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「分かった!」と思わないように

取材前に、いつも自分の手書きのメモを読み返します。

取材で心がけたいことをいくつか書き留めてあるのですが、すべてをもう一度頭に入れなおして、取材に臨みます。

たとえば、「事実よりも価値観を丁寧に聞くこと」「自分の質問に自信を持つこと」など。noteを読み漁っていて見つけた言葉もたくさんあります。

最近そこに、新たに加えた言葉があります。

「わかった」と思わないこと。

先日、図書館で借りてきた「暮らしの手帖」2020年6-7月号に、この言葉はありました。アナウンサー、久保田智子さんのコラムです。

一番大切にしているのは「わかった」と思わないこと。自分は相手の話を「わかっていない」と自分の認識を否定し続け、脳が思考停止しないよう努力しながら聞いている。

オーラルヒストリー(口述歴史)を勉強している久保田さんが気を付けていることなのですが、ライターの取材でも同じことが言えると思いました。

「わかった!」と思ってしまうと、もう聞くことが終わってしまいます。
本当に自分は「わかった」のか?心の底から納得できたのか?自分に問いかけながら、本当の意味で「わかる」まで聞くことが大切なのだと思います。

特に、なんとなく耳障りの良い言葉やオリジナリティのある言葉、「この言葉絶対使いたい!」と思ったときほど、注意するようにしています。言葉の勢いに引っ張られず、一旦冷静になって「それはどういうことなのか?」「どんな背景があるのか?」を聞かなければ、ただの薄っぺらい言葉になってしまうからです。

相手の話に集中して、隅々まで丁寧に聞く、って本当に難しくて、取材を何度やっても、まだまだ訓練が必要だなと感じます。

できるだけたくさんの人の、表面的な言葉だけでなく、その奥にある「想い」を知りたい。どんな仕事でも、それを根底に持ってやっていきたいです。

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