モ_サ__

モップライブ!サンシャイン!!~年間MVM表彰~

さあ、いよいよやってきました。年間MVMの表彰式です!
1年間長かったですね。このnoteを始めたのもこれを発表したかったからという面があるので、ある意味集大成のようなものです。いつもは前置きが長いですが、2019年も残すところあとわずかなので”巻いて”いきたいと思います。

まずは各月の月間MVMをおさらいしましょう。
4月 レグナルト 種市篤暉
5月 福敬登   森脇亮介
6月 遠藤淳志  髙橋純平
7月 遠藤淳志  山田修義
8月 又吉克樹  井口和朋&西村天裕
9月 石田健大  吉田一将

いやあ、そんなこともあったなあという顔ぶれですね。4月なんて「うわ、この選手活躍してたんかw」というかんじです。種市は先発に戻って多くの経験を積みました。レグナルトなんて雑に使われた末に契約打ち切りになりました。モップアップから階段を一気に登っていった選手、逆にもうひとつ行ききらなかった選手、お前こんなところで何してるんやという選手など、様々な事情を抱えて敗戦処理をしているということが見えてきます。リリーフは大変なポジションであると何度も言ってきましたが、それは敗戦処理であっても同様のことです。そんな彼らの輝きを評価する、今年最後のモップライブです。
なお、これまでの流れを知りたいという熱心なモップライバーの方向けにバックナンバーを置いておきます。
4月度
5月度
6月度
前半戦振り返り
7月度
8月度&9月度

チームモップ成績

通年チーム

セ・リーグで年間B防御率が1位だったのは中日でした。ここ数年チーム自体は低迷していますが、なぜかリリーフの成績は毎年優秀です。今年は起用人数もリーグ内最少で、イニングの少なさも僅差の2位。あれやこれやと試すことなく安定した少数精鋭のリリーフと、それなりのイニングを投げてくれる先発とで戦うことができたようです。なお順位。読売は防御率2位のほか、BB/9は唯一の2点台、K/BBは両リーグダントツの2.83、WHIPも両リーグで1位と非常に優秀でした。ビハインド時の粘りが優勝に貢献したといっても過言ではありません。ただ、この制球の良さはパワー系リリーフの少なさが影響しているようにも思います(ファン並みの感想)。もうちょっと球速出るタイプがいてくれてもなぁと。少し話は逸れますが、その点で鍵谷の加入は非常に大きかったと思っています。奪三振率1位は阪神。あの野手陣では三振とれないと結果になりませんもんね() Mop-up pointが最少だったのは回跨ぎさせない運用によるものでしょう。逆にMop-up point1位は広島。かつては九里やアドゥワをこの枠で育てたように、今年も島内遠藤に多くの機会を与えました。ヤクルトは最下位だったので当然のようにBイニング1位でしたが、防御率が両リーグワーストでは逆転勝ちを狙えるはずもありません。敗戦処理投手が勝ちパターンの投手より劣るのは仕方ありませんが、どうやればこんな数字になるのでしょう。

パ・リーグの防御率1位は日本ハムでした。この球団もリリーフの成績が毎年良いですね。なお順位。今年はショートスターター作戦をとり、しかもこれが成功したとは言えなかった(ショートスターター起用をした試合では大きく負け越しているようです)ので、イニングがかさみ敗戦処理投手に多くの負担がかかりました。それもあってMop-up pointがリーグ内の他チームに比べて異常に多くなりました。来年はリリーフの負担が軽くなるといいですね、宮西さん。西武ライオンズさんは本当にこれで優勝したのでしょうか。もちろん敗戦処理の成績が良ければ勝てるというものではありませんが、この数字から見える程度の選手層で勝てるのかと驚き呆れます。

