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読書ログ 『仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法』

どんな本?

 言わずと知れた問題解決の名著。大学生の時に読了したが、現在のアナリスト仕事が社内コンサルに近いと感じたため、仕事のヒントを得るために10年ぶりに再読。自分の周りのシゴデキな人たちや、面白いと思ったビジネス書の著者は漏れなくこの本に書いてあるようなストーリーライン設計と仮説構築を重要視していて(そういえばこの本に「論点」という言葉が覚えている限りでは一度も登場しなかったことに今気づいた。著者は論点思考も提唱しているのに。)、この考え方があらゆるビジネスシーンに浸透していることを実感したとともに、畏敬の念が深まった。

 一度読んでいる本だし、これだけいろんな人にこすられているにも関わらず、内容が本当にシャープで学び深い。やはり提唱者の言葉・ロジックは迫力が違う。学びは後述するが、
筋の良い仮説を立てるには経験からの学びを増やすしかない
→経験を増やすにはとにかく仮説を立ててぶつけるサイクルを多く回すこと
→その過程で仮説の甘さに突っ込まれたり詰められたりする
→いかにそれを恐れないマインドを持つかが成長の鍵。「社内の恥はかき捨て」「知的にタフになる」
というロジックは、「防御率4点台でも良いからど真ん中に良い球投げまくって勝ち星を得よう」とちょうど考えていた転職直後の自分と同じで、勇気が出た。

 また、10年前の書き込みと比較すると気づきが多く深くなっていたのが興味深い。本は自分の成熟度合いによってまた違った顔を見せてくれる。

こんな人におすすめ

  • 企画系のビジネスパーソン。特に抽象的で大きな問題を解決する役割の人

  • 仕事が早くなるコツを手っ取り早く知りたい人

  • 一定量の仕事の経験があり、一定量のビジネス書を読んだ人

おすすめ度

★ ★ ★ ★ ★(いきなりこの本を読むというよりは、自分が今まで仕事や本から得た学びをこの本によって抽象化する、みたいな使い方がおすすめ)

学びのメモ

 仮説思考とは?

  • 何よりも先に仮説を立て、それをベースに行動する問題解決志向のこと

なぜ仮説思考なのか?

  • 闇雲(よくいえば網羅的)に動くよりも仕事が速く進むから

  • 検証プロセスを数多く踏むことで意思決定の質が上がるから

  • 限られた情報下で迅速に質の高い意思決定できる力がつくから

質の高い意思決定のコツ

  • 前提:問題解決は仮説立てと検証の繰り返し

  • 仮説立てのコツ

    • 手持ちの情報で仮のストーリーラインを作る

      • ストーリーラインは「現状分析」→「課題発見・特定(結論)」→「解決策の提案」が基本フレーム

      • 各フェーズも当然仮説混じりでOK。課題発見・解決策の提案にはそれぞれ「①仮説立て」「②検証」のプロセスが発生する

      • 現状分析から課題発見・特定の論理構成にはロジックツリーを使うと良い

      • 課題の仮説は「〜だから・・・になっている」と説明できるくらい具体化する

    • ストーリーラインの各要素について、未検証or検証済を明記する

    • その後、未検証のものの検証に進む

      • 未検証のものを上流から順に検証していき、検証結果を踏まえて各仮説やストーリーラインを修正したりして磨き込む

  • 検証のコツ

    • 検証の手法は大枠で①実験、②ディスカッション、③分析の3つ

    • ディスカッションは、とにかく速く・多く行う。「社内の恥はかき捨て」と思うと打席に立つ勇気が出る

    • 分析はquick & dirtyに。分析の目的は「問題の発見(*)」「他人の説得」「自分の説得」のいずれかであるべき

      • (*)Vodka的には仮で発見した問題を検証して真の問題であることを特定する、という意味で”特定”とか”確定”の方がしっくりくる

    • 分析の切り口は主に「比較」「時系列」「分布」「因数分解」の4つ

提案のコツ

  • 「実行」までやって初めて問題解決。コンサルやアナリストの場合、提案して相手を説得し、実行してもらう必要がある

  • Actionableな提案を、相手が求めるImpactにつながる根拠とともに、シンプルに伝えることで、相手は納得して動きやすい

  • 究極、「解くべき課題」→「解決策」が伝わればいい。そして、納得を得るために、「課題の背景とそれを解くべき理由」「解決策の具体的な中身」「それをやるべき理由(含むImpactの大きさ)」を追加で伝える

仮説思考を実践するためのマインドセット

  • そもそも仮説は熟達者でも外れることはよくあるので、外れることを恐れない

  • 仮説の筋の良し悪しは経験に依存するので、筋をよくしたければ、貪欲に経験を得に行ったり、人の経験を自分の血肉にすることが重要

  • 人に聞くことは仮説の質を高めるための最重要項目だが、浅い状態で聞くことを躊躇ったり、突っ込まれて凹むことはよくある。しかしそれは速さ・質の両面で悪。そうならないように知的にタフになることが重要。「社内の恥はかき捨て」と心得るべき。

    • BCGではこれを「知的タフネス」と呼びIQの高さと同様に重要視されている(著者の経験則では、知的タフネスの方がより重要)

Next Actions

  • どんなに情報が少なくても、ストーリーラインの骨格を作ってから仕事を始めることを徹底する

  • 仮説検証サイクルを爆速で回して経験値を増やし続けられるよう、「社内の恥はかき捨て」を心に留めながらど真ん中ストレートを投げ続ける

  • プレゼンは「解くべき問題」「Actionableな解決策」「得られるimpact」の3点セットを意識する

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