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【読書メモ】心が分かるとモノが売れる/鹿毛康司さん

ミゲル君と西川貴教さんの消臭力のCMは皆さんもご覧になったことがあるのではないでしょうか。
CMを展開するエステーにてマーケターとして活躍し、というかそもそも、マーケティング界隈では知らない方はいらっしゃらないと思いますが、今回は、鹿毛康司さんの著書「心が分かるとモノが売れる」を読みました。

何を読んだのか?

著者の紹介:鹿毛康司さんとは?

プロフィール

「お客様の心に向き合う」をテーマにマーケターとして活動中。同時にクリエイティブディレクターとしてCM監督、プランニング、コピー、作詞作曲を手掛ける。
雪印乳業を経て、2003年にエステー入社。同社を日本有数のコミュニケーション力のある企業に導く。同社執行役を経て、2020年に独立、かげこうじ事務所を設立。代表作は消臭力CM。11年震災直後の「ミゲルと西川貴教の消臭力CM」で一大社会現象を起こす。早稲田大学商学部卒、ドレクセル大学MBA。
現在、グロービス経営大学院 教授、エステー コミュニケーションアドバイザー、日経クロストレンド アドバイザリーボードメンバー/Ad-tech 東京ボードメンバー

株式会社かげこうじ事務所(https://www.kagekoji.jp/)

事例

皆さんご存知なのは、こちらの消臭力のCMですよね。
(こんなに時間が経過しているとは・・・)

西川貴教さんとのコラボで、さらに認知が広がりましたね。
この時は、

ライブバージョンは見たことがありませんでしたが、せっかくなので、こちらも!
T.M.Revolution /w Miguel Guerreiro(ミゲル) 『力にかえて』 + 『消臭力のうた』 「INAZUMA ROCK FES. 2012」


本書への期待と感想

読書前の期待/この本をなぜ読んだのか?

  • インサイトに関して、鹿毛康司さんという著名なマーケターの実務者の見解や考え方、活用方法を知るため。

  • インサイトの実例を具体的に知るため。

  • 鹿毛康司さんという著名なマーケターがどのような思考を行なっているのかを知るため。

読書後の感想

  • インサイトを平易な言葉でわかりやすく解説されており、理解がしやすかった。

  • インサイトをはじめ、そもそもマーケティングとは?を実践した事例として、エステー時代のCM制作などの事例を交えた解説があったので、具体的な活用方法のイメージがつきやすかった。

  • マーケティングは、「お客さまに向き合い、喜びを提供すること」

  • マーケターの前によきユーザー・消費者であること。自身を理解し、インサイトに向き合い、それを言語化するトレーニングを行う。

サマリー

サマリーとして簡単なまとめを記載しておきます。

  • インサイトは、人を無意識の行動にかきたてている潜在的なもの

    • 人を動かす隠れた心理。無意識に行動をかきたてる心理。

    • 言葉に容易にあらわれないし、表面的なものではない。

    • 人には言いたくない、普段は目をそらしているもの。

  • マーケティングとは「お客さまに向き合った結果、喜びを提供すること」

  • 人の行動は、5%の顕在意識(=ニーズ)と、95%の無意識(=インサイト)で構成されている。

    • 論理的に行動しない。

    • マーケティング理論が得意とするのは、顕在化された感情や意識に対してである。

    • あとから説明できるものは、顕在意識のものであることがほとんどである。

  • マーケターの前に、いち消費者として自分と向き合う。一流の消費者になる。

    • 自身のインサイトもわからないのに、他者のインサイトを探し当てられない。

    • トレーニング

      • 行動を書き出す。

      • その行動に至った感情や意識を書き出す。

      • なぜその感情や意識が生まれたのかという、本当の思いや裏にある願いに向き合う。

  • インタビュー

    • 感情や意見、意識ではなく、「事実」に目を向ける。

    • 相手が自分自身の心に向き合い、その中で出てくる言葉や感情を紡ぎ出すために対話を積み重ねる。

  • クリエイティブ

    • 自分勝手な期待を捨てる。

    • 判断基準を明確にする。

    • 一瞬で伝わる心地よい「おっ!」となるもの

    • 削ぎ落とし、シンプルにする。

メモ

ここからは、本文からいくつか引用しつつ、メモとして残しておきます。

インサイトとの向き合い方、発掘、発見

大切なのは、ネガティブな思いに向き合うことです。できれば思い出したくない、記憶の底に封じ込めてあるような「嫌なこと」の奥底に何かが横たわっています。人は前に進むために、嫌なことは忘れようとする生き物です。嫌なことをすべて抱えて生きるのはつらすぎる。だから、必死になって見ないようにするのです。

自分の気持ちだと思い込んでいたものは、もしかしたら今の自分が理屈から生み出した嘘かもしれません。「自分のことは、自分でもよく分かっていない」という大前提に立ち、自分が抱いていた感情に向き合います。言葉ではうまく説明できないけれど、そこには「何か」がある。

普段の行動や感情をあとで振り返ると、「それっぽい」ものでまとめてしまいがちなんですよね。でも、その「それっぽい」ものは、あとから理屈をつけたものが多く、本当の理由ではないことが多いのではないでしょうか。

人は、思い込む生き物です。トレーニングが不十分なうちに、感情や意識に目を向けようとすると間違った解釈にとらわれやすくなります。まずは、誰がどう考えても覆せない事実である行動を正確に振り返る力をつけることが最初の一歩です。なぜ、その行動を起こしたのかという理由は封印してください。感情も意識も捨て去って、事実だけを拾い集めます。

矛盾した行動の背景には、さまざまな心理が隠れているはずです。1日 10 分間で構わないので振り返り、言語化する時間をとってみてください。

他の人のインサイトの前に、自らの行動の観察と、その背景になる感情や意識の振り返りを丁寧にそれぞれでわけて行います。
例えば、最近買ったものや訪れた場所などから始めるのが良いですね。

心のツボを探り当てるには、1人の客としての自分の行動や感情、意識に目を向け、克明に再現すること、これらを生み出す自分の心理を深く理解することが欠かせません。一流のマーケターになる前に必要なのは「一流の消費者」になることなのです。

まずは、自らが「一流の消費者」になることから、マーケターへの扉は開く。何も特別ことを行う必要はないのです。


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