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高岡市のオススメ名建築5選【建築巡礼03】

富山市に続き、富山県第2の都市である高岡市のオススメ名建築を紹介します。
高岡市は旧加賀百万石の一部であり、空襲にもあっていないため、富山市と異なり、古い建築が残っています。
ということで今回は新旧併せてのご紹介です。
(写真は選外の中から山町筋にある旧富山銀行本店を。うまく再利用してほしいです…)


1)高岡山瑞龍寺/1655年~

山門外観 整然と堂々とした伽藍

高岡の建築と言えば、まずこれ。きっと皆さん異論はないはず…
高岡の開祖、加賀藩二代藩主前田利長公の菩提を弔うために建立された寺院で、山門、本堂、仏殿が国宝となっています。
典型的な禅宗の伽藍配置が特徴で、伽藍と芝生と青空の絵画的な美しさは一見の価値があります。
しばしばライトアップも行われ、昼とは違った表情を見ることができます。
一国一城令により、高岡城が廃城となった後は、いざという時には城郭としても機能するように造られたとのことです。
寺院によくあるワビサビという意識とはまた違ったどこか大陸的な整然とした美しさが印象に残りました。
山町筋、金屋町、勝興寺とともに世界遺産を目指す高岡の中核的な建物です。

2)雲龍山勝興寺/1671年~

本堂外観 堂々とした佇まいと繊細な装飾彫刻と

富山県の寺院では、瑞龍寺、瑞泉寺と、この勝興寺を抑えるべきです。2022年に本堂と大広間が国宝指定されました。
境内地は、奈良時代には越中国府の所在地であり、国守として万葉歌人大伴家持が赴任し、戦国時代には越中一向一揆の旗頭ともなったと言われています。
本堂に建ち並ぶ柱とその装飾には目を見張るものがあります。個人的には大広間になるべく目立たないように配慮しながら耐震補強がしっかりなされているところに好感が💦
2021年、2022年と北陸地方の工芸の祭典「GO FOR KOGEI」の会場の一つにもなりました。このしっかりとした寺院に、伝統工芸の技を活かした現代芸術。見応えがありました。またやってほしいですね。

3)高岡市美術館/内井昭蔵建築設計事務所、富山県建築設計監理協同組合/1993年

外観 土着的な本体と小気味良いリズムの歩廊の対比

円形の繰り返しの平面計画と前面の地階へと続くガラス壁面が特徴的。ディテール、動線計画ともに非常に良質な美術館建築と思います。
隣の青井記念館は同じ内井先生の設計であり、外観上連続性を感じさせる意匠です。内井先生の作品は富山県内に多く残っており、どれもその土地に昔からあるかのような土着的な印象を受けますが、その中でもこの建築は白眉です。

4)能作新社屋/アーキヴィジョン広谷スタジオ/2017年

外観 一階で迫り出しているのは錫の外装と真鍮の外装

髙岡は工芸の町です。その中でも高岡銅器をはじめとする鋳物は特に有名です。浄土真宗王国という性格と相まって、仏具生産が多かったことに起因するのかな?
その鋳物技術を活かした商品の開発・販売に力を入れている事業者の筆頭、「能作」の社屋です。
建材として錫、真鍮、銅などの金属や木材をふんだんに使い、金型を大々的に展示したり、建築としての魅力も満載です(駐車場の車マスのデザインがめっちゃ好き^_^)が、工場見学、制作体験、カフェなどで建物を丸ごと楽しむことができます。
富山の産業観光の旗頭の一つです。

5)ミュゼ福岡カメラ館/安藤忠雄建築研究所/2000年

外観 

最後の五つ目は悩んだけどやっぱりこれを入れておきます。
個人のカメラコレクションと、写真の企画展示を行う比較的小規模な博物館です。
外観は非常にシンプルで、古くからの町の中心に位置しているにも関わらず、周囲とほどよく調和をしつつ、ほどよく自己主張をしているように思われます。
1階から2階へと続くスロープにおいて積極的に中庭からの光や景色を取り込み、休憩所を別に設けずとも鑑賞疲れを緩和させる装置となっています。
このサイズの安藤建築はやっぱり良いです^_^

いかがでしたでしょうか。高岡市のオススメを5つご紹介しました。
高岡市には山町筋、金屋町、吉久という3つの重要伝統的建築物群保存地区があり、街並みとしては徐々に良くなってきている印象です。時間が許せば、ぶらついてみるのも「あり」ですよ。

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