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ストレスは、必ずしも敵じゃない

仕事を辞めたら楽になれると、ふと考えることがあります。
フリーランスで、どこにも所属していないのだから、「辞めます」と宣言して、新しい仕事は受けなければいい。

好きな仕事のはずなのに、ついそんなことを考えてしまうのは、仕事をしているとどうしてもストレスを感じる瞬間があって、そこから逃れたいからです。

取材の依頼が入ったとき、原稿を送るとき、新しい人に出会うとき。
「完璧にやりたい」「失敗したくない」という気持ちを拭えなくて、必要以上に力が入ってしまいます。だから、いちいち疲れるのです。
休日や、子どもと過ごしている時間も、つい仕事のことを考えてしまう。

仕事がなければ、こんなストレスを味わうこともなく、心穏やかに過ごせるのだろうなと、ずっと思っていました。
仕事のストレスから離れ、思う存分本を読んだり、映画を見たり、カフェに行ったり、動画を見たりしていたい。

最近、意図的に仕事の量を減らしたこともあって、ぽかんと余白ができ、思いがけず理想の穏やかな暮らしをすることになりました。
ところが、やりたかったことをやり尽くしてみると、思ったほど楽しくないのです。

以前は、仕事の合間に好きなことができる時間は、とても尊く、ワクワクするものでした。それなのに、好きなだけ楽しめるとなると、どれも輝きを失ってしまったようなのです。

先日「ストレス=悪じゃない」ということが書かれた本を読んで、なるほどと思いました。仕事のストレスは、もしかしたら私に必要なものだったのかもしれません。そのストレスがあるからこそ、限られた自由時間が輝いていたのです。

ストレスから逃げたいと思うと、新しいストレスを受けることが、どんどん辛くなります。でも立ち向かってみようと意識を変えると、俄然人生は楽しくなりました。今のところはですが、何でもやれそうな気になっています。

出産のときに、陣痛の波が来るのが怖くて「怖い怖い」と考えていると余計に痛みが辛かった。でも次の波を「乗り越えよう」という気持ちでいると、意外とやり過ごせたのを思い出しました。

向かってくる波に背を向けるのではなく、前を向いて、乗り越えようとする。派手に転ぶかもしれないけど、それすらも自分の経験値になる。

だけど、これは自分が思う存分穏やかな時間を過ごしたから言えることです。「逃げたい」と思っていたとき、「逃げるな」「立ち向かえ」という言葉は、何よりも痛かったし、聞きたくない言葉でした。だから他の人に強要するつもりは全くないです。逃げることも決して悪ではありません。

辛いときは逃げて、満足ゆくまで休んで、そうしたら自然と「動きたいな」という心境になるのではないかと。そういう心境になれるまでは、休んでいていいのだと思います。

ストレスは敵だと思い込んでいたけど、そうではないと気づけたことが、私にとっては前へ進む大きな力になりました。まだまだ頑張ろう。

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