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これからの恋愛の話をしよう――石田月美・二村ヒトシ往復書簡

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2022年6月の記事一覧

対話7-B 心の穴の、その先へ(石田月美)

対話7-B 心の穴の、その先へ(石田月美)

二村ヒトシさま

この往復書簡も幕を閉じます。あっという間のようで密度の濃い時間を、この連載の中で過ごさせて頂きました。二村さん、いつも生意気な私の書簡に丁寧にご返答くださり、本当にありがとうございます。

この連載を始めてつくづく分かったことは、否定するのは簡単だが、肯定しつつその先を考えるのはいかに大変かということです。

前半戦では、私から心の穴への問題提起をさせて頂きました。そして後半戦で

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対話7-A これからの恋愛論(二村ヒトシ)

対話7-A これからの恋愛論(二村ヒトシ)

石田月美さま

この往復書簡の連載で、月美さんの知見と筆の力によって、僕の考えはずいぶん更新されたように思います。本当にありがとうございます。

『なぜあなたは「愛してくれない人」を好きになるのか』に「恋とは、相手を“得る”ためにするものではなく、自分を“知る”ためにするもの」と書きましたが、これからは、

「恋愛(や結婚)は、いまの自分であり続けるためにするのではなく、自分が“変わる”ためにする

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対話6-B 他者を受け入れる心の余白(石田月美)

対話6-B 他者を受け入れる心の余白(石田月美)

まず、二村さんの問題意識を私なりに整理させてください。

二村さんは、そもそも恋愛を始めるために動くことがうまくできず、恋愛を始めることができない男性について、次のようにおっしゃいました。

つまりこの問題は、恋愛ができない男性は女性に対する恐怖心から支配的になったり暴力的になったりする、ということだとも解釈ができます。そのような男性も一部にはいらっしゃるのかもしれません。であるなら、やはり心の穴

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対話6-A 欲望と信念と矛盾と「見ること」と非モテ(二村ヒトシ)

対話6-A 欲望と信念と矛盾と「見ること」と非モテ(二村ヒトシ)

石田月美さま

なるほど。

たしかに「あなた」が主語のときも「わたし」が主語のときも、「べき」を使わないほうが人の心は苦しまないですね。

「べき」を使わないべき、などと書いてはアホですから(僕はつい書きそうになります)、「べき」を使わないほうが恋愛を考えるときに(なにを考えるにも)有効だと表現するのが、読者にとっても書き手にとっても有効でしょう。

わたしが「してほしい」のに、それを、あなたが

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