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ユーザー向け/企業向け両方をターゲットにして感じた、WEBビジネスのToCマーケティング・ToBマーケティングの違い

こちらはLAPRAS Advent Calendar 2023の12日目の記事です。今回初投稿ですが、よろしくお願いします。

私は今LAPRAS株式会社でマーケティングを担当しております。当初はToC向けのデジタルプロモーションとしてマーケティングに参画しましたが、今はToBマーケティングも合わせて担当しております。ベンチャーのマーケティング担当になりますので、どのように対象に価値を提供できるかを中心に考える、いわゆるキラキラ系ではないどろくさPDCAマーケターになります。笑

そんなLAPRASは対ITエンジニア向けに市場価値測定のWEBサービス「LAPRAS」の運営とITエンジニアのダイレクトリクルーティング向けツールの「LAPRAS SCOUT」を運営しております。

私のキャリアはWEBビジネスのToC向けが中心だったのですが、今回ToB向けマーケティングを多く携わることになり、相違点にたまげた部分がたくさんありました。その中でも特にここが違うぜ!びっくらこいた!の箇所を概念論ではなく、現場目線で共有します。

ToCマーケティングとToBマーケティングは種目が違う!

ToCもToBも所詮はマーケティング、価値を伝えたり数字を作るロジックは一緒だろヘヘッとたかを括っていた自分がいたのですが、ToCマーケティングとToBマーケティングはまるで違います。

どなたかのXのTwitterで書いてあったのですが、そもそも競技が違うと。そこまでとは思わずとも、私の感覚では例えば同じ水泳という競技の中で「平泳ぎ」と「バタフライ」くらいまったく違うものでした。

まったく違うんだよ!が伝わればいいのですが、もう少し補足すると使う筋肉は似ていても、動かし方が異なったり、それがゆえに基本の筋肉を動かすために使う周辺の筋肉はToBとToCで違うという感じです。
例えば、基本筋肉がユーザーニーズを司るだとすれば、それをどのように実際に司っていくかというところです。

プロモーションチャネルはToCとToBで全く違うよねといえば簡単に伝わると思いますが、それはマーケティングに携わる皆さんはだいたいわかることなので、私が今回書いた記事は「取り組み方や考え方の違い」にフォーカスを当てさせていただいております。

もはや水泳の例をあげたことで全然伝わらなくなってきた部分もあるかもなので笑、具体的に何が違うということをつらつら書いていきます。

「ユーザーを知る」ことの取り組み方が違う

マーケティングをする上でお客さんのニーズを把握することは絶対です、マストです、命と言っても過言ではありません。今までWEBビジネスでとなると私はゴリゴリのWEB屋さんだったので、それこそユーザーを理解することは「アクセス解析」で必ずデータをじっくり見ることを意識していました。最初に取り掛かるのはそこからで、どの現場に行ってもまずはそこを理解するを信条にしていました。

ですが、ToBマーケティングのユーザー理解はアクセス解析だけやっていたらうんともすんともいかなかったです。これは自分なりの仮説ですが、理由は以下です。

  1. 対象の人数がそもそもCに比べて少ない

  2. 対象の行動理由がサービス近辺で完結しない事が多い

1は、当たり前の話ですが消費者数のほうが、企業数よりも多いためサービス内の行動の理由を把握しきるサンプルが少ないという点。もう一つ、2に関してはサービス以外の要素がサービス内の行動に影響を与える点がCよりもBのほうが多いからという点です。

2に関して具体的にいうと、例えば企業の資料請求はWEBページだけ見て完結することはほぼなく、自分の知り合いからの口コミや判断に左右されるということがあります。そういったことが、WEBサービス内の挙動だけ見てもなかなかわかりにくいところに繋がっています。

当時決めたToB向けのカスタージャーニー
改めて見ると、自分以外の人間が変数になることが多々ある

これがToCであれば、サービス内でいろんなギミックを用意し、特定の行動への誘導ができるし、ニーズにピンポイントに合わせて広告を出して誘導することもできます。WEBビジネスのToCマーケティングはサービス近辺で購買を誘導できるからこそ、アクセス解析一本でもユーザー把握が成り立ちやすいのです。

