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AI規制に乗り出したEUの後追いをしてはいけない理由

生成AIに関しては様々な場所で賛否が分かれています。

教育業界などは慎重な意見が目立つのに対し、産業界においては期待する声が大きいようです。

そんな中、EUではAIに関する規制法案が可決しました。

具体的には、著作権保護やプライバシーの侵害に配慮はなどが中心となった修正案が可決されたとのことです。

なぜ法規制を行うのか

なぜEUでは法規制を行うのでしょうか。

記事内では以下のように書かれています。

EUが諸外国よりも厳しい規制を検討する背景にあるのが、「基本的な権利」を守ろうという意識です。
例えば、AIを導入した金融機関で、融資を受けようとした場合。
AIは、ネット上にあふれている個人情報などを集めて判断材料にしますが、そのなかには、真偽不明のものも含まれます。
プライバシーを侵害するのではないか。さらには、誤った情報に基づいて、融資を断る事態が起きるおそれはないのかなどが懸念されています。
また、「画像生成AI」の分野では、学習させる画像データがどこから収集されたものなのかあいまいなケースや、使用の許可をとっていないケースもあり、著作権侵害のおそれがあるのです。

こうした真偽や情報の元ネタが不明である、という欠点は確かに存在します。

しかし、これはネット社会が発展した過程で生まれた社会システムとのミスマッチの一つであり、安易に法律や規制だけで制限できるものなのでしょうか。

金融機関の融資可否のリスクなどももっともらしく書かれていますが、これまでも担当者がどのような材料や基準で判断をしてきたかは不明であったことも多いのではないでしょうか。

また著作権に関してもその概念や関連する法律はすでに20世紀の遺物であり、デジタル化が進んだ現代社会には適合しない状況となっています。

AIが著作物として認識するためのNFTの概念や理解、利用の促進を進める事案であって、無理やり法規制をしても全く意味がないでしょう。

人権意識の高さだけではないEUの思惑

ヨーロッパのこうした動きに対し、マスコミや教育関係者などにも多い「進歩的知識人」は好意的に受け止めること多いように感じます。

しかしAIの可能性を狭める危険性すらあるこの手の規制を人権意識だけで行うでしょうか。

このあたりの事情は表面に見える情報から推測するだけではあるのですが、生成AI技術をリードするOpenAI社やアメリカへのけん制の動きのようにも見えます。

現在、生成AIの技術で名前が挙がるのはOpenAIのChatGPT、MicrosoftのBing AI、GoogleのBird、MetaのMusicGenなど有名どころはアメリカのシリコンバレーの企業ばかりです。

少なくともこの領域に関してはEUは明らかに出遅れており、EU圏での開発や対抗できる企業の育成のために時間を稼ぐ必要があります。

ヨーロッパではそうしたルールの改変によって優位性を保つ手法は毎度のことです。

2035年の内燃機関車販売禁止や炭素規制などもそうした側面があるでしょう。

今回のAI規制もそれに類するものであるという見方は決して間違いではないでしょう。

AI規制の尻馬に乗るな

日本では欧州信仰が根強く、ヨーロッパは先進的で人権、道徳的で見習うべき模範であると認識する人は少なくありません。

今回のAI規制もそうした意識に流されて、日本国内でもAI規制推進派が勢いづく可能性は否定できません。

仮に日本国内で規制をかけたとしても、EUは水面下で開発を進めていくでしょう。

そして実用段階や対抗できるレベルになった瞬間に彼らは「安全性が示された」と言って解禁するはずです。

結果として日本だけが取り残される可能性は極めて高いでしょう。

EUの後追いをし、彼らの表面上の言葉に騙されて尻馬に乗るようなことだけは避けなければいけないと思うのです。


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