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紙の辞書とネット検索、どちらが効果的かは議論すべき本筋ではない

ICTが学校現場に普及する事で以前から度々議論となっていた辞書問題が再燃しました。

電子辞書と紙辞書のそれぞれの推進派はこれまでも多くの白熱したバトルを繰り広げ、決着が付かないままこう着状態となっていたように感じます。

紙辞書は時間がかかるが類語や用例、目的外の単語に出会える可能性がある。電子辞書は検索が速いが類語の数が少なかったり、例文の数に不安が残るといったものです。

ネット環境につながる検索は電子辞書を遥かに凌ぐ

学校においてオンラインの検索が可能になったことで、電子辞書のマイナス面の多くが解消されました。

例えば用法や用例に関するものです。

これに関しては、あらかじめ頻出とされる例文しか収められていない紙辞書に対し、同様の用例が複数候補に上がるオンライン検索の方がはるかに優れています。

既存の出版物や著作物における用例もはるかにオンライン検索に分があります。

少なくとも単語を「検索」するという機能に関しては文句なしでオンライン検索が優れていると言えるでしょう。

セレンディピティの少なさ

こうして見ると紙辞書が勝る部分は無いとも見えます。

実際、単語を「検索」する、すなわち「調べる」という辞書としての単体の機能においては比べるべくもありません。

さて、ではオンライン検索における思わぬ言葉との遭遇という可能性に関してはどうでしょうか。

オンライン検索を行うと、類似の言葉や用例に関してはかなりの精度で検索結果を導き出します。

その類推能力は極めて高く、基本的に私たちが望む可能性のあるものを目的の単語とその隣に並べてくれます。

しかし、思わぬ単語との出会いという意味では不向きです。

検索は希望したものを表示はしますが、私たちが望む以外のものは極力結果から排除しようとします。

その結果思いもしない単語との出会いは制限されてしまうことになります。

一方で紙辞書はどうでしょうか。

紙辞書はアルファベット順に書かれているだけで、意味上のつながりで単語が描かれているわけではない、という事です。

そのため、全く想像していなかった新しい単語と出会い、印象に強く残るケースもあすのです。

どちらも使うべき

オンライン検索は便利であり、目的の単語が決まっているシチュエーションにおいては最大限の効力を発揮するでしょう。

紙辞書は想定し得ない新しい単語と触れ合う機会を増やしているのも間違いありません。

重要なのは片方にこだわる事なく、その場に応じてどちらも利用できる環境やマインドセットを準備する事では無いでしょうか。

オンラインはフルで活用する一方で、紙辞書を持ち歩きその場で検索する、これが21世紀に求めらる状況なのでは無いかとも思うのです。

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