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ABEMAトーナメント2024 予選Cリーグ第二試合

6月22日、ABEMAトーナメント2024の予選Cリーグ第二試合が放映されました。チーム藤井「パイナップル」とチーム天彦「ロマン派」の顔合わせとなっています。


一局目:青嶋未来六段 vs 斎藤明日斗五段

チーム藤井はオールラウンダーの青嶋六段に先陣を任せます。後手の斎藤五段が1筋の端歩を受けると、青嶋六段は居飛車を選択して雁木に構えます。青嶋六段は4,1,5筋の歩を突き捨ててから▲4五桂と仕掛け、斎藤五段が銀交換後に桂を取ると、2筋を継ぎ歩攻めし、飛車取りに▲8三銀と打ちます。斎藤五段は飛車を6筋にかわして角に当て、青嶋六段が▲9一角成と香を取って馬を作ると、△5六銀と先手の銀の利きに飛び出します。青嶋六段は2筋の歩を取り込んで▲2五同飛と銀を剥がし、斎藤五段が△6七銀成と銀交換し、△6六角と飛び出すと、角金交換に応じて▲6七銀と飛車を追います。斎藤五段は構わず△5六金と攻め続けますが、青嶋六段は冷静に飛車を取り、▲4四馬のタダ捨てから即詰みに討ち取りました。
チーム藤井:1勝 - チーム天彦:0勝

二局目:羽生善治九段 vs 山本博志五段

チーム天彦は初出場の山本五段を送り出します。先手の山本五段が初手に得意の三間飛車に振ると、羽生九段は角頭の歩を伸ばして向かい飛車に振ります。山本五段が9筋の歩を交換して香を走り、▲6五歩と角道を通して角交換すると、羽生九段は△7八角~△8七角成と馬を作って飛車を追います。山本五段は▲6五角と打って馬を追い、羽生九段が△7五馬と飛車に当てると、▲6三歩成と飛び込んで金に当てます。時間に追われた羽生九段が金で"と金"を取ると、山本五段は▲4三角成と王手しつつ飛車の利きを金に当てます。羽生九段は△7二玉とかわし、山本五段が▲3三馬と桂を取って飛車を追い、▲6五飛とぶつけて馬と交換すると、△4六歩と先手陣の急所を突いて反撃します。山本五段は手堅く自陣に金を投じて凌ぎ、▲6一角と王手して寄せ切りました。
チーム藤井:1勝 - チーム天彦:1勝

三局目:藤井聡太竜王名人 vs 佐藤天彦九段

チーム天彦は山本五段の連投も打診しましたが、順番通りでリーダー対決となります。後手の佐藤九段が角を交換して向かい飛車に振り、3筋の歩を交換して銀を繰り出すと、藤井竜王名人は銀取りに▲5三角と打ち込みます。佐藤九段は飛車を3筋に寄せて紐を付け、藤井竜王名人が▲7五角成と馬を作ると、△3六銀とぶつけて銀交換します。藤井竜王名人が▲4七馬と引き付け、3筋の歩を伸ばして飛車に当てると、佐藤九段はやむなく飛車を1筋にかわし、桂を犠牲に飛車を馬と交換します。藤井竜王名人が▲2一飛と打ち込むと、佐藤九段は△3八歩と垂らし、△2七角と打って飛車を攻めます。藤井竜王名人が飛車をかわし、3筋に"と金"を作って攻め込むと、攻防共に見込みなしと見た佐藤九段は潔く投了を告げました。
チーム藤井:2勝 - チーム天彦:1勝

四局目:青嶋未来六段 vs 山本博志五段

チーム天彦は相手を青嶋六段と読み、山本五段が出陣します。先手の山本五段は三間飛車に振り、青嶋六段が穴熊に囲うと、ダイヤモンド美濃の堅陣を築きます。互いに浮き飛車に構え、山本五段が飛車取りに▲6六角と上がると、青嶋六段は△7四飛とぶつけて飛交換します。両者とも相手陣に飛車を打ち、桂を取って竜を作ると、山本五段は桂で後手陣の銀を剥がし、▲3四銀~▲2六香と攻め掛かります。山本五段が馬を作り、▲5一歩成から馬を角金と交換すると、青嶋六段は△3七竜と金を食いちぎり、1筋に歩を連打して端攻めし、攻防に△8四角と打ちます。山本五段は自陣に飛車を打って粘りますが、青嶋六段はいったん△5一角と竜を取り、△1八飛と打って寄せ切りました。
チーム藤井:3勝 - チーム天彦:1勝