なので現在は、ToB向けマーケティングでは徹底的に顧客インタビューからのN1分析をやっていく方針にしています。ToC向けのマーケティングでももちろんやっていますが、ToB向けは特にそちらのほうがユーザー行動を理解しやすいですし、何よりお客さんと直で触れたことで採用担当者のお悩みを生で理解できたことは非常にいいことだなと、徳を積んでる感じがしました。

消費財系・メーカーご経験者の方からすると当たり前だろうという感じかもですが、WEB屋さんの私からは「ユーザーを知る」ことの違いがToBとToCでここまで違うことは驚きでした。

顧客への説明テキスト量が違う

上で記載の通り、企業の行動はサービス内ではすぐに決まりにくいというところにもつながるのですが、ToBマーケティングでは説明の量を担保しないと訴求が伝わりにくいと言うものがあります。一方でToCマーケティングの場合は訴求をシンプルにまとめるが望ましいと思います。要は、クリエイティブを作る上で顧客へ必要とする説明テキスト量が大分違うなというのもというのも感じた一つの違いです。

ToBマーケティングは単価も高い傾向にあるので、当然一言単位の訴求だけでは伝えきれません。ただえさえその場では決めきれないので、情報量が充実したものを見せていくことで、伝わる情報が提供できる可能性があがります。

ToCマーケティングは訴求さえ決めて、クリエイティブはシンプルに表現、ニーズに突き刺さるわかりやすいものが望ましいです。というのも何万、何百万人のユーザーを相対するため、ToCマーケティングは一旦は万人受けするコンセプトや訴求を全面に押し出さないと数字改善も、オペレーションもまず回らなくなります。最近ではAIや接客ツール、レコメンド広告の進化もあって個別最適も容易にはなっていますが、最短経路はやはりこっちとおもいます。

言葉にするとそりゃそうだろうとなるのですが、この違いに一番とまどった、というかきつかったのがお客さんに伝わるクリエイティブ生産のためのオペレーション構築です。ToCマーケティングを主戦場にしていた私は、訴求はある程度わかりやすいシンプルなものを作ったら、似たターゲットへのマイナーチェンジ&横展開か、個別ミートのためのドリルダウンが中心でした。ページはそれらの組み合わせです。ただし、ToBマーケティングでは訴求にコンテキストを求められます。営業資料や説明としてどう膨らませるんだといったストーリーを重視します。し、シンプルにした訴求を膨らませるって。。この取り組み方の違いを認識して切り替えていくのは非常に苦しかったのを覚えています(し、若干今も戦ってます笑)

オペレーションを構築して行く過程でわかったことは、このクリエイティブの企画がToBマーケティングではキモになると捉える方が多いので、議論したい人は社内に結構多いんだなと言う事でした。そこで、得意そうな人に(無理言って笑)集まってもらい、オフサイトミーティングを開き、色々意見をまとめていきました。ターゲットだけ定義してそこに「何を訴求」するかをまとめてもらったものです。

上の図は協議したターゲットの一部です。訴求する内容をみんなで書いていってもらいました。

訴求を協議すると、当然内容は膨らみますし、他人が考えた訴求を連結させてストーリーを作ることもできます。このような形でコンテキストを作っていきました。この辺のクリエイティブに対しての捉え方や構築の仕方が、まさにToBとToCとで基本は一緒でも使う筋肉が異なるということなのですが、自分と感覚の違うところに対して、解決して進めていくためは周りの協力を仰ぐことは不可欠だなと改めて感じたところですし、そういった環境で働けてよかったと思っております。

ターゲット粒度が違う

最後は、ターゲット粒度の違いです。これはToBマーケティングとToCマーケティングの違いという構図だけではなく、セールスとマーケティングの違いという構図にも当てはめていいのではないでしょうか。いわゆる最小粒度への確実な攻略と最大粒度の最適化、どちらが重要に対しての考え方の違いです。

