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社会距離は、はじまりの距離だった。

アメリカの文化人類学者であるエドワード・T・ホールは、人と人のコミュニケーションの距離は4つに整理できるという。

密接距離(0-45cm)      :強い感情をやりとりする距離。
個体距離(45cm-1.2m):家族友人とのふれあいの距離。
社会距離(1.2m-3.7m) :雑談などのなにげない情報を交換できる距離。
公共距離(3.7m以上)   :形式的で一方的なコミュニケーションの距離。

コロナ禍において、コミュニケーション距離について感じたことは人によって異なるだろう。密接距離や個体距離にて居ることができる家族やパートナーの有難さを再認識した人もいれば、デジタル活用も含む公共距離が取りやすくなったことによる利点を感じるかたもいるだろう。

まちづくりの視点からこの距離を考えるに、まちづくりというものは、まちに人と人とがコミュニケーションできる社会距離の場を生み出すことに励んできた、といってもおかしくない。自分もその一味である。

都市空間に人と人の交歓などの社会的交流が失われてきたことを背景に、家の中にある密接距離・個体距離やまちに対する形式的な距離である公共距離だけでなく、そこからなにかはじまる距離として社会距離をつくることに励んできた。そこからいろんなプロジェクトが生まれ、人と人とのつながりが生まれていった。

まちづくりにとって、社会距離は、はじまりの距離だった。

コロナ禍における難しさがそこにある。

高野 翔



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