記事一覧
(魔法の)煙の向こう側
その最後まで煙に遮られて見えないスイスのブルジョワ銀行家の末裔としてのゴダールの姿。
「お金は共有財産だ」「水と同じ?」「そうだよ」「money public water」(ナバホ族の英語、パキスタン人のタクシー運転手のアメリカ英語)
こことよそ、言葉と音、LとRの間でこの問い(煙)の向こう側を考えること。
アメリカと音楽の間に(宮内悠介『アメリカ最後の実験』)
1. アメリカの風景(少しジャーナリスティックな話など)
1-1. アメリカ(1976年)の風景 −暗い砂漠の高速道路上で−
これはアメリカ建国200年を祝した1976年に大ヒットを飛ばしたアメリカウエストコーストのロックバンドの一曲の歌詞に出てくる語句を抜き出したもの。言わずと知れたイーグルスの「ホテル・カリフォルニア」である。一般的には「(反骨精神としての)ロックの終焉」を歌ったとされる作
中国北京−地下音楽と地上の美食を訪ねて
中国に暮らして2年、漸く機会があって北京をゆっくり訪ねることができた。折しも中国独立系実験音楽の中心人物Yan Jun(颜峻)の手記が「20Hz Magazine 1st issue」により発掘・翻訳された機会に、未だ見ぬ「Yan Jun」を唯一の検索ワードにダンジョンのように入り組んだ北京の街を彷徨く。
第一部
4月3日夕方、このまま「四葉」に寄って旨い寿司でも食べてホテルに帰ろうかと思った
マイクとヘッドフォンの間に(高橋健太郎『ヘッドフォン・ガール』)
「音と言葉が切り結ぶ関係」
2. マイクとヘッドフォンの間に − 音が紡ぎ出す物語
2-1. マイクのある風景
薄暗いスタジオの一室、壁に掛けられた時計の針は4時9分3秒を指しています。
右手には吸い刺しのタバコ、もう片方の手元にはまだ開けたばかりのキングサイズのチェスターフィールドのソフトパック。
机上のターンテーブル(Para-Flux A-16 Tonearm made by Ra
鉄とガラスの詩人 垂直/空間の発見
1921年、ワイマール・ドイツ、首都ベルリン。
ブルーノ・タウトの発行する建築季刊誌「Fruhlicht(「曙光」の意)」はベルリン気鋭の建築家ミース・ファンデル・ローエの計画案「フリードリヒ街のオフィス・ビル計画/鉄とガラスのスカイ・スクレーパー計画」を掲載した。
ミース・ファンデル・ローエはそれまで支配的であった建築の外観様式の基準—「明暗」「陰影」を二次的な物として退け、建築の存在条件に
音と言葉の間に(馳平啓樹「音を失くす」)
2015 年暮から2016 年初めにかけて、三つの音(楽)小説が世に現れました。馳平啓樹の「音を失くす」(「三田文学(No.123 秋季号)」所収)、高橋健太郎の『ヘッドフォン・ガール』(アルテスパブリッシング2016年1月30日刊行)、そして宮内悠介『アメリカ最後の実験』(新潮社2016年1 月30日刊行)。
『ヘッドフォン・ガール』の著者である高橋健太郎が何気なく深夜のツイッターで呟いた「音