までの行い・特に最近その傾向にあるのですが、それはこの着手の影響かなと考えています。


僕の場合、そういったメディカルの”繋ぎ目”という立場になりますが、時としてグランドでの対応、臨床での対応もすることになるでしょう。

という事は、チームとメディカル(医師、他の医療=僕の場合柔整)、トレーナーと密な連携を取らなければなりません。


そしてそれは何のために?


選手を守るため。


これが第一です。選手のケガに迅速に対応して早期復帰を図る。ケガが減って練習を休むことなく取り組むことができる。


まわりまわってチームが勝つために。
となるのでしょうが”選手を守る”ことが第一。


それは院内でも同じことが言えるなと感じました。
(選手の所が来院してくださった患者様に代わるってことです。)

red-flagに触れている、一度医師の先生に診ていただいた方が…と感じた場合は紹介した方がいいかと存じます。


▶終わりに

今回の記事はこの辺で終わりになりますが、5年目という節目の年であり、本当に考えさせられた1年だったなと綴っていて思います。
自戒を込める形になりますが、患者様のことを本当に考えて対応しようとするのなら

きちんと判断できるようになるべき

です。

判断できぬままズルズルと行ってしまうと患者様に不安感を与えてしまいかねないので…


もっともっと精進せねば。




ではこのへんで。
購読いただきありがとうございました。


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