個人モップ成績

登板数

通年登板数

守屋功輝島本浩也の阪神勢がワンツーフィニッシュ。今年の阪神はリリーフ投手のおかげで3位に滑り込んだと言っても過言ではありませんが、そのリリーフ陣を下支えした島本・守屋の働きが非常に大きかったことは間違いありません。高木京介はこんな多かったのかと驚き。逃れられない業を背負ってしまったので、腕がちぎれるまで投げてください。古巣に復帰した五十嵐亮太も年齢を考えれば奮闘しましたが、防御率のわりに内容が悪く劣化が見えます。ソフトバンクの見切りの上手さというか、ヤクルトの運用の下手さというか。
パの1位は玉井大翔。玉井さんはこの3年で129登板(24,40,65)うちビハインドで74登板(14、24、36)と、モップアップ界の鉄腕的活躍をしています。普通このポジションでこれだけ投げ続けて結果を残していれば、勝ちパターンに昇格か先発へ配置転換になるんですが。祖父江さんもですが。松田遼馬は酷使で最後は爆発してしまいましたが登板数2位。ショートスターターをやらされる日もあったりと、非常に雑な扱いを受けました。先日の契約更改ではあまり増額がなく保留していました。まあポジションやぽっと出感を踏まえればこんなものかもしれません(それが良いとは言っていない)。継続して活躍すればこの球団は金払い良いので頑張りましょう。チェン田中靖洋はともに31/44がB登板。吉井コーチの運用については詳しい人がたくさんの考察をあげているのでそちらに譲りますが、チームBの活躍を支えました。この二人をはじめ役割分担をしっかりできていたことが好成績の要因かもしれません。

イニング

通年イニング

守屋は登板数との2冠。Bイニング40超えは過去2年で2人(17,18年の岩崎優と18年風張蓮)のみという大台です。よく投げました。それに肉薄したのは国吉佑樹。投げている球はすごいですしイニングも食っていますが、防御率5点台では厳しい。もう少しちゃんと抑えてほしいです。大下佑馬は筆者好みな敗戦処理投手。登録を抹消される回数もけっこうありましたがよく投げました。
佐野泰雄も40イニング超えを達成。谷間の先発も含めて本当によく頑張りました。見かけ以上の貢献度があります。この人がイニングを食ってくれなければ平井や増田にさらに負担がかかって優勝を逃していたかもしれません。敗戦処理を侮ってはいけません。チェン玉井と登板数上位が続きます。西村天裕は社会人上がり2年目の剛腕。去年はその能力を発揮しきれませんでしたが、ポテンシャルはクローザー級ではないでしょうか。今年のこの活躍を弾みに来年以降も頑張ってほしいです。玉井みたいにこのポジションに据え置かれるのではなく、勝ちパに入ってください。

防御率

通年ERAセ

通年ERAパ

前半戦振り返りでも書いたように、丁度いい人数になるよう、規定投球回数を25回とします。セは想定より多くなりましたが。
セ1位の藤岡好明は圧倒的な数字でした。トータルの防御率は1.86で、リード時の起用では結果を残せませんでしたが。地味ながらも縁の下の力持ち的にチームを支えました。島本も非常に優秀。目立つことが少なかった(と言っても月間賞とっていますが)又吉克樹福敬登も好成績でした。こういうところを見てあげてほしいんですよ、中日球団さん聞いていますか? さらに高卒2年目の遠藤淳志も1点台でした。遠藤は終盤勝ちパターンでの起用もあるなど、順調すぎる成長を見せています。
パの1位は西村。彼も目立ったことが少ない(なお月間MVM)ですが意外と(失礼)抑えていました。玉井は去年の3.31からかなり良化。パの他は数字が悪く、山﨑福也山田修義と続きます。彼らの頑張りにもどこかで評価を。優勝した西武からは2人が規定に到達していますがともに5点台。逆にトップ2が5位球団。これもうわかんねえな。

