見出し画像

冷凍宅配弁当を試して実感。「食感」って大事

年に数回、料理熱が異常に高まります。ふだんはかなり適当ですが、手の込んだものを作ったり、作り置きをしまくったり、特定のメニューばかり作ったり、変わった調味料にはまったり。

今がまさにその時期で、「煮物」と「レシピ厳守」をテーマにほぼ毎日作っています。調子に乗って、新しい鍋も2つ買いました。

気になっていた宅食サービス

逆に、まったくやる気が出ない時もあります。買い物に行くのも、献立を考えるのも面倒くさい。嗚呼、何もやりたくない……。そんな時、ふと思い立って、冷凍の宅配弁当を利用してみました。

「冷凍は味が微妙なのでは?」というイメージがありましたが、リモートワークが始まった頃から冷凍宅配弁当サービスの広告を目にすることが増え、ちょっと気になっていました。

また、福祉系の書籍を作っていると、たびたび高齢者向けの宅食サービスの情報に接するので、似たようなサービスを自分で試してみようと思ったのです。もしかしたら、高齢の親が利用することがあるかもしれないし。

「味」と「使い勝手」で選んでみる

どのサービスにしようかと調べ始めたら、めちゃくちゃ種類が多い。1日に必要な栄養素をカバー、塩分や糖質を制限したメニュー、高齢者向け、ガッツリ系、コスパ重視……など、食事内容だけでもいろいろあります。さらに、入会金や年会費の有無、決済方法、メニュー選択の自由度、1回に届く個数など、使い勝手にも違いがありました。

とりあえず、十種類以上のサービスを試したという人のブログや口コミなどを参考に、味の評価が高いものを選ぶことにしました。お弁当に飽きたり、料理熱が復活して自炊モードになった時のために、配達のタイミングや注文数を自由に変更できる点も重視。

3週間おきに6食、おかず(主菜1品、副菜2品)とごはん(白米、雑穀米、ブロッコリーなどが選べる)が届くプランを選択しました。

サービスを試すことが目的なので、価格はあまり気にしませんでした(長く継続するとなると話は変わってきますが)。

初回は満足。3回目で飽きる

届いたお弁当は収納しやすい形とサイズで、6食入れても冷凍庫が圧迫されることもありません。おかずのほうはメニューによって温め時間が異なるので、表示を確認してから電子レンジで解凍します。
初回は、目新しさもあって1週間で食べきってしまいました。

思いのほか美味しく、自分ではあまり作らないメニューや珍しい食材もあって、「もしかして当たり?」と嬉しくなりました。2回目も、順調に消費。忙しくて買い物に行けなかった時に重宝しました。

3回目、早くも飽きます。次の便の予告が来ても、まだ冷凍庫に2~3食残っている状態です。ひとまず、4回目の配達をスキップし、さらにその後も2回スキップしてしまいました。

ちなみに、届くメニューは事前に確認でき、変更も可能。だから、3回(18食)の主菜はすべて違うものです(副菜の重複はありました)。和・洋・中・エスニックと、味付けもバラエティに富んでいました。でも、飽きた。

食感、めちゃくちゃ大事

早々に飽きた理由は食感です。味は美味しいけど、全体的に柔らかい。指定の時間どおりに温めるのですが、主菜はちょうどいいけれど、副菜(とくに葉物野菜)が柔らかくなりすぎることが多々ありました。

例えば、副菜がクタクタにならない段階で加熱をやめて、主菜を別皿に移して再加熱とかすればちょうどよくなるかもしれませんが、「手軽さ」という最大のメリットが失われます。食べていて物足りなさを感じるようになり、冷凍庫を開けてもあまりお弁当に手が伸びなくなりました。

実は当時、高齢者の食事や口腔ケアをテーマにした『「食べる」介護のきほん』という書籍を作っていたのですが、その中に次のような文章がありました。

食べやすい食事として、おかずをミキサーにかけたり、ゼリーで固めたりすることもあります。硬さや弾力性など、食べものの物理的な性質から考えれば、これらは「食べやすいもの」です。

しかし、ミキサーでペースト状にしたり、ゼリーで滑りをよくした食事には、食感が均一になりやすいという側面もあります。そして、私たちは味だけでなく、硬い、粘っこいなどの様々な「食感」によっても美味しさを感じています。はじめは食感が均一な食事を「食べやすい」「美味しい」と感じていても、それが続くと「美味しいもの」ではなくなってくる場合があるのです。

「食べる」介護のきほん』(齋藤真由著、翔泳社、2021年)21ページ

原稿を読みながら、「先生、私、今その状態です!」と膝を打ちました。

食べものの美味しさは「味」「香り」「食感」によって感じるとされますが、正直、食感については他の2つほど意識していませんでした。でも、食感が物足りないと、こんなに味気なくなってしまうとは……。空腹なのに食欲がわかないような、妙な感じでした。

自炊する時も食感を意識

結局、その宅配サービスは5回ほど利用して解約。とはいえ、献立→食材調達→調理→盛り付け→食事→後片付けまでが爆速で完了するのは、かなり便利でした。忙しい時には本当に助かるので、違うサービスも試して食感問題をクリアするものを探したいと考えています。

さて、お料理モードの現在、食感を大事にするためにも「レシピに忠実に作ること」を自らに課しています。いつもはレシピを見ても材料と手順をざっと確認するだけで、なんとなく作ってしまうことが多く、食材の切り方も火加減も加熱時間も適当。レシピ考案者の想定と異なるものが出来上がることもあったはず。

でも、ちゃんと指示通り作ると、ちゃんと美味しい。大根やかぼちゃの面取りとか、久々にやりました。そして、低温調理器を買おうか迷っています。

そのうち、またいつもの適当料理に戻ると思いますが、食感の重要性を思い知る前の自分の料理とは違うはず、と信じたい。

(編集部:タケダ)

よろしければスキやシェア、フォローをお願いします。これからもぜひ「翔泳社の福祉の本」をチェックしてください!