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実は植物性食品が肥満や病気の原因? 健康食やダイエットの鍵は「レクチンフリー」の食事法にあり

一般に健康的な食品とされている植物性食品が、実は肥満や病気の原因だとしたら?

そんな驚くべき事実を解き明かし、真に健康的な食生活を送る方法を提案している本が『食のパラドックス 6週間で体がよみがえる食事法』(翔泳社)です。

著者で医学博士のスティーブン・R・ガンドリー氏は本書で、多くの植物に含まれるタンパク質「レクチン」が体調不良の主たる原因物質だと指摘し、レクチンを含まない食生活のためのプログラムを解説しています(レクチンは総称であり、グルテンなども含まれます)。

そもそもレクチンは、植物が長い進化の歴史の中で、昆虫などとの生存競争において優位に立つための対抗策として獲得した物質です。つまり、レクチンは敵を攻撃するための毒なのです。

ガンドリー氏は、そんなレクチンを人間が食事を通して体内に取り入れてしまうことでさまざまな病気が生じる、と述べています。そのうえで、ガンドリー氏が考案したレクチンを含まない食生活習慣を作る「プラントパラドックスプログラム」を実践すると、真の健康を取り戻せると言います。

同プログラムで挙げられている「食べてはいけない食品」と「食べて良い食品」のリストを見てみると、植物性食品なら何でも健康的だと思っていた方には衝撃的かもしれません。

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すべての食品リストは本書の詳細ページからダウンロードが可能です(無料の会員登録をしていただく必要があります)。

本書では「果物はキャンディーと同じ」とさえ書かれています。これまで当たり前だと思っていた常識が通用しないとなると、いったいどのような食生活を送れば健康に過ごせるのでしょうか。具体的な方法は、ぜひ本書を読んでみていただければと思います。

この記事では、ガンドリー氏がどのようにレクチンの研究に辿り着き、プラントパラドックスプログラムを考案するに至ったのかが語られた「はじめに 悪いのはあなたじゃない」を抜粋して紹介します。

ご自身の食生活を見直すきっかけの1つになれば幸いです。なお、本書はKindleで無料お試し版も公開しています。

以下、『食のパラドックス 6週間で体がよみがえる食事法』から「はじめに 悪いのはあなたじゃない」の一部を抜粋します。掲載にあたって編集しています。

悪いのはあなたじゃない

これからの数ページで、食事法、健康、体重管理についての既成概念をそっくり覆すので覚悟してほしい。

実は私自身も、数十年もそうしたウソを信じ切っていた。「健康的」な食事法を実践し(何せ心臓外科医なのだし)、ファストフードなんてほとんど食べず、低脂肪乳製品と全粒穀物を取っていた。

ジムにも毎日通い、週に50㎞以上も走った。太り過ぎ、高血圧、片頭痛、関節炎、高脂血、インスリン抵抗性などを抱えながらも、健康対策は万全と思っていた(ちなみに現在はいずれとも縁が切れている)。だが心中の声はしつこく私を悩ませていた。「もし対策万全なら、どうしてこんな体調なんだい?」。

耳が痛いって?

この本を手に取ってくださった以上、あなたも何かがおかしいと気づいているはず。ただ、その「何か」がなんだかわからないだけだ。旺盛な食欲を抑えきれない人もいるだろうし、特定の食べ物に病みつきになっている人もいるだろう。

ローカーボ(低炭水化物)、ローファット(低脂肪)、パレオダイエット(原始人食)、低グリセミック食(血糖値を急激に上げない食事)などのダイエット法は役に立たないか、長続きしなかった。あるいは当初は効いても、どうにか落とした体重はすぐに元通り……。

ランニング、速歩、ウエイトトレーニング、エアロビクス、ヨガ、体幹トレーニング、スピニング〔自転車エクササイズ〕、高負荷インターバルトレーニング、その他のあなたが選んだどんなトレーニング法も、頑固な脂肪を削り落としてはくれなかった。

太り過ぎ(あるいは痩せ過ぎ)は深刻な問題だが、何より問題なのはおそらく、次のようなどうしても解決できない諸症状だろう。食品アレルギー、クレイビング(特定の食材への渇望)、消化不良、ブレインフォグ(頭がもやもやして思考力が衰えた状態)、だるさ、関節の痛み、朝のこわばり(起床時に身体がこわばっていること、関節リウマチの初期症状でもある)、大人のニキビ等々……。