その他の指標についても規定投球回数以上の選手で見ていきましょう。奪三振率1位が島内颯太郎なのは納得いくタイプの投手。しかし福敬登田口麗斗が続くのは意外でした。田口は与四球率も抜群に良く、K/BBが8.50とかいう化け物みたいな成績でした。早く先発に戻って。菊池保則は0.73WHIPと内容が素晴らしい。その割には防御率が…(小声)。抑えるということは球数も少なく済み、P/IPも最少でした。
パの奪三振率は西村天裕髙橋純平が上位。まあイメージ通りというか。与四球率とWHIPは玉井。K/BBは純平となんと東條大樹! 突然の東條登場に驚きました。訳あって応援していた選手なだけに今年の活躍は非常に嬉しかったです。

勝利・敗戦

通年勝敗

ビハインドの展開で登板するので、勝ち星なんてのは基本珍しいものです。例年(と言っても過去2年ですが)は2勝する人が2,3人いればいいほうでしたが今年は3勝が3人も。2勝も6人でました。エップラーが勝ちまくってたのが懐かしいですね。負けがつくのはさらに珍しい。ビハインドで登板→味方が同点or逆転する→回跨ぎをして勝ち越しを許す、というプロセスを踏まなければなりません。なんて不運な選手なんでしょう。それが今年は5人もいました。今年はオープナー起用に見られるような継投の早期化が招いたものかもしれません。

Tighten

通年T真

筆者が扱う「敗戦処理投手」には大きく分けて2種類あり、ぼろ負けの試合に登板して勝ちパターンの投手を休ませる人と、僅差ビハインドで登板して逆転勝利に望みをつなぐ人です。Tightenとは後者のような投手を評価するために筆者が勝手に作った指標で、「3点差以内のビハインドで登板して1死以上をとった投手」に与える、早い話がビハインド版のホールドです。
例年、登板数と近いメンバーが上位に名を連ねます。ホールド数も併記していますが、10Hを超える準勝ちパターンの投手がちらほら。リードを守るのは勿論重要ですが、点差を広げられないこともそれと同じぐらい重要だと思うのですが、そういう場面での活躍は目につきにくいものです。それが、例えば島本の場合、63登板11Hでは「うーん…」と感じても、これが24Tを合わせて3点差以内で35試合抑えたとなれば見栄えは良くなります。こういう評価をどこかの球団でやっててほしいなと思います。

Mop-up point

通年M

今年途中で思いついた指標(遡ってつけました)。去年までは登板数とイニング数の差をとっていましたが、ワンポイント起用がマイナス評価になってしまうので、「1.0イニング以上を投げた時に1.0を超えた分だけ与える」ものとしました。
国吉
はイニングで2位。1イニングを全力で抑える(抑えられるとは言っていない)タイプかと思っていましたが割と跨げる(抑えられるとは言っていない)みたいですね。大下は成績を落としましたが、依然として(去年までは差でしたが)Mは優秀。投手がぐちゃぐちゃなあのチームにおいて、ロングリリーフは非常に重要な役割です。田口は差がわずかですが、ショートもロングも頑張ったということです。遠藤も良く頑張りました。終盤は勝ちパでモップ成績が伸びませんでしたが、階段を上るのが早かったので致し方ありません。広島はこの枠の使い方が上手いので、来年にはセットアッパーに抜擢されていても驚きません。佐野は圧倒的ですね。チェンもこれが適職かなと思います。福也もそのタイプですね、もう少し抑えてほしいですが。西村のMが多いのは意外でした。跨いだら乱れるタイプかと勝手に思っていました。短い期間でパッと輝いた小石博孝もランクインしています。

PR(Pitching Runs)
PRとは、「PR=投球回×(リーグ平均防御率-当該投手の防御率)÷9」の式で表されます。早い話、「より良い防御率でより長いイニングを投げれば良い数字が出る」というものです。敗戦処理投手の活躍ぶりを分かりやすく表現してくれる指標のひとつではないでしょうか。ちなみに、今年の先発投手でセの1位は大野雄大の25.82、パは山本由伸の31.05で、中継ぎでセの1位は岩崎優の17.20、パは増田達至の16.23でした。

