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担当編集が「メンタルヘルス・マネジメント検定」を受験して見つけた3つのメリットと勉強のコツ

先日、翔泳社から7月7日に刊行した『安全衛生教科書 メンタルヘルス・マネジメント(R)検定II種・III種 テキスト&問題集 第3版』(以下、「テキスト&問題集」)の編集を担当しました。

本書の改訂を担当するにあたり「せっかく気軽に受けられる試験だから」と実際に検定試験を受けてみることにしました。

そもそも、資格書の編集担当になれば必ずその試験を受けるものかというと、実はそうでもありません。翔泳社の場合、ふだん編集部で作る資格書は専門性が高い内容も多く、編集者自身に受験資格がないこともままあるからです(たとえば養成校の卒業や大学での指定科目の専攻が条件になっているなど)。

仮に受験資格があったとしても、編集者がいくつも資格書をかけ持ちで作っていると、すべての試験を受けることは実際問題難しいという事情もあります。

受験資格に制限なし!

今回メンタルヘルス・マネジメント検定試験の受験を決めたのは、受験資格に制限がなかったこと、そして担当中の資格書が本書のみだったことから、このタイミングこそ担当する資格書の試験を経験できるチャンスでは、と考えたからでした。

なにか試験を受けるということ自体が久しぶりで試験当日は正直どきどきだったのですが、結果はⅡ種、Ⅲ種ともに無事合格することができました。ということで、本記事では今回の経験を元にメンタルヘルス・マネジメント検定試験を受けて良かったことと、ちょっとした勉強のコツをご紹介します。

受験を検討されるみなさんはメンタルヘルスに関心があったり会社から推奨されたりと理由は様々だと思いますが、ぜひ勉強を始めるときの参考にしていただけたらと思います。

※メンタルヘルス・マネジメント検定って?
大阪商工会議所が主催する民間資格で、コースはⅠ種、Ⅱ種、Ⅲ種に分かれています。企業の経営者や人事、労務管理担当者、管理職、一般社員の方がそれぞれの立場に必要な知識を学ぶことができる検定試験です。最近では仕事のストレスによるメンタルヘルス不調が増加していることもあり、本検定が多くの企業のメンタルヘルス教育で活用されています。

ふだんの仕事に思わぬ変化

いざ勉強を進めてみると、試験に向けて知識がつくだけでなく、身に着けた知識を自然と実践できている自分に気づきました。そのことで感じられている仕事上のメリットが3つあります。

メリット1:周りではなく「自分」に目を向けられるようになった

本書では、メンタルヘルスの不調にいち早く気づくには、心理面や体調面でいつもと違う自分に注目することが大切だとされています。そのためには、いつも自分がどんな状態で働いているのかを知り、それがどのようなタイミングで変化しそうか、ふだんから意識しておかなければいけません。

以前の私は残業が続く日があっても「周りの人はもっとやっているから…」と考えがちで自分の疲れに気づきにくかったのですが、このことを知り自分の変化に注意するようになってからは、「昨日は少し遅くまで仕事をしたから今日は早めに切り上げよう」などと意識して仕事を調整をするようになりました。残業を前提にだらだらと仕事をすることも減り、メリハリがついた気がします。

メリット2:会社の行事が面倒ではなくなった

ここ数年でリモートワーク制度の導入が進んできたこともあり、勤めている会社でコミュニケーションの場が設けられたという人も多いのではないでしょうか。翔泳社でも週に1回、編集部を超えて話をする雑談会が開催されています。

本書の中では、こうした雑談会などの日ごろのコミュニケーションによって、上司が部下に対して、あるいは同僚同士でちょっとしたことでも相談しやすい環境づくりができるとあります。コミュニケーションをとる中で「いつもと違う自分」に本人より周囲が先に気づく、なんてこともあるそうです。

少し前の自分であれば「正直ちょっと面倒くさいな」と考えてしまっていた毎週の雑談会も、今では「会社も社員のことをあれこれ考えてくれているんだろうな」と思えます。

自分や周囲のメンタルヘルス対策のためというと少しおおげさですが、会社にどんな人がいるのかを知り、なにかあったら相談してみようと考えられる場所があることはありがたいですし、今後も参加したいと考えられるようになりました。

