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川崎市教員、休暇不正取得の案件に関する雑感


川崎市教員、休暇不正取得

川崎市の教員が新型コロナウイルスの感染拡大防止のための「特別休暇」を申請したにもかかわらず、出勤をしていたということで給与の返納を求められるという件がニュースになっています。

 川崎市では2020年5月から、コロナの感染拡大防止のため、保育所の臨時休業や登園自粛要請により自宅で未就学児を世話しなければならない場合、特別休暇を取得することが認められた。

では今回の特別休暇に対し、どうして不正取得と見なされたのでしょうか。

特別休暇中に出勤

今回の特別休暇を不正取得と見なされた理由は休暇中に出勤をしたことにあるようです。

 女性も特別休暇を申請していたが、同年5月に2日、6月に1日の計3日間、生徒が写真撮影などで1~2時間ほど登校するのに立ち会うため、出勤の必要が生じた。そのため、子どもを短時間保育園に預けて勤務した。

今回の事例に関し、私はニュースを読んだだけの門外漢でしかないため、個別の詳しい事情に関しては知り得ないということが前提となります。

とはいえ、この記事を読む中で感じるのは今回の事例を処分とするのは現場を見ていない、官僚主義的な扱いであるように感じます。

教員の仕事はどうしても属人化せざるを得ない職務内容が多数存在します。今回のように写真撮影などの場合、担任教員がいなければ成立しないケースも存在するということです。

そのために通常ならば出勤をしなくてよいが、善意で出勤をした、という可能性は高いように記事からは読み取れますし、その状況は同業者として推測できるところです。

管理職の管理責任をまず問うべき

特別休暇を目的外に使用することは当然処分されるべきです。しかし今回の件に関してはどうでしょうか。当該教員はあくまでも出勤をしています。では教員は独断でそうした行動を行ったのでしょうか。

 女性は20年5月時点では時間単位の取得ができることを知らされていなかったほか、いずれの日も管理職に事情を話し、了承を得て出勤していたという。

本件においては出勤をしていることを管理職は了承していることから、あくまでも管理職の管理下にあったとするのが妥当です。仮に問題があるという認識を管理職がしていたならば、休暇申請を訂正させるべきですし、そもそも出勤を許可すべきではないのです。

加えて問題なのは本件に関わる処分の重さです。

女性も文書注意を受け、該当の3日間について特別休暇ではなく、本来勤務すべきなのにしなかったと認定された。勤勉手当の引き下げ対象にもなり、市教委から計28万円余りの返還を求められている。

管理職の了承を受けていたにも関わらず、労働者個人に28万円の返還を求めるのはあまりにも不条理な請求ではないでしょうか。

法律の条文通りを求めるならば労基法も同様に扱うべし

今回の教育委員会の処分はあまりにも杓子定規な対応に見えます。とはいえ条文通りに解釈をするというのであれば教育委員会に理があるのも事実です。

しかしそうであれば教員の労働時間や業務などに関してもきちんと法律通りの管理を行うべきです。自分たちはの都合の良いときは法律を守らせ、都合の悪い時には脱法行為を働くというのであれば道理が通りません。

何よりもそうした対応をするほどに、川崎市で教員を志す人間の数を減らすだけでしょう。

昨年、川崎市はプールの水を出しっぱなしにした件で教員個人に賠償を負わせる処分を行っています。

度重なる教員への厳しい処分と川崎市教育委員会の対応を見る限りでは、教員に真摯に向き合い、サポートしようと姿勢は一切見られません。正直な話、私ならば川崎市で働くことだけは絶対に避けたいとしか思えないのです。

今回の件がどこに着地するのかはいまだ不明です。ただ一つ言えることは、「川崎市の教員だけはお勧めできない。」という言葉が教員を目指す若者へのアドバイスとして定着しそうだということです。


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