ひょっとすると、1型/2型糖尿病、メタボリック症候群、甲状腺をはじめとするホルモン異常問題などの、自己免疫疾患の1つや2つを患っているかもしれない。あるいは喘息やアレルギーだろうか。そしてどうしてか、貧しい健康状態や余分な脂肪は身から出たさびだと思い込み、ただでさえ厄介な暮らしに罪悪感をつのらせているのではないだろうか。慰めになるかどうかはともかく、もしそうだとしたら、それはあなただけではない。

それもこれも、今すぐ変えることができる。「プラントパラドックス」にようこそ。

まず、私に続いて唱えてほしい──「悪いのは私じゃない」。そう、あなたの健康問題は、あなたのせいではないのだ。

私にはあなたの苦しみを救うことができる。だがそのためには、健康的な暮らしについての既成概念がそっくり問い直されるものと思ってほしい。本書は、私たちの生活文化に組み込まれている過ちを正し、飲み込みにくい概念をもたらす。

幸い本書は、あなたを病気にし、疲れさせ、活力を奪い、太り過ぎ(あるいは痩せ過ぎ)にし、ぼんやりさせ、痛みをもたらしているものの正体を明かす。そして活力や痩身を阻むものの正体を知り、厄介払いできれば、あなたの暮らしは変わる。

僭越ながら私は、大半の健康問題には共通の原因があることを発見した。それをあなたと分かち合いたい。それは綿密な研究に基づいており、そこには私が執筆し、厳密な査読を経て医学学術誌に掲載された論文も含まれているが、いまだかつて集大成されたことはない。

健康の「専門家」らは私たちの持病の原因として、怠惰な暮らしぶり、ファストフード中毒、果糖だらけのコーンシロップで甘くした飲み物、環境中のさまざまな毒物をあげつらってきたが、悲しいかな、彼らは見当外れだ(これらは健康問題をもたらしてはいない!)。

本当の原因はとても深く隠されているので、あなたがまったく気づかなかったのも無理はない。いささか先走ってしまったが、追い追い伝授しよう。

1960年代半ばから、肥満、糖尿病(1型/2型とも)、自己免疫疾患、喘息、アレルギー、鼻炎、関節炎、がん、心臓病、骨粗しょう症、パーキンソン病、認知症などが急増した。そして同時期に、私たちの食事やパーソナルケア製品が少しずつ変わってきたことは、決して偶然ではない。

どうしてわずか数十年で社会全体の健康状態が悪化し、体重が増えたのか? 私はその最大の答えを見出した。それは、レクチンと総称されるタンパク質群から始まっている。

レクチンは初耳だろうが、グルテンなら聞き知っているだろう。グルテンは数千種類もあるレクチンの一種だ。レクチンはほぼあらゆる植物に含まれ、実際、牛肉、豚肉、鶏肉、魚など今日の米国の食事を構成する大半の食材に含まれている。

レクチンはさまざまな働きをするが、植物が動物と戦う強力な武器である。植物は、ヒトが現れるはるか前から、飢えた昆虫からわが身と子孫を守る術を身につけていた。すなわち種などの部位にレクチンをはじめとする毒物を蓄えたのだ。

そして昆虫を殺傷するこうした毒物は、あなたの健康も密やかに衰えさせ、いつの間にか太らせていたのだ。本書を『ザ・プラント・パラドックス』(原題)と題したのは、多くの植物性食品は身体に良く、私の食事計画の基礎となるものである一方、その他の「健康食」とされる植物性食品が実は病気や肥満をもたらしているからだ。

そう、多くの植物性食品は、あなたを病ませているのだ。パラドックスはもうひとつある。ある種の植物性食品は、少量なら身体に良いが、大量に食べると毒なのだ。

このことについては、じきに詳しく述べる。

あなたは人に、「今日はなんだか君らしくないね」と言われたことがないだろうか? まもなく詳述するが、食べ慣れた食品のわずかな変化、料理法、ある種のパーソナルケア製品の利用のために、また健康増進のために飲む薬のせいで、あなたは確かにあなたではなくなっている。コンピュータ用語を借りて言うなら、「ハック」されているのだ。全身のすべての細胞、消化と代謝、細胞同士のコミュニケーションが変わってしまっている。

