経理をサポートする人「戸田正憲」
適格請求書等保存方式って何者?

適格請求書等保存方式って何者?

経理をサポートする人「戸田正憲」

答え=課税事業者は「請求書・領収書に消費税額を明記しないといけない。」が法律で決められた。

は?今までもそうだったんじゃない?
いえいえ、手元にある手書きの領収書。意外と「消費税額」が記載されていないんじゃないですか?

まず、消費税納税の原則を考えてみましょう。
消費者は消費税を払っていますが、納税しているわけではありません。
物を売った側が「消費者から消費税を預かった」体で、納税します。
でも、消費税を納める売った側が消費者にもなります。だって仕入がないと、物は売れませんからね。
したがって、事業者には、「預かった消費税」と「預けた消費税」の両方が存在するので、預かった税から預けた税を差し引いた税を納めます。
これが、消費税納税です。

事業者は、「預かった消費税」と「預けた消費税」を記録しないと、「納税すべき消費税」が計算できません。
これを、「区分記帳」と呼びます。
でも、どんな形式にせよ請求書(領収書)を保存しておかないと、たとえ区分記帳をしていても消費税を預かったり預けた事にしてくれません。
なんか当たり前のようですが、これ法律では厳密にしばられていませんでした。

これが、請求書・領収書へ以下の4項目の記載義務が発生します。
1.軽減税率の対象品目に印をつける
2.税率ごとに区分して合計した対価の税込額を記載する。
3.8%・10%の消費税額を記載する。
4.課税事業者登録番号を記載する。

要するに、8%と10%消費税課税を明確にしろって事です。
手元にあるレシートをご覧になってください。既に1~3は記載されていますよね。
だって、消費税増税した2019年10月1日からこの制度は暫定スタートしているのです。

そして、2023年10月1日から本格スタートです。
「4.課税事業者登録番号を記載する。」も義務付けされます。

では、課税事業者登録番号って何でしょう。

「適格請求書」を発行する為に、税務署へ申請をして登録番号を貰います。そして、登録番号を記載した請求書を発行する義務とその控を保管する義務が発生します。
登録番号は課税事業者しか貰えません。

事業者が消費税を預かった(預けた)を明確にするのが、「適格請求書」。
だから、それが誰かを明確にするために、「課税事業者登録番号」を記載するのです。

でも今は、免税事業者からの仕入でも課税事業者は「消費税を預けた」事に出来ます。
請求書に「消費税額」が明記されていなくても「消費税を預けた」事にしてもよかったのです。
変ですが、消費税が記載されていなかった請求書だけでは、相手が免税事業者か課税事業者が判断できないので仕方ありません。
「適格請求書等保存方式」が始まると、「適格請求書」に記載されている消費税しか「預けた消費税」になりません。

じゃあ、免税事業者にはこの制度は関係ないのでしょうか。

では、免税事業者と消費税納税の関係を考えてみましょう。
免税事業者は、消費税を納税しないので消費者から消費税を預かりません。
でも・・・

例えば10,000円の商品を売ることにします。
課税事業者は、商品価格10,000円・消費税1000円と記載した「適格請求書」を発行して11,000円を貰うことになります。
免税事業者である貴方が、同じ商品を売る時にどうしますか。
当然、同じ商品であれば11,000円の請求書を発行しても、課税事業者と競合できますよね。
取引先と信頼関係があれば、買ってくれます。
でも買う方が「課税事業者」だった場合、
課税事業者から11,000円の仕入をすれば、1,000円の消費税を預けた事になります。
でも「適格請求書等保存方式」が始まると、免税事業者からの仕入から1,000円の消費税を預けた事に出来ません。

要するに、同じ11,000円の仕入でも、免税事業者から買うと1000円多く納税することになります。
免税事業者は、10,000円で売らないと課税事業者と競合できなくなります。

では、売る免税事業者側から見てみましょう。
課税事業者が、本体10,000円の商品を売るために、別の課税事業者から本体5,000円の商品を仕入れた場合、5,500円(税込)で仕入れて11,000円(税込)で販売します。
そして、「預かった消費税1000円」から「預けた消費税500円」を引いて納税するので、
手元に残るお金は、5,000円です。
免税事業者は、5,500円(税込)で仕入れた場合でも、10,000円で販売しないと課税事業者と競争できない。
そして消費税納税が無いので、手元に残るお金は、4,500円。

え?免税事業者は損をするの?

そもそも、免税事業者から購入しても「消費税を預けた」事に出来ていたのが変。
だって今まで11,000円で、競争できて販売していた免税事業者は、5,500円利益が出て課税事業者より500円利益が多かったもの。

でも、制度が始まるとそうはいきません。
国は免税事業者に対し「貴方たちは課税事業者が「預けた消費税」に出来ることをいいことに、売る時、11,000円(税込)として販売して500円懐に入れてたんじゃないか」という発想。
それを益税と呼び、国はとりっぱぐれていた消費税2千億円を徴収する為の制度なのです。

どうすればいい?免税事業者。

免税事業者が課税事業者と同じ利益を守るには、選ぶ道は2つしかありません。
1.1,000万円以下の売上しかなくても、課税事業者として届け出る。
2.商品価格10,500円で課税事業者の商品価格10,000円(税抜)と競合して、勝つ!

零細である免税事業者は、課税事業者より上回る価格競合できる訳はなく、課税事業者になるしかありません。

でも国からすれば、消費者から預かった消費税を漏れなく納税されます。
そして、それによって増えた税金は、福祉に使われ国民全員が安心した暮らしができます。めでたし。めでたし。
でしょうか?

いやいや、免税事業者は、いままで懐に入れていた500円がなくなる。
そう、同じ商売をしていたら、利益が減るんです。
それどころか、
課税事業経営者が社員へ「小さな居酒屋で接待禁止。チェーン店居酒屋で接待するように。小さな居酒屋では、消費税を預けた事に出来ないから、同じ交際費使っても消費税納税額が増える。」と指示が出かねない。

課税事業者相手に商売をしている免税事業者は、課税事業者並みの利益を守るため、課税事業者選択届出をしないといけないのです。
特例が出るかもしれませんが、基本、届出の期日は「適用を受けようとする課税期間の初日の前日まで」
ということは・・・
免税個人事業者が、制度開始の2023年10月に課税事業者でいる為には、2022年12月末までに課税事業者の届け出が必要。
免税個人事業者でいられるのは、あとわずか。

結論。
「免税事業者も今から区分記帳を練習しておかなければいけない」

記帳なんか税理士に依頼すればいい。と考えている貴方。
間違えです。
絶対、記帳代行料金上げられるよ。当たり前だよ、制度が始まれば、工数倍以上になるんだから。

「自ら区分記帳をしましょう。」
え~できない。
大丈夫です。今時簿記を知らなくても区分記帳できる会計ソフトは腐るほどあります。
しかも、永年タダのソフトも。

やってみよう。教えて欲しい。そんな方は、こちらまで↓
https://www.sho-wing.co.jp/kigyou

相談無料。サポート有料。(笑)

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