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『染、色』配信7/9

7/9〜7/11にかけて、舞台『染、色』の配信がなされました。2回目の鑑賞と配信ならではの感想を語りたいところですが、おしゃべりが苦手なので文章にします。好きな時にご覧ください。
前回観劇記録→https://note.com/shockdiekilly666/n/n6a447f5ccff4

まあ、ビックリ。真未が消えるタイミングも、深馬が倒れるタイミングも間違えていました。訂正してお詫びします。後ほど平成htmlふうに直します。できれば。

一気に書いたので見づらいのと、タイトルが虹の人の曲名なのは私の青春だからなので、ご了承ください。これもしれっと直します。

■自由への招待

真未の正体は深馬の創作意欲の擬人化であり、元彼女じゃないのかと2度目に視聴して思った。

真未は決まって「自由」を叫んでいたけど、彼女を拒んだと同時に深馬は真人間になり、溜め込んでいた不安を発散し切って倒れ込んていた。

物を創る人に対する地雷を除去班かというくらい、完膚なきまでに踏み尽くす真未。

彼女を追い払わず受け入れて打ち克てた人が、天才の名を手放すことなく維持し、認めたくない自分像に帳尻合わせしないで生きられるのかもしれない。はたまた「天才」を維持するために真っ黒に染まっていくのかもしれない。

創作に没入して落ちたところで、誰も責任は取れないし、名声を得たところでこれまでの人間関係は維持できるのかはわからないけれど。

深馬は天才をドロップアウトして幸せだったのか。

■trick!

「才能が開花すると同時に閉じていく可能性もある」深馬と北見の友達グループのなかで、一番凡人の原田が発した一言。終演後コメントでも正門良規くんが好きな刺さったセリフとして挙げていたけれど、観る人それぞれの人生に当てはまるセリフだった。

個人的にも今だに「若いんだから」と言われがちだけれど、ひょっとすると私自身でも知らないうちに人にも言っているかもしれない嫌なワード。ヴィジュアルレジェンドは歌の中で「何にもないことは何でもアリってこと」と説いていたけれど、若さの真っ只中にいると若いなりにも足掻いて悩んで泥濘に嵌ることもある。後から思い出せば、そこに執着せず時には"傍観者"になってみて考えても良かったのではと、思わなくもない。

若いとどうも執着して、絵を完成させて手放す時期を見失ってしまう。

加藤シゲアキくんは、コロナ禍で絶たれた可能性から、また生まれるものがあると言っていた。確かにそうで、この作品自体も昨年夏に中止を余儀なくされ、元々の脚本に加筆されたという。今年までに役者の方々も役を落とし込めてそれぞれが、作品の登場人物として生きられる期間になったのかもしれない。

■All Dead

後半に「このシミは消えない」という深馬、1回目の鑑賞でなぜ忘れていたのか分からないくらい、印象的なセリフだった。たとえ創作から離れても、真未から付けられた自由と葛藤した痕跡は消えない。離れたとしても、思い悩んだ青臭い悩みは大人になってから蘇るだろう。

介護が必要な父親と継げない家業、ゼミ講師滝川や同級生から期待されていた才能、創作を辞める理由が見つかったはずなのに倒れるまで離れなかった深馬。彼自身のどん詰まりに気付いた無念を思うと悲しいものがある。危い深馬は死なないで欲しい。そして、杏奈ちゃんを悲しませない範囲で狂っていて欲しい。

結局、別れちゃいそうだけど。

予備校講師をしながら、滝川みたいに後にフランスにでも行くのが彼の夢なのか。日本で突き詰めて油絵で大成するのが夢になるのか。平凡にベージュシャツを着ながら料理をして家族とのんびり過ごすのが夢なのか。

「2度目に見ると絵の印象が変わるね」と、話が本線に戻ってきたときの杏奈の言葉のように、一度離れてみると大切なものに気づくのかもしれない。

■Perfect Blue

配信だとほとんどが定点でないので、編集の仕方で主催側の見所がピンポイントで伝わってくる。これは確か舞台SHOCKの映画か配信のときにKinkiの光一くんが言っていた気がするけど。

真未と融合する後ろで、杏奈が最終面接をしているシーンのカットが良かった。そこの深馬の惨めさと、未来への扉が開けた杏奈のコントラストが色濃く出ていた。

杏奈に電話をするラストシーンも、おそらく私の観劇した数日前の収録だったので、かなり力んだ様子で違った印象。汗と涙と化粧もほとんど落ちて、深馬というより素の正門良規に見えた。

かなり上手の前方で観ていたので、配信では全体的な様子が観られたのは良かった。

楽屋暖簾も「あの時、初演で作られたものだ」と何十年か後にも、演技仕事している正門良規を観ながら思い出してみたい。

何より、カンパニーの皆様、大千穐楽までおつかれさまでした。素敵な作品をありがとうございました。


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