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「今年の漢字」という茶番劇が苦手という話


今年の漢字

この時期になると「今年の漢字」というニュースが話題になります。

どうやら今年は「税」という漢字を今年の漢字とするようです。

毎年なのですが、このニュースが私は苦手です。

別に憎んでいるわけではありませんが、これを公共性のあるメディアがわざわざ時間を割いて取り上げ、京都まで取材に行く様を見るとバカらしさを感じてしまいます。

誰が決めるのか

さて、まず「今年の漢字」は誰が主宰しているイベントなのでしょうか。

答えから言えば、これは日本漢字能力検定協会が1995年から行っている行事です。

「今年の漢字」は、1995年から漢字の素晴らしさや奥深い意義を伝えるための啓発活動の一環として始まりました。毎年年末に一年の世相を表す漢字一字を全国から募集しています。そして、最も応募数の多い漢字を12月12日(いい字一字)の「漢字の日」にちなんで、京都・清水寺で森清範貫主の揮毫により発表しています。

漢字検定協会が漢字学習の啓発活動として行うのは自由ですし、それを集めて発表するのも勝手にすればいいことです。

しかしこれはあくまでも私的な一団体が行う行事であって、公益性のあるものではありません。

題字を書く清水寺の代表の方にしても公的に選ばれたわけではなく、漢検協会が恣意的に選出したに過ぎません。

にもかかわらず国民的行事のように報道されることに関して、個人的にもやもやした感覚を私は抱いてしまいます。

「税」

「今年の漢字」はどうやら投票制度をとっているようで、今年は「税」を選んだ人が多いということなのだと思います。

しかし果たしてこれは適切な字と言えるでしょうか。

まずもってこの1年において直接的に税金が上がったわけではないし、増税法案が決定したわけでもないと記憶しています。

強いて言えば時の首相を「増税メガネ」と身体的特徴でマスメディアがヘイト活動を行っていたぐらいでしょう。

国民を扇動して作り上げた雰囲気から選ばれた「税」という漢字、さらにそれを取り上げて再度アジテーションを繰り返すマッチポンプのお家芸にはあきれ果ててしまいます。

こうした違和感、不快感はユーキャンの「新語・流行語大賞」と同種のものです。

ちなみにですが、日本漢字能力検定協会は公益財団法人、清水寺を運営する北法相宗は宗教法人、ともに公益性のある事業に関しては法人税が非課税となっているというのはなかなかの皮肉でしょう。

楽しみにしている人を悪く言うつもりはない

こうした行事を楽しみにしている人もいると思います。

実際、職場や知人などの間でもこうした「今年の漢字」は話題になりますし、その人たちを揶揄したり、非難したりするつもりは一切ありません。

そこで冷や水をかけるような言葉を発するほど空気が読めないわけでもありません。

ただ、このニュースを聞くたびに「なんだかなあ」という気持ちになるのです。

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