なぜプログラミング学習にChatGPTを使うべきなのか？ 実際どう使えばいい？
生成AIの登場で様々な変化が起きましたが、その中の1つにプログラミングがあります。
実際に自分でコードを書くエンジニアはもとより、プログラミングの学習にも生成AIが利用できるようになったのです。しかも、人によっては教科書だけで独学したりセミナーに通ったりするより、はるかに効率的に学べるかもしれません。
そこで今回は、ChatGPTを利用したプログラミングの勉強方法を解説した翔泳社の『ChatGPTを徹底活用！ ビジネスパーソンのためのプログラミング勉強法』を紹介します。
本書ではDX教育やリスキリング事業を手掛けるRenewerの堀内亮平さんが、初めてプログラミングを学ぼうとしている人に、ChatGPTを使ってPythonを習得する方法を解説しています（ほかの言語にも応用可）。
ChatGPTを使えば、初心者は何からやればいいのかを教えてくれますし、24時間いつでもわからないことを質問でき、自分が書いたコードの正誤を確認できます。また、作りたいものに対して具体的な手順や注意事項などの適切なアドバイスももらえます。どんなとき、どんな状況でも凄腕のエンジニアがサポートしてくれるようなものです。
著者の堀内さんは、ChatGPTによってプログラミング学習のあり方が変わったと語ります。その威力を実感したい方は、ぜひ本書をお試しください。
この記事ではChatGPTを使うメリットや、効果的に学習する方法について書かれた「Chapter 1 ChatGPTがもたらす新時代のプログラミング学習」と「Chapter 2 ChatGPT×プログラミング学習の基礎知識」の一部を抜粋して紹介します。
さらに、堀内さんが公開されている学習TIPSの記事も紹介しますので、参考にしていただければ幸いです。
◆著者について
堀内 亮平（ ほりうち りょうへい）
株式会社Renewer 代表取締役。
2018年にIT教育スタートアップのコードキャンプ株式会社に参画し、グループ最年少で代表取締役に着任。2013年のサービス開始以来、50,000名が受講し、300社以上の企業の導入実績があるIT教育業界のリーディングカンパニーとして業界を牽引した。2023年に創業し現職。DX教育・リスキリング事業の立ち上げやアドバイザリーサービスを提供している。
学習成功の鍵は「学び方」
本書はプログラミングを勉強している人、これから始める人向けのガイドブックです。より効果的な勉強法を身に付けることができます。その出発点として、現在の勉強方法に目を向けてみましょう。
多くの人は、参考書や動画などの教材を使ってプログラミングを学んでいます。これまでに多くの教材やサービスが登場し、理解しやすいように改良されてきました。
しかし教材が良くなっても、いまだ多くの人がプログラミング学習に苦労しています。なぜでしょうか？
教材の改善は主に「教え方」の進化でした。多くの人に知識を届けることに重点が置かれてきた一方で、1人ひとりの具体的な質問や課題に対応するのが難しいという問題は解消できていませんでした。
そのため、これからのプログラミングの勉強法に求められるのは、より良い「教え方」を取り入れるだけでなく、「学び方」をアップデートすることです。
ChatGPTで「学び方」が劇的に変わる
皆さんはChatGPTを使ったことがありますか？ ChatGPTの登場により、プログラミングの「学び方」に大きな変化が訪れようとしています。この変化に触れてみるために、4つの活用例を紹介します。
1 あなたがわからない単語や概念を解説してくれる
プログラミングを学んでいて、理解するのが難しい言葉や概念に出会ったことはありませんか？ プログラミングの世界は特有の単語やフレーズが多く、学び始めの人にとってこれらを理解するのは大変です。一方、教材ではすべての単語について、丁寧に解説してくれているとは限りません。
ChatGPTは、そんな難しい単語や概念の意味をあなたが理解できるまで詳しく解説して理解を助けてくれます。
2 あなたが直面したエラーの解消方法を教えてくれる
いざ自分でプログラミングをしたときに、エラーに手こずった経験はありませんか？
エラーはプログラミングにおいて避けては通れない壁です。とくに学び始めであれば、エラーメッセージを理解し解消するのに時間がかかることが多く、途方に暮れることもあります。
しかしChatGPTを活用すれば、エラーメッセージの内容を瞬時に解析し、その原因と解決策を提供してくれます。
3 あなたが作ったプログラムを解説してくれる
プログラムを作成したら、誰かに正しく書けているかチェックしてほしいと思うでしょう。とくにプログラミングを始めたばかりのときは、正しい方法がわからないため、自分のコードが正確かどうか不安に感じることが多いです。このような小さな不安が積み重なると、学習へのモチベーションが低下することもあります。
ChatGPTはプログラムの改善点を指摘し、より良くなるようなフィードバックをしてくれます。このようにChatGPTは単なる疑問対応ツールでなく、あなたのプログラムの質を向上させ、学習のモチベーションを高めるアドバイザーとしても機能します。
4 あなたが作りたいものをガイドしてくれる
具体的に作りたいモノや実現したいことの目標を持って学習を進めることは、モチベーションの維持に非常に有効です。ChatGPTは、目標に対しての道筋を示してくれます。例えば、Webアプリケーションの開発を目指している場合、必要な技術や手順、アドバイス、関連する技術情報も提供してくれます。
これらのChatGPTを使った4つの具体例でとくに注目してほしいのは、すべてのタイトルが「あなたが～」という形で始まっていることです。これはChatGPTが、学習者のニーズに合わせて情報を提供し、個々の疑問や要望に応じてくれることを示しています。
このオーダーメイド学習のアプローチは、これまでの学び方はなかった大きな利点です。ChatGPTのようなAIツールを使うことで、直面する問題や疑問に対して適切なアドバイスを受けて、効果的に学習を進めることができます。
なぜChatGPT×プログラミング学習が効果的か？
