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広告業界10年目が新卒に伝えたい道徳の話

はじめまして。総合広告代理店のデジタル領域で、広告運用のコンサルティング、メディアプランニング、PDCAを専門にしている波多野です。

今週から1人新卒を預かることになりました。

さらにデジタル部署に配属された新卒向けに授業的なことを1コマやることになったのですが、考えたところ「道徳」の話はどうかと。

プレゼンテーションを想定して、下書きからスライドに起こすつもりだったのですが、元々noteをやろうと思っていたので、記事にして公開することにしました。

初note投稿です!よろしくおねがいします。


ここから本題

突然ですが、あなたの好きな人や大切な人を思い浮かべてください。家族でも友達でも構いません。

思い浮かべましたか?

「その人に胸を張れるような仕事をしましょう」

私が思う道徳というのは、これに尽きます。自分の仕事について話をするとき、後ろめたさを感じるようなことは、やらないようにしましょう。

なぜそんなことを言うのかというと、どんなに優秀な新卒のあなたでも、今後、絶対に仕事でミスや失敗をするからです。その原因は様々あるでしょう。

・専門的な知識の不足
・聞き間違い、見間違い
・見落とし
・操作ミス
・失念

その結果、あなたの先輩が代わりに怒られたり、数十万円では済まない損失を会社にもたらすこともあるでしょう。そうだとしても、あなたがすべきことは、ミスをした時は正直に認め、上長に報告し指示を仰ぐことなのです。2年目、3年目と年を刻み、私のような10年目になっても同様です。

たったそれだけです。どうです、簡単でしょう?

いやいや、世の中それが簡単ではないようなのです。それをしなかった場合、どこに行きついてしまうのか。最たる事例がコチラ。

2016年のニュースです。当時から広告業界に身を置いていた私からすれば記憶に新しい出来事ですし、この仕事を続けていく上で忘れることはありません。でも当時学生だった世代は、広告業界の大事件を知らない人も居ると思い、紹介することにしました。

いったい当時の電通で何が起きたのか

不適切業務が起きました。なんのことだかわかりますか?当時、多くの人が認識したのは第一報だと思いますが、翌年に電通のウェブサイトで調査結果が公表されています。

それによると、不適切とされた業務は4つに分類されています。研修中、または配属されて間もない新卒のあなたは、まだ具体的なイメージがつかないと思うので、4つのうちから2つをピックアップしました。「なんかヤバそうだな」くらいな印象を持ってくれれば良いです。

(態様1)事実と異なる出稿総量の報告
・広告主から依頼された出稿総量を満たしていなかったにも関わらず、あたかも満たしていたかのごとく広告主に報告したもの。

これが架空請求、不正請求。

(態様2)出稿実績の内訳が事実と異なる報告
・出稿総量は広告主からの依頼を満たしていたが、日次の実績が広告主の指示または期待と異なっていたため、総量には影響を与えずに、出稿実績の内訳の一部を変更して報告したもの。

こちらはレポートの改ざん。

とてつもない話に見えますが、ことのはじまりは現場で起きたミスだったと考えられます。それをあたかも、個人ないしは会社が、ミスをしていないように振る舞ってしまった。一度ついた嘘は容易に撤回できません。嘘に嘘を重ねた結果、会社や業界を揺るがす大事になってしまったのです。

この事件から新卒のあなたに伝えたいこと

ミスの最初の第一歩は、あなたの手元や非常に近い場所で起こりうるということです。「この手順だと危ういよ」「これはミスだよ」と周りに指摘されたら素直に聞き入れ、以後、間違いに気づいたら、その時点で上長に報告しましょう。

当時とイマを比べると、広告業界全体として働き方が強く意識されるようになりました。さらにデジタル広告の界隈ではレポート作成ツールやダッシュボードといった便利ツールの利用率が高まり、作成負荷は軽減されつつあるのですが、まだまだ手作業で集計する場面は存在します。

個人が何かをしても組織の責任ですが、個人の集合体が組織であることを思うと、あなた次第でいかようにもなりえるというのも、また事実なのです。

胸を張れるような仕事をしましょう

冒頭に伝えたこの言葉、実は受け取り方で裏表があります。

ミスを報告をし、再発防止を心がけて磨きをかけるのが、ライトサイド。胸を張るために、見栄や虚栄の嘘をついてしまうことが、ダークサイド。

いずれどこかの場面でダークサイドに堕ちる選択肢があなたのもとに現れるかもしれません。それはあなたの判断の範疇を超えてくるケースもあれば、この話を忘れたころ、あなたが仕事を覚えて波に乗り始めたときの大一番にやってくるのかもしれません。

私が示す素敵な選択肢i

ミスの可能性はゼロにはなりません。

何がミスかを認識し、発生したら迅速に報告や相談が出来たら「道徳」という観点では合格です。

ミスのダメージを最小限に抑えつつ、元の軌道に修正する対処までこなし、経緯を洗って再発防止までカチっと取組めたら、広告業界に留まらず社会人として立派な一人前です。その頃には景色が広くなって周りが見えたり、後輩を助けたりできていると思います。

そんな未来の姿が良いと思ったら、ぜひ素敵な選択肢を選んでくださいね。

道徳の話を選んだ理由

このリモートワークの環境下です。上長やチームメンバーと直接顔を合わせないまま配属されて仕事を始める人は少なくありません。私の会社の新卒もそうなることが確定しました。

自宅で1人で仕事を始める新卒なんて過去に聞いたことがありません。こういった環境だからこそ、遠隔でコミュニケーションを厚く取ってくれると思いますが、それでも私は心配です。

先輩にとって些細な質問のように思い「こんなこと聞いていいんだろうか?」と悩むのかもしれません。ミスに気づいたときに周りに人が居ないこと。あなたは戸惑うかもしれません。自宅で味わうそれは、もしかしたら過去に先輩が経験していないような、孤独と絶望の瞬間なのかもしれません。

従来と異なる大きな差です。いいんです。すぐにコンタクトしましょう。

まとめ

・ミスをしたら、すぐに上長に報告
・あなたの仕事へのフィードックを、まずは素直に聞く
・同じミスをしないよう、なぜ起きたかのか?よく考える
・自分なりに考えたら、抱え込まず共有し、上長と結論を出す
・お金をもらう以上はプロ。プロなら気持ちの切り替えが大事

さいごに、新卒のあなたにちょっと砕けたメッセージを贈ります。

実は組織というのは上司に報告した時点で、あなた(だけ)の責任ではなくなるんです。若いうちに色んな種類のミスをして、ガンガン成長しましょう。失敗を乗り越えて道徳を兼ね備えたら「誠実」と「実力」というのは後からついてくると思います。

新卒のみなさん、応援しております!



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