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ChatGPTなどの生成型AIを授業利用と高校数学での活用に関する考察

2023年に入ってからChatGPTに関する話題が注目を集めています。

また、3月に入ってからはGPT-4が利用可能(制限有り)となり、生成型AIの可能性に関しては多くの人が関心を持っています。

学校における種々の活動や授業などでもその利用について議論されていますが、そうした議論の中には利用を禁止すべきといった安直な反対意見も存在します。

制作物の結果での評価は不可能に

よく言われるのが読書感想文や作文といった、長期の休みに学校が生徒に課していた課題に関するものです。

こうした制作結果で評価をする類のものは存在価値を失いました。

これらの活動は生成型AIが作ったものをコピペすることで、結果を簡単に得ることが可能だからです。

現在一般公開されている生成型AIですら、ある程度はまともなレベルのクオリティで仕上げることは可能であり、この数年でさらに進歩すれば間違いなく人間が書いた出来の良いものとの判別は不可能になるでしょう。

おそらくは入試などにおける事前の志望動機や志望理由を書かせる課題に関しても同様で、この手の事前課題に関しては取りやめになるでしょう。

教育活動や授業における活用法

つまり従来型の成果提出型課題を学校で課す意味は消失た、と言えます。

では、どのような学習や課題ならば今後の技術革新に対応できるのでしょうか。

考えられるのが教室などの共有スペースで同時に作成を行う課題です。

ここでポイントになるのは成果物を評価するのではなく、教員は作成過程をサポートしながら、その過程そのものを評価するということです。

この場合は、生成型AIの活用も可能になります。

例えば小論文で考えてみると、初学者の場合は質問を入力し、それに対するAIの解答を人間が添削するというものです。

次に考えられるのは、ある方向性のある解答をAIに書かせたのち、その対案を書くということも考えられます。

また自分の書いた文章を読み込ませて、瑕疵や矛盾を指摘させることもできるでしょう。

こうした作成の過程に対し、教員側はAIへの質問の工夫やサポートを行い、各自の成長を確認しつつ評価を行えば、これまでよりもより効果的な学習が可能となるでしょう。

高校数学ではいかに活用が可能か

ChatGPTに対して「円の接線を求める公式の導出方法を説明して」という問いかけを行った結果が以下になります。

例えばこの考え方を説明したり、実際に手を動かして確認する作業を授業中に行うことが考えられます。

今回の場合、接点の座標は円の中心からの直線と円の交点を探す方がシンプルですが、ChatGPTはそのやり方を行っていません。

こうしたAIが行っていないやり方や、逆に"atan2"といった高校課程では使用しない数式も存在し、その内容を調べて考察することもよいでしょう。

とはいえこれだけでは実際に問題を解くことはできないわけで、問題演習を各自ですること自体は依然として必要であることは付記しておきます。

実際に学力向上に効果はあるか

これまでは成果物の達成によってある程度の学力を担保する部分がありました。

小中学校は当然ですが、高校においても進学校ではそうした指導で学力を保証してきました。

しかし、残念ながらこうした成果物達成主義では共通テストに対応できなくなりつつあります。

その場で読み取り、考え、答えを探っていくスキルを求められるようになったからです。

ChatGPTなどの生成型AIを利用することで学力が格段に向上するということはないでしょう。

基本的には人間の学習は人間自身の記憶や理解に紐づいており、AIはそのサポートやヒントを与えるに過ぎないからです。

しかし、新しい視点や考え方の方針を得ること、従来は検索することが難しかったもの(文章の言い回し、書き方、ロジックや数学の解答方針など)に対しては非常に効果的に利用することが可能です。

私自身、まだこうした生成型AIの利用に関して暗中模索の状態ではありますが「使わない」「全否定」という前提ではなく、活用するというスタートラインから走り出していきたいと思います。


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