ChatGPTがプログラミング学習に効果的な理由は、主に4つ挙げられます。
1 個別最適な学び
プログラミングやITに関する講義で、講師の説明に沿って全員が同じペースで作業を進める際、自分だけがうまくいかずに取り残された経験はありませんか？ 講義の進行をさえぎって質問するのも難しく、そんな状況に陥ると焦ってしまいます。
また、プログラミングを学習していて、「急に難しく感じる」という経験もあるかもしれません。これは、これまでの学習で理解できていないことが積み上がった結果です。このような状態になると、学習を進めるのが困難になり、挫折してしまいます。
このように画一的な学習方法では、教材の内容や講義の進行に学習者の理解度が追い付かないことがよくあります。しかし、そのようなケースが発生しても、学習者ごとの理解に対する疑問の解消やケアがしづらい状況でした。
これを解決するのがChatGPTを活用したプログラミング学習です。ChatGPTを利用すれば、学習者ごとの具体的な問題に合わせたサポートを受けられます。教育分野ではこのような学び方を「個別最適な学び」と呼び、学習効果を高める手段として注目されています。ChatGPTはまさに個別最適な学びを前進させるツールです。
2 リアルタイムなフィードバック
プログラミングを学習していてエラーが出たときに、その解決に大幅な時間を費やした経験はないでしょうか？ 多くの時間を費やす間に学習のモチベーションが失われることも少なくありません。しかし、ChatGPTであれば、質問をするだけでリアルタイムに回答を得ることができます。
このような即座のフィードバックは、学習のモチベーションを維持するうえでも非常に有効です。学習者は、自らの疑問点や課題をリアルタイムで解決できるため、途中でつまずくことなくスムーズに学習を進められます。
3 優れたプログラミングスキル
ChatGPTには、コードを読み書きするスキルもあります。そのスキルはいわばプロ級で、実際にプロのITエンジニアたちも、ChatGPTにコードのたたき台を作ってもらい、それを発展させる方法を取り入れ始めています。
ChatGPTを有効に活用することは、まるで優れたプログラミングスキルを持ったITエンジニアが学習をサポートしてくれているようなものです。例えば、コードの作成やチェックをChatGPTとともに行うことで、学習方法の幅が広がります。
4 気兼ねなく質問できる
プログラミングスクールに通っていたり、教わる相手がいたとしても、わからないことを質問することに躊躇する方は多いものです。
「『こんな基本的なこともわからないのか』と思われるかもしれない」「質問しすぎて迷惑ではないか」と心配になることもあるでしょうし、どのように質問すればよいかわからず、声を上げられないケースもあるでしょう。
しかし、ChatGPTはAIなので、そのような気遣いは必要ありません。どんな質問も何度でも受け入れてくれます。また、時間も問わず、24時間365日いつでも質問ができます。ChatGPTは人間とのコミュニケーションを快適にするために設計されており、どんな質問にも親切で心地よい回答を提供してくれます。この自由に質問できる環境が、勉強をもっと効果的で楽しいものにしてくれます。
プログラミング学習におけるChatGPTの使い方
ChatGPTを活用したプログラミング学習では、以下の3つの基本ルールに従って利用することで、学習効果を最大化できます。本書を使って学習を進める際も、これらのアプローチを取り入れることをお勧めします。
1 教科書としてではなく、サポーターとして使う
ChatGPTからプログラミングにおけるすべての内容を学ぶのは非効率です。家庭教師にたとえるなら、教える内容や出題する問題をすべて先生が生み出しているわけではありません。教科書があり問題集があり、それらを補完して学習を成功させるのが家庭教師の役割です。
ChatGPTも同じように、既存の教材や学習サービスを活用しながら、疑問を解決したり、理解を深めたりするサポート役として使うのが最適です。
2 とにかく手を動かす
よく陥りがちなプログラミング学習の間違いは、書籍などの教材を読むだけで理解しようとして、手を動かさないことです。プログラミングの理解は、自らプログラムを書き、試行錯誤を繰り返すことで深まり、応用可能なものとなっていきます。
ChatGPTの活用についても同様で、実際にプログラムを書きながらどんどん質問することがうまく活用するコツです。質問がうまくいかなくても、相手はAIなので恥をかくこともありません。とにかく手を動かして使ってみましょう。
3 GPT-4の利用を推奨
GPT-3.5とGPT-4では回答の精度に大きな差があります。そのため、学習で使用する際はGPT-4を使用することを強くお勧めします。例えば疑問点があったときに、GPT-4のほうがスピーディーに解決方法を提供してくれる可能性が高いです。プログラムの作成を任せる際も、高い品質のプログラムを期待できます。
2024年5月の執筆時点では、GPT-4oの登場により、GPT-4は回数制限はあるものの無料で使えるようになりました。まずは無料でGPT-4を試して、回数制限を超えて使用したくなったら有料版（ChatGPT Plus）に移行してもよいでしょう。
著者 堀内さんのnoteで勉強のコツを公開中
※期間限定での公開を予定されています。
本が気になった、プログラミングを勉強したくなった方は↓↓↓
◆本書の目次
Chapter 1 ChatGPTがもたらす新時代のプログラミング学習
Chapter 2 ChatGPT×プログラミング学習の基礎知識
Chapter 3 ChatGPTを活用したプログラミング学習：基礎編
Chapter 4 ChatGPTを活用したプログラミング学習：応用編
Chapter 5 実践ガイド：Webサービス作り
Chapter 6 実践ガイド：Excel業務の効率化
Chapter 7 実践ガイド：データ分析
Chapter 8「ChatGPT×プログラミング」をキャリアに生かす
特別対談 「これからの生成AI×キャリア」
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