だが元通りにできるから、心配はいらない。身体を治し、健康的な体型を取り戻せるのだ。社会全体の健康増進のためには、まず一歩(実際には数歩)後退しなければならない。私たちは数千年前に最初の分かれ道で間違った方に歩みだし、それからも分かれ道のたびに道を誤ってきた(はっきりさせておくが、パレオダイエットなる原始人食を勧めているわけではまったくない)。本書は正しい道に戻るための地図であり、その手始めは私たちが主食にしているある種の食べ物に対する過剰な依存を正すことだ。

こう聞いて、何を言い出すのか、この人は本当に医師なのかと思っているかもしれない。私は正真正銘の医師である。ちょっと自己紹介しておくと、イェール大学を卒業し、ジョージア医科大学で医学博士号を取得し、それからミシガン大学の心臓冠動脈手術プログラムに参加した。

その後、アメリカ国立衛生研究所で栄えある特別研究員の身分を得た。ロマリンダ大学医学部で、外科と小児科心臓胸部手術の教授を16年勤め、心臓胸部外科部門を率いた。

そこでは、心臓病、がん、自己免疫疾患、糖尿病、肥満など、さまざまな健康問題を抱える膨大な数の患者を診た。その後、私はロマリンダを去る決心をして同僚らを驚かせた。

どうして伝統的な医学を実践して成功していた医師が、名門医療機関を去ったのか? 自らの健康を見直し、肥満体から痩身へと変化した時、私の中で何かが変わったからだ。外科手術ではなく、食事法で心臓病を治療できると悟ったのだ。

この目標のために、私は国際心肺研究所と、その下部機関として回復医療センターを、カリフォルニア州パームスプリングスとサンタバーバラに設立した。そして処女作『Dr.Gundryʼs Diet Evolution: Turn Off the Genes That Are Killing You and Your Waistline(ガンドリー博士の食事革命:あなたとあなたのウエストを殺そうとしている遺伝子をオフにする)』(邦訳未刊)を上梓し、そこでは心臓病、糖尿病、肥満などを患う患者たちが私の食事計画を通じて経験した変化を記した。

それは私の臨床法と無数の読者の暮らしに革命をもたらすものだった。それはさらに、本書の著述へと続く道を私に歩ませた。私は外科医であると同時に医学研究者でもあり、心臓手術中に心臓を守るために使われるさまざまな道具を考案した。

かつて同僚レオナード・ベイリーと共に、世界で最も多くの乳幼児心臓移植手術を執刀した。医療機器関連の特許をいくつも持ち、移植免疫学と異種移植についての多数の論文や著作をものした。異種移植と言うと舌でも噛みそうだが、つまりは免疫系を制御して異なる種同士で臓器を移植する術のことである。

この仕事ではブタからヒヒへの心臓移植手術をして最も長い間生かした世界記録も持っている。そう、私は免疫系を制御する術を知り、免疫異常の治療法も身につけている。

多くの物書きやいわゆる健康専門家と違い、この分野のにわか研究者でもない。イェール大学四年生の時には、年によって食料が手に入る時期が違っていたことが大型類人猿からヒトへの進化を促したことについて論文を書いた。

心臓外科医として、心臓学者として、免疫学者として、免疫系が何を味方とみなし何を敵とみなすのかに関わり続けてきた。こうした経験のおかげで、私はあなたの健康と体重の問題に対する解決法を見出せる独自の立場にいる。本書ではそれをお伝えしたい。

健康の探求法が進化するにつれて、私は自ら考案した食事法を実践した患者たちが動脈疾患、高血圧、糖尿病(あるいはそれらの合併症)を好転させ、関節炎が見る間に収まり、胸やけが治る様子を目撃した。

さらに患者たちは、気分が晴れた、頑固で慢性的な胃腸の問題も和らいだと言った。太り過ぎがすんなりと解消に向かい、食べ物への渇望感も癒えた。個々の患者ごとに工夫し綿密に管理された実験の結果を精査してみると、驚くべきいくつかのパターンが見出せた。それを機に当初の食事プログラムに改良を加えていった。

こうした結果には報われたが、患者たちの劇的な回復を見ているだけでは気が済まず、その理由を知りたいと思った。彼らの病気と肥満の原因を変えたものは何か? 全患者に配った「良い食品」「悪い食品」のリストの何が彼らの健康を回復させたのか? 何よりも、悪い食品のどこが問題だったのか? 食事法以外の要因は関係ないのか?

