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思い出したくないことと、何度も思い出したいこと全部。『ぷらせぼくらぶ 新装版』編集後記

『ぷらせぼくらぶ 新装版』が5月8日(月)に発売いたしました。

『ぷらせぼくらぶ 新装版』
奥田亜紀子
定価:990円(税込)
装丁デザイン:大原大次郎・宮添浩司

<あらすじ>
中学2年生の岡ちゃんは、当たり前に大人になっていく周りの変化についていけない。取り残されたような寂しい気持ちと、友達を理解したいのにできない苦しさ。幼馴染で親友のあの子と、前みたいに笑いあうことはもうできないのかもしれない。
思い出したくないことと、何度も思い出したいこと、全部が詰まった青春群像の傑作。10年振り復刊。描き下ろし読切「夕子の思い出」38P収録!

このマンガを読め!2020 第4位、このマンガがすごい!2020オンナ編 第5位を獲得した作品集『心臓』(リイド社)の著者である奥田亜紀子先生の初連載作が、10年ぶりの復刊です。

今作の担当編集・山田に『ぷらせぼくらぶ 新装版』制作にまつわる裏話をたっぷりと聞いてきました。それではどうぞ。

復刊の経緯

奥田先生の作品を初めて読んだ日のことを今でもはっきりと覚えています。2011年3月号の『月刊アフタヌーン』(講談社)に掲載された『心臓』という読切でした。

光をそのまま描いたようなトーン、詩的な台詞とモノローグ、苦しくなるほど切実な物語に衝撃を受けました。この人はとてつもない作家だと思い、同号に掲載されていた黒田硫黄先生の読切と併せて雑誌を切り抜きました。

すぐに作家名を検索しブログに辿り着き、以降ずっと活動を追っていたのですが、1年と少ししてから『月刊IKKI』(小学館)で月例賞を取り連載化されたのが『ぷらせぼくらぶ』でした。私の中で膨れ上がった期待を遥かに超えた傑作で、毎号切り抜きして何度も読み返しました。

発表後は各所で話題となり、今でも新たなファンを増やし続けている本作ですが、刊行から10年を経て書店での購入は難しくなっていました。今回の新装版が、より多くの読者へこの作品が広がることに繋がれば幸いです。

描き下ろしや新装版表紙について

装丁は前作の短編集『心臓』(リイド社)と同じく、大原大次郎さん、宮添浩司さんにご担当いただきました。2冊並べると、このデザインの絶妙さがより感じられると思います。

カバーイラストは小学館版『ぷらせぼくらぶ』同様に教室が背景になっており、このような関連性を作ることができて良かったと感じています。
巻末収録の描き下ろしは当初十数ページの予定でしたが、奥田さんが増えるかもしれませんと仰り、結果38Pも描いていただけました。

『夕子の思い出』という作品です。1ページ目から最高なのでぜひ読んでください。

描き下ろし『夕子の思い出』より

編集作業を終えて

登場人物の岡ちゃんは同級生たちを「あっち」と「こっち」に区別して見ていますが、彼女のいうところの「あっち」側の人にもこの作品を読んでほしいと思います。中学校という環境で過ごしたことがある人なら、きっとどこかにかつての感情が描かれているのではないかと思うからです。

読み返す度に、この作品に感動できる自分でいつづけたいと思います。私にとっては心に打ち込まれた杭のような作品です。

刊行に合わせて、青山ブックセンター本店で原画展を開催中です。漫画の生原稿をご覧になったことがない方も多くおられるのではないかと思うのですが、想像以上の情報量に驚くと思います。機会がございましたらぜひお越しください。

各書店にて絶賛発売中です。
ぜひお手に取ってくださると嬉しいです。

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