五局目:羽生善治九段 vs 斎藤明日斗五段

チーム藤井は自ら手を挙げて羽生九段が出陣します。後手の斎藤五段が9筋の位を取り、角を交換して向かい飛車に振り、2筋の歩を交換して飛交換を打診すると、羽生九段は▲2五歩と打って拒否します。斎藤五段は△5四角と据え、羽生九段が▲6六角と打ち返すと、3筋の歩を取り込んで桂頭を狙います。羽生九段は桂を取らせる代わりに▲3四歩と打って銀を取り、斎藤五段が飛車を走ると、飛車取りに▲4四角と出ます。斎藤五段が飛車を見捨てて△3七歩成と飛び込んで金を取ると、羽生九段は▲8六桂から金を剥がし、▲8二角と打って後手玉を追い詰めます。斎藤五段は△6七金から連続王手で迫りますが届かず、羽生九段は▲6三銀から寄せ切りました。
チーム藤井:4勝 - チーム天彦:1勝

六局目:藤井聡太竜王名人 vs 山本博志五段

チーム天彦は相手を藤井竜王名人と読み、敢えて山本五段をぶつけます。先手の山本五段は三間飛車に振り、藤井竜王名人が左美濃に構えると、ダイヤモンド美濃の堅陣を築きます。藤井竜王名人は△2四角と覗き、山本五段が5筋の歩を取り込むと、4筋の歩を取り込んでから浮き飛車に構えます。山本五段が▲6六金と繰り出して後手の飛車を引かせ、銀と交換して飛車を捌くと、藤井竜王名人は銀取りに△5七金と打ち込みます。山本五段は▲4五銀打と紐を付け、藤井竜王名人が飛車を4筋に回すと、5筋の歩を伸ばします。藤井竜王名人は金銀交換してから△4七銀と打ちますが、山本五段は銀を取らせる間に▲4三歩成と金を剥がし、▲4二歩と金頭を叩きます。藤井竜王名人は△4七歩成から攻め合いますが、山本五段は▲4一金から寄せ切りました。
チーム藤井:4勝 - チーム天彦:2勝

七局目:青嶋未来六段 vs 佐藤天彦九段

後がないチーム天彦はリーダーが出陣します。オールラウンダーの青嶋六段が早々に居飛車を選択すると、佐藤九段は駆け引きの末に四間飛車に振ります。青嶋六段が角のラインを外して▲9八玉と寄ると、佐藤九段は9筋の歩を突き捨ててから△6五歩と仕掛け、△9七歩と叩いて先手玉を8筋に呼び戻し、角を交換して4筋突破を図ります。佐藤九段は銀を取らせる代わりに作った"と金"を捨てて竜を作り、△4六角~△7九角成と銀を食いちぎり、青嶋六段が▲2六角と王手すると、△5三銀と手堅く守って9筋から攻め掛かります。時計の叩き合いの中で両者の玉が上部に脱出して接近し、形勢も大きく揺れ動く大激戦となりましたが、最後は青嶋六段が▲9三角から後手陣の金を2枚剥がし、即詰みに討ち取りました。
チーム藤井:5勝 - チーム天彦:2勝

Cリーグ第一試合の結果

チーム藤井は、青嶋六段がいずれも苦しい将棋を逆転し、3連勝でチームの予選1位突破に大きく貢献しました。リーダーの藤井竜王名人はこの日1敗を喫したものの安定しており、羽生九段が2試合通算で負け越しているのが気になりますが、優勝候補の一角として強さを見せつけていると思います。
チーム天彦は、初出場の山本五段が相手チームの2枚看板を撃破する大活躍を見せ、大きな戦力であることを印象付けました。リーダーの佐藤九段と斎藤五段がこの日は白星に恵まれませんでしたが、2人が本来の力を発揮できれば、予選突破は十分に可能と思います。

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