通年PR上

防御率でもトップ2だった島本藤岡がPR10.0超えを達成。実は過去2年でPR10.0超えは0人。いかにこの2人がすごかったかと。又吉遠藤も順当。そしてここで祖父江大輔がランクインします。今回の記事内でもほとんど姿を現さなかった祖父江さん。勝ちパで投げてもビハインドで投げても目立たないという悲しい立ち位置ですが、いやほんと頑張って(語彙力)。
パは西村玉井とハム勢が上位。まあここまでを読んでいたら何となく分かるメンツですよね。非常に優秀な成績です。3位は森原康平。今回初登場です。29ホールドをあげたセットアッパーなのでB登板自体が多くなく、話題にあがることもありませんでしたが、ビハインドの場面でも十分に力を発揮しました。ちなみに森原は64登板29Hですが18Tをあげており、接戦でしっかり仕事をしてくれてと言えそうです。

通年PR下

なお下位はこんなかんじ。先に「敗戦処理投手の活躍を表現している」と書きましたが、これがマイナスだったからと言って、例えば国吉が投げた38.1イニングや佐野の40.1イニングが無駄だったわけではないことを念のため付け加えておきます。

Most Valuable Mop-upper 2019 発表

さて、いよいよ年間MVMの選定です。上述の数字を総合的に見て、最終的には筆者の独断と偏見で決めさせてもらいます。

栄えある受賞者は…

セ・リーグは島本浩也 投手、パ・リーグは玉井大翔 投手

そして特別賞は守屋功輝 投手です!!!

特別賞ってなんだよ???というツッコミは一旦置いておいて、まずはパ・リーグについて。個人的に敗戦処理投手に大事なのはイニングをたくさん投げることだと思っているので、イニングやMやPRを重視したいと考えていました。玉井はMがあまり多くないので受賞とするのに若干悩みました。しかし、その他の数字はいずれもリーグトップクラスであり、またチーム事情で苦しい運用を強いられたファイターズブルペンを強力に支えた投手と言っていい活躍でしたので、ぜひ表彰したいと思い選出しました。

島本もMでの上積みがなく若干悩みましたが、ほぼ全ての項目で上位にランクインし、防御率やPRに見られる貢献度の高さが抜群でした。この成績の選手を表彰しないわけにはいきません(独断と偏見)。育成指名からここまで這い上がる過程を見てきた者としては感涙ものです。よくぞここまでの選手に成長してくれました。

そして問題の「特別賞」。そう、勝手に作りました。守屋功輝投手です。質だけでなく量を投げてなんぼな敗戦処理・中継ぎを評価する意味でも、この人を何らかの点で表彰しないといけないと思いました。また、彼も島本と同様、首が涼しくなっていた状況からの大逆転人生と言える活躍ぶりで、勝手に褒め称えなければと思っていました。こんな賞があるなら一昨年は岩崎、昨年は風張にあげたかったです()

図らずも、3人とも一度も月間MVMにならなかった選手でした。何度も言っているように、リリーフが継続して活躍するのは難しく、またモップアッパーも固定するようなポジションではありません。なので目立たずとも安定した活躍をする人が年間大賞をとれるのでしょう。

さて、いかがでしたでしょうか。今年はいろんなテーマの記事に手を出したので、モップライブも新鮮味が薄れる更新時期となってしまいましたが、筆者がモップアッパーを愛する気持ちが失われたわけでは決してありません。そして、この一連の記事で少しでも彼らのことが気になったそこのあなた。あなたはもう立派なモップライバーです。これからも、目立たない選手にサンシャインを当てる野球の見方をしてあげてください。

本当はもう今年中に上げたい記事がもう1本あるのですが、まとめられる気がしないのでこれが最後になるかもしれません。是非来年も敗戦処理投手とモップライブ、そして正田一成をよろしくお願いします。

それでは次回の投稿でお会いしましょう!


(おまけとして、全ビハインド登板投手成績を球団別で貼っておきます。)

通年読売

通年横浜

通年阪神

通年広島

通年中日

通年ヤクルト

通年西武

通年ソフトバンク

通年楽天

通年ロッテ

通年ハム

通年オリックス


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