見出し画像

柔軟性獲得に必要な要素を見つける2つのチェック

BODY schoolで子供からシニアの方まで様々なカテゴリーの方を対象に、トレーニング指導をしている理学療法士・フィジカルコーチの石田です。

今回初めてBODY schoolの取り組みをこのnoteに書き記しています。

今回は10月にBODY schoolで取り組んでいることのご紹介です。
BODYschoolでは初回に小学高学年の子達はオリジナルの評価を行ない身体の状態を確認し、その情報と動きを照らし合わせながらその子の特徴を捉えながら指導にあたっています。(低学年の子は動作の中で気になることを抽出していきます。)

これまでも柔軟性改善のためのストレッチをスクール内で行う時間をとっていましたが、より効果を高めたり身体に向き合う習慣づくりのために10月から取り組みを強化しています。

今回の記事を通して今現在、子供達の身体がどのような状態で、どのようなことに取り組んでいるのか、何を取り組むと身体・運動発達にいいのかを共有することができたらいいなと思っています。

この記事でわかること
・10月のBODY schoolでの取り組み 『2つの動作チェック』
・『前屈』と『自力足上げ角度』のポイント
・『前屈』ができても『自力足上げ角度』が基準値以下だと怪我のリスク増加
・『前屈』と『自力足上げ角度』両方できて理想の状態
・柔軟性には複数の能力(安定・筋力・分離・運動学習)が関与している


10月 ストレッチ強化月間

『身体が柔らかくなってほしい』『ストレッチを習慣化してほしい』こういった声を多くの保護者の方々から伺ったりすることが多く、柔軟性の獲得は育成年代の中で大きな課題であると感じています。

10月は、『ストレッチ強化月間』として、ストレッチプリントをスクール生には配布しています。これまでよりもストレッチの習慣化柔軟性・可動性の向上を目的として2つの項目を測定し、ストレッチをしたら身体は変わるんだとういう気付き、面白さを感じてもらえるように時間を共にしています。
配布のプリントを見ながら自宅で実施したり、覚えてくれている子もいたり、実際に2週間経過時点では10月初めに再確認した柔軟性の数値よりも柔軟性の向上が見られています。

そこで今回は今月測定している2項目なぜその項目を確認しているのかを理論的に解説し、お子様の身体への目の向け方への参考材料にしていただけたらと思い、この文章を打っています。目を通していただければ幸いです。

2つの柔軟性・可動性テスト

①前屈
一般的な立位で身体を前に曲げたときの床と指先との距離を計測
簡易的に全身柔軟性を確認することができます。 

前屈は一般的に柔軟性の指標にされていますが、上記の説明のようにいろんな部位の動作を確認することができます。

しかし、前屈ができても、次の②自力足上げ角度』基準値を超えているかがより大切になってきます。


②自力足上げ角度(ASLR)
この自力足上げ角度が育成年代であまり知られていない部分ですが、前屈よりも非常に大切な動作になります。前屈はできるけど、足上げは基準値には及ばない子がスポーツ現場でも多いです。しかし、パフォーマンスを効率よく向上させたり、怪我のリスクを可能な限り減らすためにはこの自力上げ角度が基準値を満たしていることが最重要です。

下記にOK・NGパターンとこのテストで見れるポイントを説明しています。

前屈よりもさらに重要な自力足上げ角度

この自力足上げ角度で確認できるのポイントが3つあります。

①【挙上足の柔軟性・可動性・筋力】
一見もも裏がやわらかければできそうに見えますが、足を持ち上げる際の筋力(股関節を屈曲させる筋力)も必要になります。前屈で床に手がつくような子でも、この動作ができない子もいます。

②【体幹の安定性】
足を十分に持ち上げるためには体幹を安定させなければ上手に行えません。
下肢や股関節周りの可動性だけでなく、体幹の筋力も備わることでスムーズに動作が可能になります。

