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声優・吉野裕行と読書会〜スペシャル・オンライン版!<イベントレポ>

2020年8月15日13時~14時、「声優・吉野裕行と読書会〜スペシャル・オンライン版!」が開催されました。

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開催が延期になっている「声優・吉野裕行と読書会」(当初2/29実施予定)に先立って開催されたこのオンラインイベント。読書についてのお話だけではなく、声優である吉野さんの生朗読も聞けるということで、数百人の参加者が集まりました。

編集者の吉田さんと共に登場した吉野さん。今回はコミックに限定してお話をしましょう、ということで、まずはコミック、特にまんがにまつわる質問に答えてくれました。

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子どもながらにどぎまぎした印象的な作品たち
吉田さん(以下、吉田):これまでで、印象深かった作品や強烈だなと感じた作品はありますか?

吉野さん(以下、吉野):いっぱいありますけど、子供の時に読んでいた手塚治虫さんとか石ノ森章太郎さんの作品が特に衝撃的でしたね。お二人の作品って、社会風刺がしっかり入っていたりとか、こう言ったら変かもしれないけど、性的な表現も結構入っていたりして、なんか、すごくどきどきしましたね。

吉田:確かに。そういう意味では、ほんとにどぎまぎするような作品群でしたよね。


コミックを選ぶポイントは「帯」
吉田:コミックを買う時のポイントは何かありますか?

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吉野:強いていうなら、帯がついているかどうか。本の帯って、発売当時の内容、例えば「アニメ化されました」とかコメントが書いてあるじゃないですか。時間が経つと本屋さんによっては外してるところもあると思うんですけど。僕はね、あの帯、好きなんですよね。

吉田:いいですよね。やっぱりその作品の一番の売りがそこに出てきていますからね。

吉野:そうそう。だから、本を買う時に本屋に行って、もし同じ本で帯ありのものと帯なしのものがあったら、僕は帯ありものを買うし、買った後も帯をそのまま残してありますね。でもね、本屋さんは悩むって言ってました。お客様によって、「帯ほしい」って人と「帯はいらない」って人がほんとに真っ二つみたいで。僕は貧乏性だからか、余計にそうなんですけど、帯ついててもついてなくても値段一緒なんでしょ? 帯代分、得ですよ!

吉田:そうですね(笑)。あの帯ね、実は時間もお金もかかっているんですよ。

吉野:でしょ? だからそれがあると思ったら、やっぱり見たいよね、っていう。

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吉田:(※イベント時に置かれていた)この『結界師 完全版』の帯もいいですよね。

吉野:そう、これ。これねえ、冊子が透けて見える帯がついててね、いいんですよ。だって細かくないですか? 帯が重なる冊子の部分の文字の印刷に合わせて、帯にも文字が入ってるんですよ。こーんなことわざわざやるんだ、って思うとさ、手が込んでるなって思うんですよ。

吉田:非常に手の込んだ帯ですね。多分日本じゃないとこうことはしないですね。

吉野:そうなんだ。好きですね、やっぱり。だから本を収納する時に帯が「ぐしゃっ」ってなった時の悲しみ。これはもうほんとに切ない。

吉田:うん、たしかに(笑)。ほんとに残念ですよね。

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他にも学生時代に読んでいた本の話や、まんがにまつわる友達とのやりとりなど、なかなか聞けない、吉野さんとコミックとのお話を聞かせてくれました。

続いて、待望の朗読タイム。今回朗読してくれたのは、吉野さん自身が選んだという少年サンデーコミックス『結界師』5巻、38~40話で主人公の墨村良守が土地紙ウロ様の寝床を直しに行く場面。

吉田さんとの対談でリラックスモードに入っていたのか、「かつていろんな朗読をしてきましたけど、今日ほど集中力のない日はないですね(笑)。できるかな。」と言っていた吉野さんですが、朗読が始まると雰囲気が一変。

