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売上の増やし方(概論)

どうも毎度さん。

今回は、ボクが日頃神経を衰弱させている「経営」について書いていきます。
たけもと農場のモットー(たけモットー)の一つに、「一人一人が経営感覚を持てる農業者に成長する」てのがあります。
世間一般で経営者が従業員にムチャ要求する、あるあるの一つですね。
ウチも多分にもれず…てのもあるんですが、たけもと農場のメンバーは優秀なのが多いので、ワンチャン求めても良いのでは?という期待も込めて、経営について書き記しておこうという主旨です。

現在、たけもと農場は正社員7名で50haほどのコメ、大麦、大豆経営をしていて、銀行さんらからは
「数字は悪くないけど、人にお金をかけすぎ」と言われています。
売上に対して人件費率が高い、と言われているんですよね。
その点に関しては、人は一年や二年で育つものではないし、足りなくなってから募集しているようではイカンし、ここで働きたいと意欲持ってきてるメンバーなので、先行投資という思惑で雇っているので、承知の上なんです〜とお伝えしました。

「ならば。」と。
「この先、売上は増える見込みですか?どう増える見込みか聞きたいです」
と言われ
「面積が増えてますし、今後も増やします。単価は、今のお客さんの価格を上げるのはタイミング上難しいので、単価の高い商品へのシフトと、加工品の拡販をやってます。」
とお答えし、納得してもらったカンジ。

その受け答えで起こった、ショート寸前の思考回路を整理して、共有します。

             売上=単価×数量

という単純な数式で、経営は表されます。
売上はつまり、ボクらのお給料や、肥料や農薬、タネなどの人件費や材料費にあてられるので、売上を上げることが、経営をよくする(楽にする、余裕ができる)ということができます。
売上を上げるためには、単価か数量を上げる必要があります。

【単価を上げる方法】①お客さんに単価交渉をする

これは結構ヘビーな作業で、理解してくれるお客さんも多いけど、反発する人も多く、説得でHPを減らした割に離脱されるお客さんもいたりします。たけもと農場では、これまで、毎年売り切れでお客さんを絞らねば〜というシチュエーションや、増税でコスト増になったことをきっかけに単価を上げたことがあります。HP消耗が激しいので、頻繁にやる施策にしたくないですね。

【単価を上げる方法】②単価の高い商品にシフトする

一般コシ→特栽コシへ栽培面積をシフトする、B銘柄(ひとめ、つき、あきだわら等)の面積を減らしてカルナ等の高単価なものの面積を増やす、または新たな比較的高単価銘柄へチャレンジする、という施策。これは、たけもと農場のよくやる施策で、新品種へのトライが多くて負荷が高いのは重々承知だけど取り組んでいる向きがあります。上記の「売上=単価×数量」の数式には表れていないけど、多品種栽培はコストが高くつきやすいので、品種を増やすこと自体が正義ではない、と考えています。なので
⑴品種を増やして試す→⑵グッとくる品種を選定する→⑶品種を絞り込む というステップを踏みたいと考えていて、その道中だと理解してもらえれば幸いです。
作期分散という意味合いで品種を増やしている向きはあるんですが、ボクと父の意見の不一致も相まって、現状、たけもと農場の多品種生産は、良さよりも悪さが目立っていますね。分かってます。


【単価を上げる方法】③その他

解像度を上げていくとだんだんマニアックになっていくんですが、上記2つが本線で、その他は興味ある人だけ読んで貰えばOK。
「単価」という言葉は更に因数分解することができて、例えば客単価という考え方で言うと、単価を上げるには、いつもの買い物にプラスワンで何かを買ってもらうことで、単価を上げることができます。
あと、②に近い発想で言うと、別の単価高い作目を始める、も単価を上げるアイデア。お米→露地野菜とか。能美市では特産の「丸いも」だったり、玉ねぎとかカボチャ作り始める農家さん居たりしますよね。その他にもあるんだろうけど、今ピンときてない。

【数量を上げる方法】①収量を増やす

農業っていうのは、限られた農地の中での生産というのが前提になります。工場だと、増産しようと思えば、同じ工場の中で2倍とか作ったりできたりするんですが、田んぼでいざ増産だと言っても、作業時間を増やすだけで収量を2倍に増やすことは、とても難しい。限られた農地だからこそ、「とれた分」を一年かけて売るというシンプルな考え方をすることができるのは、良い点かもしれません。
収量を増やすと一言で言っても、そのアプローチは山ほどあって、肥料を増やすのが一番イメージ湧くかもしれないけど、それだけじゃない。適期作業、適期収穫でも10%ほどの差は簡単に出てくるし、オペレーター技術もあったりする。コストをかければかけるほど収量は増やせることが、ある程度は可能だけど、コストをかけずとも収量を上げる要素は沢山あります。ここはまた深掘りできればします(行けたら行くわ、のアレですね)。


【数量を上げる方法】②規模拡大

たけもと農場でも、借入農地は年々増えていますが、これは「気づいたら太ってた」類のものではなく、増やしたい意向(ただ、近場で良い条件で〜というワガママを持ちながらなので、爆増はしていない)に沿って増えてきた経緯があります。作る面積が増える=年間でとれる量が増える!です。これからも、近場で積極的に増やしていきます。
「数量」を更に因数分解すると、数量=面積×収量になるって感覚ですね。


【数量を上げる方法】③製品歩留まり(ぶどまり)上げる

ややマニアックになってきました。例えば廃棄ロスを減らす。これは、たけもと農場ではあまり該当しないケース。お米を売り切れなくて廃棄したことなんて、ないですからね。
ただ、害虫害獣にやられて減った分とかは、少しではあるけど売上に貢献してもらえなかったモノなので、ネズミにやられたのとか、スズメやハトにやられたのとか、カイゼンの余地はまだまだありますよね。
精米の歩留まりを上げる(ワレを減らすとかね)、調製歩留まりを上げる、歩留まりは色んな場面に潜んでるので、見つけたら教えてください。


【数量を上げる方法】④仕入れる

たけもと農場ではあまり多くないけど、協力農家さんから仕入れるというケースも、数量を上げる方法の一つ。たけもと農場の向いている方向は、「”コシヒカリ”ではなくて、”石川県産コシヒカリ”でもなくて、”たけもと農場コシヒカリ”が欲しいげん」という世界ではあるので、「仕入れ…だと…」と思われちゃったりするけど、100%そういったニーズだけにはまだ出来ていないので、「◯円くらいのお米欲しいげん」というシチュエーションや、「まとまった数の県産コシが要る。協力頼む」みたいなシチュエーションも含め、仕入れることはありえるってことですね。

以上が、売上を増やす方法の概論的な内容。
お米農家ver.っていう点で、たけもと農場のメンバー以外でも参考になればと思い、農場LINEグループに病的長文投稿をせず、noteで公開することにします。

売上増えたって自分には関係ない...ではない!

たけもと農場のメンバーには
「頑張って売上増えても、自分の給料が増えるわけじゃねーんだしな」
なんて文句を言う人いないので、経営者のボクはかなり恵まれているんだけど、そういう感覚の人は、世の中に一定数いると思っています。

売上が増えると、
◯人を雇う余裕が出てくる(可能性がある)
◯給料を減らされるリスクが減る
◯経営に余裕が生まれて恩恵がくる
など、多くの点で給料以外のベネフィットが生まれます。
実感が湧かないのは、毎日少しずつ太っていても死のリスクを実感しないのと同じ(これは暴論ぽいですね)。

この手の投稿を定期的に書いていきたいと、思っては、います。
思っては、ね。

ほんならまた。

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