TVドラマ「私立探偵 濱マイク」を観て、"わからなさ"を体感した話

タイトルの通り、TVドラマ「私立探偵 濱マイク」を観たのですが、諸々書き残しておきたく、記事にしておきます。
2002年の作品ですが、20年を経て、配信でよみがえったということで、話題になったようです。

なぜ観るに至ったのか?

リリスクのプロデューサーのキムヤスヒロさんがツイートしていたり、minanちゃんのラジオ「lyrical school minanのLet's チルアウト」でもキムさんが紹介していたところから、「私立探偵 濱マイク」を知りました。

ここでも少し書きましたが、自分は音楽もさることながら、映像作品に関しては、本当にこれまでまるで通ってきておらず、普通の人が観ているものもほとんど観てきていません。(一例を挙げれば「君の名は。」すらそういえば観ていないですね。。。笑)
なので、「私立探偵 濱マイク」についても、全く知らなかったのですが、そのクリエイティビティを自分が信頼しているキムさんが激推ししているということで、これは観てみようかとなったわけです。(「私立探偵 濱マイク」は、伝説的扱いになっているように見受けられたので、やはりその手の方は皆通っているものなのですかね)

実際に観てどうだったのか?

一言で言えばシンプルで、めちゃくちゃ面白かったです。こんなドラマがあるのかと衝撃を受けました。余談ですが、EGO-WRAPPIN'「くちばしにチェリー」って、このドラマの主題歌としての書き下ろしだったのですね、全然知りませんでした。

事前に多少情報は仕入れていたので、把握した状態で観はしましたが、比較したいわけではないのですが、ちょうどEDが毎回異なることでチェンソーマンのアニメが話題になっている一方で、20年前に、それぞれのエピソード毎に、監督も脚本家も違うって、流石に意味が"わからな"すぎます。

実際に観てみても、各話ごとのテイストの違いがありすぎて、このジェットコースター感には、戸惑いもありましたが、そこに確実に存在する面白みも感じることが出来ました。

序盤はあまりピンとこない話もあったのですが、中盤からの一層のドライブがかかった、意味の"わからなさ"は最高でした。
特に5話の「花」は個人的にベストだったかもしれません。あまりに意味が"わからな"すぎましたが、窪塚洋介の演技が振り切れるほどにぶっ飛びすぎていて、全てを吹っ飛ばした感じがありました。(ちなみに、別に主題と関係もないのですが、結構長めのナンバーガールの演奏シーンもあったりして興味深かったです。)

8話の「時よとまれ、君は美しい」や、9話の「ミスター・ニッポン〜21世紀の男」の、突然の謎設定による世界観も面白かったのですが、キムさんおすすめの10話「1分間700円」は確かに凄かった。。。
いくつかネットで感想等読んでみた中でも、この回を特に評価している文章が多かったように思いますし、確かにそれだけの内容だったと思います。前2回のある種の笑える雰囲気が一切ない、緊張感が終始漂う迫真のシーンの連続で、そのギャップにもやられた気がします。

今読み進めている「映画を早送りで観る人たち ファスト映画・ネタバレ――コンテンツ消費の現在形」では、コンテンツに"わかりやすさ"を求める風潮について言及がされていますが、「私立探偵 濱マイク」はまさにそういった"わかりやすさ"の真逆を行くように、"わからなさ"で魅せる作品だと思いました。

自分の作品を見る力による可能性も多分にありますが、全回謎や疑問が残りましたし、そこをちゃんと回収しようという意図は、作品からは感じられませんでした。
そういった"わからなさ"を余白として魅せ、作品そのものの重要な根幹で勝負をする。そういった気概をどの回にも感じたのです。今の時代にはなかなかない作品だなと思いました。(それでも、「花」とか意味分からなすぎましたけどね笑)

“種をまく作業がしたい”

キムさんがこんなツイートをしていました。

"種をまく"という考え方、自分もめちゃくちゃ好きで、物凄くミクロな世界では、自分もそういうことをやっている気がします。
この作品は平均視聴率は6.5%だったということで、特段大きなヒットになったわけではないのだろうと思いますが、20年経った今でなお、その作品として色鮮やかさは全く褪せずに、むしろ今の時代にあって、更に鮮やかに光を放っているように思います。主演の永瀬正敏さんが言う通り、まいた種がしっかりと育っているんだろうなと、そう感じました。
とても良い作品でしたので、未視聴の方がいましたら、是非観てみてください。

きっと自分が知らないだけで、世の中にはたくさんあるだろう、こういった作品にたくさん触れていきたいなと思いました。

参考

永瀬正敏主演!20年前の伝説の探偵ドラマ「私立探偵 濱マイク」が遂に配信スタート!|株式会社 ytvメディアデザインのプレスリリース

伝説的名作ドラマ『私立探偵 濱マイク』放送20年の節目で配信開始 永瀬正敏が語る制作秘話 | TV LIFE web

「濱マイク」永瀬正敏20周年配信に感慨「種をまきたい…と必死に作った。芽が出て花が咲けば」 - ドラマ : 日刊スポーツ

永瀬正敏 「濱マイク」配信開始受け語るドラマへの思い 「才能」「ジャンルレス」「ミックス」 - 芸能 : 日刊スポーツ

永瀬正敏の伝説的な連ドラが"復活" 超豪華ゲスト陣に1話2週間をかけた異例の撮影 | ENCOUNT

昭和の匂いをまとって平成に作られ、令和に伝えられる 『私立探偵 濱マイク』なぜ伝説に?|Real Sound|リアルサウンド 映画部

私立探偵濱マイクの感想(ドラマ版)-最終回-: これって何か、よくないっスか?

「そこに居たかも知れない若き探偵 (私立探偵濱マイク)」

#私立探偵濱マイク #濱マイク #ドラマ #リリスク

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?