メリット3:「もしも」の時の見通しがついた

メンタルヘルス対策は、本格的に不調を感じる前に自分や周りが予兆に気づいて対策するのがいちばん、ということはこれまでお話した通りです。とはいえ、今後なにかがきっかけでメンタルヘルス不調になってしまう可能性は誰にとっても十分あり得ること。そうした場合には、休職や復職のために会社や上司からのサポートが必須です。

本書はⅡ種(管理職向け)とⅢ種(一般社員向け)の内容が1冊で学べる構成となっていて、「部下にメンタルヘルス不調が表れた場合」の対応は主にⅡ種の項目で学べます。

上司がとるべき対応や外部機関との連携方法、また職場復帰へのサポート方法など、これらの知識はまさにマネジメント層の人に必要な知識ではありますが、社員の人にとっても「自分がメンタルヘルスに不調を感じたとき会社に何を求めていいのか」の参考になります。

私の場合は「もしも自分がメンタルヘルス不調になって仕事を休むことになったら」と考えるとどこか先の見通しがたたない不安がありましたが、会社には社員の職場環境を整える義務があり、休職した場合には復職へのステップがきちんと定められていることを知ると、「もしものときは会社を頼ってもいいんだ」という安心感につながりました。

以上が勉強を始めてから変わった考えです。元々は「合格できたらいいな」くらいの気持ちだったのですが、こうしてふだんの業務へポジティブな影響があったのは予想外のメリットでした。

また、知識がついたことである意味自分のメンタルヘルスの状態を客観的に見られるようになりました。今後ストレスになることがあっても、感じ方や対処の仕方はこれまでとは変わっていくのだろうと思います。

効率的に勉強するために

最後に、簡単にですが今回実践した勉強方法をご紹介します。

勉強方法1:学習する時間を決める

社会人になると勉強の習慣をつけるのってなかなか難しいものですね。そのため私は「この曜日のこの時間は勉強のためカフェに行く」と決めることにしました。

外出が減るこの時期だとカフェに行くまでの道のりが軽い運動になったり、家ではない場所に意識的に出かけることで気分転換になったりしてモチベーションになりました。休日に一日中家にいると湧いてくるあの罪悪感みたいなものもちょっと減ったような気がします。

勉強方法2:「過去問題集→テキスト&問題集」の順番で学習する

私の今回の目標は「効率的に学んで合格すること」だったので、1章ごとにこの順番で勉強を進めました。過去問題集(※)を見ると出題の傾向や頻出のキーワードが分かり、それらを頭に入れながらテキスト&問題集を読むと、覚えるべきことが頭に入りやすかったです。より詳しく学びたいトピックが出てきたときには公式テキスト(※)で理解を深めることもおすすめです。

※過去問題集
・『メンタルヘルス・マネジメント検定試験 I種マスターコース 過去問題集<2020年度版>』(中央経済社)
・『メンタルヘルス・マネジメント検定試験 II種ラインケアコース 過去問題集<2020年度版>』(中央経済社)
・『メンタルヘルス・マネジメント検定試験 III種セルフケアコース 過去問題集<2020年度版>』(中央経済社)

※公式テキスト
・『メンタルヘルス・マネジメント検定試験公式テキスト I種 マスターコース〔第5版〕』(中央経済社)
・『メンタルヘルス・マネジメント検定試験公式テキスト Ⅱ種 ラインケアコース〔第5版〕』(中央経済社)
・『メンタルヘルス・マネジメント検定試験公式テキスト III種 セルフケアコース〔第5版〕』(中央経済社)

いかがだったでしょうか。受験をする人は試験日までまだ時間がありますが、モチベーションになるものを見つけて頑張っていきましょう。

そして勉強の際には、ぜひぜひ『安全衛生教科書 メンタルヘルス・マネジメント(R)検定II種・III種 テキスト&問題集 第3版』を使ってみてくださいね。(編集部 井上)

◎メンタルヘルス・マネジメント検定試験の試験情報
正式名称:メンタルヘルス・マネジメント®検定試験
試験日:Ⅱ種とⅢ種は年2回(11月、3月)
出題形式:マークシート方式による選択問題
試験の制限時間:2時間
出題範囲:公式テキストの基礎知識と応用力が問われる。基本的に公式テキストに準じるが、最近の法令などからも出題される
合格基準:100点満点中70点以上の得点で合格
受験地:全国16か所
受験資格:年齢、性別、学歴、国籍による制限なし
(上記は記事作成時のものです。最新の情報を知りたい方は公式HPでの確認を忘れずに!)

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