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研修を受けていないために、免許が失効し、研修を受けていないのに復活する謎

教員免許更新制度が廃止になりました。

これ自体に関しても賛否はありますが、それ以上に今回不思議に思ったことについてまとめていきます。

再授与申請だけで有効に

先日、報道されたのが以下の内容です。

どうやら、教員免許を失効した場合、再度授与申請をするだけで復活するようです。

これに関してどのような根拠(法的な根拠ではなく、道義的、論理的な根拠)でこの制度を行うのでしょうか。

そもそも、更新制度は教育現場から不適格教員を排除すべきという世論の後押しから成立したものです。

第1次安倍政権にとっての格好の票集めともなる政策でした。当時、教員のスキャンダルなども多数報道されていたこともあり、国民の支持を受けての流れだったと記憶しています。

失効した教員は不適格のハズなのに

そんな中で生まれた教員免許更新制は、最新の教育事情や学問的知識をアップデートすることで不的確な教員を排除する目的で制度が設計されています。

もちろん、その目論見が上手く行っているのかは甚だ疑問ですが、その目的があったことは事実です。

つまり、講習を受けていない教員は不適格だ、と切り捨てて教育現場から更新講習を受けなかった人間を排除しました。

にも関わらず、その不適格者を今度は無条件で教育現場に差し戻そうとしています。この矛盾に関して、どういう根拠をもって回答するのかとても謎です。

免許更新講習に効果はなかったのか

現場の教員の大多数から不評だった教員免許更新の講習に関して、どの程度効果があったorなかったのでしょう。

講習内容

講習内容は主に専門教科と教科外の教育知識のアップデート講義でした。

考え方や教え方、いじめや精神疾患の生徒への接触方法などに一定のガイドラインを示す講習と、専門教科の内容を深堀りをする内容に別れていました。

効果はあったか

個人的には、内容自体は非常に興味深い講義が多く、新しい知識を吸収するという観点からは非常に効果が高かったと感じています。

教職全般に関わることではLDやASD、ADHDなどの生徒の特徴や合理的な配慮など、最近問題が増加するものに関しての知識獲得の場として非常に有意義でした。

専門教科に関しては、ロケットの打ち上げや微分方程式の関わりについてが私の受けた内容でした。そのまま中高生の教科内容に持ってくることは難しくとも、上手く消化すれば、新しい考え方の提案や指針が示せていたように思います。

更新制度の問題は

もっとも大きな問題は、教員が自腹で講習費の支払いをする必要があったことだと思います。

業務上必要な資格であるにも関わらず、自分で手出しを行うのはいかがなものでしょうか。

公私を問わず、設置者や文科省が主体となって費用負担にまで言及できれば、現場の教員からももう少し支持を得られたようにも感じます。

免許復活は教員不足の解消に寄与できるか

この程度の施策は残念ながら効果は薄いでしょう。

そもそも恩恵に与ることができる人間の数はごくわずかです。

また、仮にペーパーティーチャーとなっていた人が、これほど社会的問題を抱え、今回のように関連省庁が人集めに奮闘する教育現場に来たいと思うでしょうか。

正直、かなり疑問です。

とはいえ、慢性的な人手不足になりつつある学校現場ですので、お時間のある人はぜひ平日に教育委員会に行って、免許復活の手続きをしてみてください。

それこそ、その手間をかけさせることが難しいと思わなかったどうか…謎です。

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