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進化論に基づいた欲望把握

ステージ1 人類の欲望を生み出す8つの本能とその詳細

人間の多くの意思決定無意識に行われ、
自分が何を欲しているのかを正確に理解していないことが多い。
この現象は、チョイス・ブラインドネス(選択盲)と呼ばれる。
進化論的マーケティングは、
「その奥にある本能」という問いに焦点を当てる。
人類の欲望は原始時代の環境で問題を解決するために
設計されたシステムであり、生殖と生存の本能が根源的な欲求である。

ただし、これらの根源的な欲求から派生するサブタイプの欲望も存在し、
以下の8つの基礎本能として表される。

8つの基本本能

  1. 安らぐ:
    心身の危険から離れ、不安や恐怖から逃れたい本能→安心感
    この本能は、ストレスやリスクを最小限に抑え、
    安全で快適な環境を求める欲求から来ている

  2. 進める:
    明確なゴールを設定し、それをクリアしたい本能
    達成感を得ることで自己肯定感が向上し、
    自己実現への動機付けにつながる

  3. 決する:
    自分の行動や目標を自分で決めて実行したい本能
    自己決定性自己効力感が高まることで、
    自分の人生に対するコントロール感が向上する。

  4. 有する:
    生存に役立つモノや情報を所有したい本能
    物資や知識の獲得が、生活の質や生存確率を向上させる。

  5. 属する:
    特定のグループやコミュニティに入りたい本能
    人間は社会的な生き物であり、所属感つながりを求める。
    これは、集団内でのサポート協力が生存の成功に役立つためである。

  6. 高める:
    特定の集団の中でより上の地位につきたい本能
    地位権力が向上することで、リソースや配偶者の選択肢が広がり、
    生殖成功が高まる可能性がある。

  7. 伝える:
    周囲の人間に自分の特性をアピールしたい本能
    これは、他者との協力や競争において自分の価値を認めさせ、
    恩恵や地位を得るために重要である。
    社会的評価承認欲求がこの本能に関連している。

  8. 物語る:
    自分の人生に大きな意味を感じたい本能
    人間は自分の存在や経験に意義目的を見出すことで、
    幸福感や満足感を得る。物語やストーリーを通じて、自己同一性
    自己理解が向上し、自己成長や心の安定につながる。

これらの8つの基礎本能は、認知科学、行動科学、神経生理学、文化人類学などの分野で研究されている。また、人間の欲求を扱った
マクレランドの欲求理論(※1)、フェスティンガーの認知的不協和理論(※2)、
バンドゥーラの社会的学習理論(※3)なども、人間のモチベーションに関する研究の一部である。

これらの基礎本能を理解することで、消費者のニーズや行動をより深く
把握し、効果的なマーケティング戦略を立案することが可能になる。
また、自己理解意思決定のプロセスを向上させるためにも役立つ。

ただし、8つの分類が最適かどうかはまだ意見が分かれるものの、
ここに列挙した基礎本能そのものを否定する学者は少ない。
この理論は進化論的アプローチを用いており、
人間の本能的な欲望行動を理解するための
有益な枠組み(フレームワーク)を提供している。

※様々な欲求理論の簡易的説明

※1 マクレランドの欲求

1.達成動機(欲求)(nAch : need for achievement)
ある一定の標準に対して、達成し成功しようと努力する→目標達成

2.権力動機(欲求)(nPow : need for power)
他の人々に、何らかの働きかけ動機がなければ
起こらない行動をさせたいという欲求→周りへの影響力

3.親和動機(欲求)(nAff : need for affiliation)
友好的かつ密接な対人関係を結びたい、という欲求→交友関係の構築

4.  回避動機(欲求)(nAff : need for avoidance)
失敗困難な状況を回避しようという欲求→損失回避

※2フェスティンガーの認知的不協和理論

自分の中に矛盾する2つの認知が生じたときにあらわれる不快感
例)自分のセンスで購入した商品について、友人が高く評価してた場合は、
認知的協和の状態で問題がない。
ただ、
TVで批判されていた場合に、当該TVでの評価との食い違いが発生

購入済みの自己の判断基準を変えることは難しいため、
当該TV番組がいい加減なものだといったTV番組自体を否定、
あるいは
TVの指摘したような面はあるが、
異なった面がよいといった別のよい面を探し協和させる

※3社会的学習理論(モデリング理論)

人は自身の体験だけでなく他者の行動観察・模倣(モデリング)することによっても学習するというバンデューラによって出された理論
(言われてみれば当たり前だと感じる)

会的学習理論における一連の学習プロセスは、次の四つに分類できる
(1)注意:観察対象に注意を向ける
(2)保持:対象の行動内容を記憶に保持する
(3)運動再生:対象の行動を模倣する
(4)強化と動機付け:行動に対するモチベーションが高まる


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