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物語の場面がありありと浮かんでくる表現力豊かなナレーションと目の前で良守が話しているかのような臨場感のあるセリフに引き込まれ、ただただ聞き入ってしまいました。

今回のイベント用に書き下ろされた朗読用の台本ということで、原作を読んだことがない人でも背景が伝わる工夫や、まんがやアニメと異なる朗読ならではの表現が入っていたのも嬉しいポイント。

『結界師』を知っている人もそうでない人も、それぞれの楽しみ方で吉野さんの朗読を満喫できる時間となりました。


朗読後は、今回『結界師』を選んだ理由や朗読の舞台ウラについて話してくれました。

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吉田:吉野さんはシナリオライターさんが作成した台本をそのまま読んでいるのでなく、原作と照合しながらシェイプアップしたものを読んでくださっているんですよね。

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吉野:そうですね。原作のまんがを読みながら、台本を突き詰めていってます。まんがを読んだ方はわかると思うんですけど、まんがと違う描写のところもあって。朗読の台本だといらない情報というのもあるんです。例えば、ウロ様に質問をするシーン。「ウロ様はそれ以上語ることはなかった。」という部分があるんですけど、まんがだとウロ様が甘いものを食べてお腹いっぱいになって寝ちゃう、っていう描写が入っています。でも、それってまんがを読まずに朗読を聞いている人に必要な情報ですか、っていう。まんがだとその前にウロ様に出会っていて、甘いものが好きっていうのもわかっているので、必要だと思うんですよ。だけど、この朗読のためのこの抜粋だったら、その情報はいらない。だからそぎ落とそう、と。そういう作業で、いくつかカットしています。

吉田:なるほど。やっぱり無駄がないものっていうは美しいという。わかりやすいですし、伝わりやすいものなんですね。

吉野:そうですね。あとは、そうやって作成した台本にも、結構色々と書き込んでいます。例えば漢字。不安になるものはルビをふっています。集中して何かやってる時って、絶対途切れないでいけるって時もあれば、ふとした瞬間急に魔みたいなのが襲ってくる瞬間ってあるんですよ。そういう時にミスを犯さないように、読み方が分かっていても、ルビをふっておく。実際に今回ね、ミスしてるんですよ。

吉田:え、そうだったんですか。

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吉野:はい。ミスしたくないんだけど、やっぱり人間だからどうしてもミスは出てしまって。さっきとか、大分読み間違えてるところもあるんです。ただ、読み間違えて読み直すかっていうと、なし崩し的にそのままいこうってときの方が僕は多いです。というのも、「読み間違えた」、「もう一回読んだ」っていうのが聞いてる人の集中力を切ってしまう瞬間があるので、どんなに間違っていても決してとまるな、と思っていて。それは普段のアフレコの現場でもそうで、監督や声を録っている人の指示でやり直すことはするけど、僕ら役者が自分で止めるというのは、本来あってはならないと思っています。なので、朗読に関しても、極力そこはもう切らない。強引にいこう、っていう。

吉田:なるほど。横で台本を読みながら聞いていたんですけど、ミスには全く気づきませんでした。

吉野:ほんとですか(笑)。そういう意味ではね、ちょいちょい読み間違えることもあるんですよ。

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他にも、句読点のある箇所の読み方や感情を伝えるための細かな工夫などを熱く語ってくださり、吉野さんのプロとしてのこだわりを強く感じることができました。

読書の話から仕事の話、そして生朗読までつまった今回の読書会。吉野さんファンにはたまらない、至福の1時間となりました。

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また、読書会特製グッズを、小学館のオリジナルアイテム通販サイト「ブルームアベニュー」にて通信販売しています。ここでしか手に入らない貴重な生写真とほうじ茶のセットですので、ぜひチェックしてみてくださいね。

延期中の読書会や今後のイベント情報は小学館カルチャーライブ!のHPTwitterFacebookInstagramで配信いたしますので、お楽しみに!

撮影・編集/小川利奈子 文/三橋七緒
2020.10.5 作成

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