ToBマーケティングでは営業部門との関わりが不可欠になってきますが、ToCマーケティングはWEBのみのビジネスでも店舗ありビジネスでもそうでしたが、少なくとも私が色々転職して経験した中で、現場レベルではマーケティングと直販部門とでそこまで関わりがありません。それぞれ別々で課題に対峙するという感じでした。なので、この違いに向き合うことが少なかったのですがToBマーケティングではよく向き合う形になりました。

例えば、「決済者」かつ「導入検討1ヶ月」「運用リソースが豊富」でという情報でターゲットしたとしましょう。当然、このターゲットのニーズや提供価値、競合へのポジショニングをどうするかなど検討して、深掘りします。結果、営業部門は営業資料やトークスクリプトを豊かにでき、マーケティング部門は宣伝物をゲットすることができます。

問題はその後です。営業部門は商談相手にコンタクトを取るでOKなのですが、マーケティング部門はそれを届けるのに苦労します。なぜならそのような媒体が存在しないからです。自分でイベントなど開いてそういった対象が集まる媒体を作ったり育てたりするしか無いのですが、人が集まりにくかったり、工数対効果が伴わなかったりします。つまり最小粒度でターゲットが切られると商談コンタクトはできても、プロモーションができないのです。

これは逆も真なりで、なのでマーケティング担当者は対象をあら目に切ってプロモーションしやすい、かつおそらく商談数を最大化できるターゲットを狙っていきますが、結局受注につながるの定性情報がそのターゲットに存在していないため、営業部門はマーケティング部門が作ったリードから受注しづらいとなります。

いわゆるよくあるマーケと営業との考え方の違いですが、ここもToCビジネスで色々調整ごともやってきたし、大丈夫だろ!と舐めてかかってましたが自身の実力不足もあって非常に面食らったところでした

とはいえ結局はベンチャーなら確固たるやり方はまだ存在しない、どんなターゲットが合うかトライすべきところも多いし、PDCAをより加速しやすい方向でやるのが一番じゃない?という天啓が降りてきたので笑、営業とマーケティング、その中でアウトバウンドマーケティングとインバウンドマーケティングも分けて三権分立的に動くのがいいんじゃない?という結論にじんわりなってきております。

粗々だが、三権分立の図
  1. 自部署で得意とする当たりやすいターゲットに施策をする。

  2. 施策をして自部署のKPIが大きく上がったら他部署へ共有

  3. そのターゲットが狙えないか協議、他部署のターゲット粒度を尊重する

コレ伝えて互いが一意の考えに染め合わずにいきましょう、ということで社内で共感してくれる人も増えたのは良かったなと思いますし、良い会社/プロダクトと思うので、多くの人に伝えていくためにも全方向的にお客さんとの認識のズレを修正していくマーケットインな思考で頑張っていけたらと思います。

おわりに

WEBビジネスにおけるToBマーケティングとToCマーケティングの違いを書いてきましたが、違いとして書いてあることはよくよく見ると、めっちゃ当たり前のことでした。これ子見出しだけ見たらチラッチラッと見られたらマーケティングやっている人読んでくれるかしら笑。

とはいえ、その当たり前はわかっている人は多いけど、現状の組織に合わせてそれをどのように解決するのかはプロセスをどう作るかだと思っています。この点を中身書いているのですが、改めて私が仕事で大事にしているところなんだなと実感しました。

まだまだ小粒な私が、偉そうにマーケティングのことなんか書いてもなーなんてと思って水ダウの「名探偵津田」ばりに最初はなんだか気乗りしない感じで書いていましたが、いつの間にか津田さんみたいに私もだんだんノッてきてどんどん文章が膨らんで来ちゃいました。

最後にお伝えしたいことは水ダウの「名探偵津田」は神企画なので見逃し配信あったらぜひご覧になってください。あとLAPRASのアドベントカレンダー、次はLAPRASのキャリアコンサルタントとして事業を引っ張っている辰巳さんの記事が出ます。こちらもぜひご覧になってください!


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