患者らの来歴、健康状態、専門の研究室での検査、血管の柔軟性などを綿密に調べたあげく、私は確信した。彼らの大半(そしておそらくはあなたも)は、身体が備えている自然な自己治癒能力を阻害する「かく乱要因」のために、文字通り自分と戦っていたのだ。

こうしたかく乱要因には、さまざまな物事が含まれていた。家畜のえさの変化、全粒穀物やレンズ豆その他の豆類など健康的とみなされている食材、ラウンドアップのような除草剤をはじめとするさまざまな化成品、各種の抗生物質などだ。加えて、制酸剤(胃散)、アスピリン、その他の非ステロイド
性抗炎症薬(NSAIDs)が腸の環境を劇的に変えていることもわかった。

過去15年を通じて、私は自らの発見を、アメリカ心臓学会のような一流の医学学会で発表し、査読される医学学術誌に寄稿し、その間も自らのプログラムを改良した。こうした仕事の結果、私はヒト微生物叢(あなたの体内や体表に巣くう細菌などの生物)の専門家として認められるようになった。

私が考案したプラントパラドックスプログラムは、野菜、限定量の良質なタンパク源、ある種の果物(ただし旬のものだけ)、木になるナッツ類、ある種の乳製品と油類から構成されている。

同様に重要なのは、少なくとも当初は除外する食品だ。すなわち穀物とそれから作られた穀粉、雑穀、レンズ豆その他の豆類(あらゆる大豆製品も含む)、果菜(野菜扱いされている果物)例えばトマトやペッパーの類、精製油などだ。

今すぐにこのプログラムを始めたいと思っているかもしれないが、私の患者たちは、先に健康問題の原因を理解した方がはるかに良い結果を得ている。だから「解決法」を急ぐ前に、パートIをこれらのえてして衝撃的で驚異的な問題の根本原因をめぐる物語の説明に充てたい。

それが過去数十年、大半の人々にどんな影響を及ぼしてきたのかの説明でもある。パートIIでは、3日間クレンズ(浄化期間)の始め方から伝授する。

次に、傷んだ腸の回復法と微生物叢を育むための栄養などについて学ぶ。それにはレジスタントスターチ(難消化性でん粉)と呼ばれるサツマイモなどの食物群も含まれ、幸いにもこれは満腹感をもたらしてダイエットにもつながる。

ひとたび健康状態を安定させたら、プログラムの第3段階に移る。それはあなたの長寿の青写真だ。このプログラムには定期的で軽い絶食も含まれ、それがあなたの腸に日々の消化という激務からのひと時の休息を与える。同時にそれは、脳内でエネルギーを生み出しているミトコンドリアと細胞にも、待望の休息をもたらす。深刻な健康問題を抱える読者のためには、集中ケアプログラムの章も用意した。

パートIIIでは、プログラムの3段階のすべてにわたるミールプランを提供する。それらは、あなたをかつて太らせ、病気にし、痛みをもたらしていた問題の多い食べ物を忘れさせるものになるだろう。

食習慣の変更はこのプログラムの中心だが、他にも、ある種の市販薬やパーソナルケア製品の使用をやめることなど、いくつかの変化を提唱する。

プログラムをやり遂げれば、すべてではなくともあらかたの健康問題を克服し、健康的な体型を手に入れ、かつての活力を取り戻し、ほがらかになれると約束できる。

食と生活の新たなアプローチの効果をひとたび経験したら──私の患者たちはものの数日で気が晴れて体重が減り始めた──身体(と腸内細菌叢)にどんな食物を与えるかがどれほど大きな変化をもたらすかを実感するだろう。さらなる利点もある。長く健康的な暮らしを阻む消化不良問題も解決できるのだ。

さあ、ページをめくって。一緒にあなたの人生を変えていこうではないか。


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