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全て学校任せの社会システムが方々に弊害をもとらしている現状

大学入学共通テストの出願が近づいています。

前身の大学入学センター試験や共通一次試験を受験した人の数は相当数に上り、多くの大人はこの試験を経験した、という記憶を持っているでしょう。

しかし、その人たちは自分が現役の時にどうやって出願をしたか覚えているでしょうか。

実はこうした試験は高校で取りまとめをして、大学入試センターに送付しています。出願確認のはがきや受験票なども学校にまとめて送付され、そこから受験生たちに手渡しすることになります。

おそらく、浪人した人だけは自分で願書を取り寄せて送付したことがあるはずですが、現役生はたいていの場合何も意識せずに試験会場まで行ったのではないでしょうか。

「責任」を取ることができない恐怖

この手の試験の取りまとめに関してはもちろん非常に面倒な業務であるため、率先して請け負いたいものでは決してありません。

しかし、それ以上に恐ろしいのはミスがあった場合に責任を取ることができないというところにあります。

上のリンクにあるようなミスは日本中で毎年のように発生しています。

しかし、大量の願書を抱え込み、同時に入試の対策などを業務として並行しているとミスの発生する率は上がります。

ところが、この手のミスは賠償で済む話ではありません。一人の人間の人生を左右することになる問題なのです。

個人での送付を原則としてほしい

だからこそ、個人での送付を原則とし、自己責任としてほしいのです。

そもそも自分の進路選択の重要書類を誰かに委託して渡す、しかも弁護士などの法的な代理人でもない人間に、という状況が異常なのです。

おそらくこうしたシステムは郵便費を大学入試センターが個人とやり取りをすると膨大に発生する郵便費を抑えるために成立したシステムと考えられます。

オンラインによる登録や確認が可能となった現代において、無理に学校を経由して申し込むこと自体が無駄な工数を増やしているだけのように見えます。

委託業務のヤミ

出願業務は非常に面倒な上、通常業務に重なって発生する不随業務になりますが、こうした業務に従事しても追加の手当は発生しません。

しかしもっと本質的な問題は、大学入試センターという組織はそうした受験票のとりまとめ業務の一部を日本中の高校に委託しているにも関わらず、その費用を負担していないということです。

こうした無償での業務委託制度は共通テスト以外にも、英検や学生支援機構の奨学金などに見られます。

英検は準会場としてわずかな会場費しか払わず、試験監督の監督手当は英検側からは支払われません。

学生支援機構の申し込みに関して、各高校から担当者が決まり、申し込み生徒の管理などを行います。申し込みの集約や入力補助指導も教員が請け負っています。

誰のためにもならない

こうした業務の積み重ねが教員の仕事量を増大させ、近年の働き方改革の原因であり、また不人気化にも関係しているでしょう。

それだけでなく、当事者意識の欠如を生むことで生徒の責任感を奪い、大人になるための精神的な成長の機会を奪ってさえいるのではないでしょうか。

自信が教員だから、というだけでなく一人の親としてもそう感じています。

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