③【足を上げない方の足の股関節の柔軟性・可動性】
足を上げない方の股関節の前側の柔軟性・可動性が不足していると、足を上げてる途中に、床につけている足が浮いてきてしまいます。とくに腸腰筋大腿直筋などの足の付け根にある筋肉が硬いと浮いてきます(膝が曲がる)。
片方の足が動くときに反対の足が動いてしまう状態は、骨盤周囲・腰部へのストレスとなり怪我の原因にもなります。
また、スプリント動作などのスポーツ動作を効率よく行えるようになるためには、この左右の足の動きをお互いが邪魔しない柔軟性・可動性が非常に大切です。

前屈で床に手がついても、仰向けに寝て足が85°まで足が挙がらなかったり、反対側の足が浮いたりと、一つの評価では見えない部分が別の評価をすることで見えてきます。

上記で説明した2つの項目から下記のように個人それぞれの状態が推測できます。

▶︎前屈で手がつく・足上げは角度が不足 → 腰への負担がかかりやすい状態
▶︎前屈で手が床につかない・足は上がる子 → 背骨の硬さ・運動の学習の問題
▶︎前屈も足上げも不可 → パフォーマンスを阻害・怪我のリスク高い
▶︎上がる角度の左右差が大きい → パフォーマンス阻害・怪我のリスク高い
▶︎前屈・足上げともに基準値を下回る → 怪我のリスクが高い・伸び悩み
など…

今月メインで再評価しているのは2項目ですが、様々な評価と動きを観察しながら今の状態から怪我のリスクやパフォーマンスアップを邪魔する原因・伸び代を探りつつ、どのようにしていけば改善していけるかも探りながらトレーニングを実施しています。

柔らかさ=柔軟
自分で動かせる=可動性
適切に動かせる=運動学習・連動性
それぞれの関節で動かせる=分離運動・固定能力
動く力=基礎体力

2つの項目の中にもあらゆる能力がバランスよく備わっている必要性があります。
このあらゆる能力の根底には柔軟性が欠かせません。

今回の2つの簡単な動作の中にも大切なことが詰まっており、複雑なスポーツ動作の習得のためにはこの簡単な動作が円滑に行えると、より効率良くパフォーマンスの向上が見込めますし、身体へかかる負担も軽減してきます。

小学生低学年の時期は基本的に柔軟性は高いので、それを維持しながら成長していくことが大切になります。(こういった子が意外とストレッチに関心が持ちにくいため、高学年になるといつの間にか硬くなっていた…なんてことが多々起きてしまいます。)高学年になってくると身長が伸びると共に骨の長さに対して、柔軟性と可動性が乏しくなってくる子が多いです。特に、小学5〜6年生・中学生は柔軟性の低下には注意が必要な時期です。
なかなかこの辺りのことは子供たちは理解しにくい部分でもあるので、ストレッチが大切であると伝えるとともに、ただストレッチを行うだけでなく、楽しみながら変化を感じれるようにその都度レッスンをデザインしています。

今現在スポーツをしている子の柔軟性と可動性の改善はもちろんですが、まだスポーツを始めていない子もいずれ本格的にスポーツを始めるとなった時に、良い身体の準備ができているような状態でいられるように、楽しみながら習慣化できるように働きかけています。

最後に柔軟性・可動性の獲得に必要なこととして

ストレッチにプラスして、今動かせる範囲をしっかりと使って、筋肉・神経に刺激が入ることで柔軟性を効率よく獲得することが大切です。

ただ柔軟性が重要だからといってストレッチを強要する形になると、身体を動かすことに抵抗感をおばえてしまいますので、その子の運動への馴染み具合を感じ取りながらストレッチに固執しすぎることなく
様々な遊び運動・エクササイズ・トレーニングも並行して行って、柔軟性と同時に複数の能力も向上していくようにサポートしていきたいと思います。


今回の記事を通して、少しでもお子さんの身体の動きの捉え方の参考にしていただければと思います。

長くなりましたが最後まで読んでいただきありがとうございました。
今回初めてのこのような形での配信となりましたが、他にもこのようなことを知りたいというご要望があれば公式LINEやコメントでお伝えいただければと思いいます。

引き続きよろしくお願いいたします。


BODY school 
理学療法士/フィジカルコーチ
石田 將

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?