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コラム 創造 ”考えるとは”


株式会社ソロモン 代表取締役 砂原康治 (商品開発アドバイザー)

 ここまで商品を企画して販売する事を書いてきましたが、どの作業にも必要になる、”考える”とは何かを説明してみたいと思います。
 先日、29回目の創業記念日を迎えました。決算回数は過去に清算した会社も含め33回になります。40歳で社長に就任し70歳で引退する方より経験だけは多い事になります。その間、特許出願50件に対して10件販売しました。40回起業に失敗し10回成功したということです。その間、色々なことに悩み解決策を考えてきました。そのうち考えるとは何なのかと考えるようになり、これも自動化できないものかと思うようになりました。
 毎回、計画を実行し結果が出たとき、遡ってどのような行程を経由し、この答えにたどり着いたのか検証してきました。多くの分岐点で他の選択肢は無かったのかと検証しました。毎回、このように検証していくと経験値が増えていきます。そして同じ失敗をする確率が減っていき正しい判断をする確率が上がっていきます。これは計算式が鍛えられて正しい結果を出せる式に成長したということです。いわばニューロです。ニューロの計算式に多くの経験を積ませれば時々未知の問題を入れても正しい答えを出すようになります。これが未来予知です。現在、プリント基板のパターン設計をある程度自動で行うことができます。操作する人のノウハウが徐々に戦略ファイルに蓄積されていきます。その戦略ファイルを鍛えれば、ほとんどの設計を自動化できます。そうなると、その戦略ファイルは同じCADを持っている若い企業にとって価値ある物になります。経験値を売ることができるのです。これは、一部の分野での話ですが他の分野でも同様の事が起こっていると思います。
 人間の脳はニューロといわれています。日本語を使う人は日本語で物事を考え計算します。ニューロである脳を使って日本語OSを動かし、アプリケーションであるニューロを演じるのです。そして、経験値を積んで未知の問題に対して正しい答えを出すのです。
 昔、数学の先生が最初の授業で何のために数学を勉強するのかを説明しました。「今起こっていることを数式にして理解し、次に自分がどのように行動すれば良いか判断するために数学を勉強する」でした。しかし、数式に組み込むことが難しいのが人の気持ちです。例えば、商社に自社製品を提案に行ったとき商社の担当者の個人的な好き嫌いで扱ってもらえない場合があります。自社の計算では需要があると判断したのにも関わらずです。そういう不確定な要素を省くためにもユーザーへの直販をお勧めします。分からない人に知らない物を説明しその結果を自社の経験値に反映させていてはマーケティング能力が破壊されます。あくまでも自然現象を入力する必要があります。自然現象の規則性のみを入力することで正しい結果が得られると思います。消費者の好みも自然現象です。物事を考える秘訣は、曖昧な単語を使わない、文章の最後は言い切る、の2点だと思います。この点でも日本語は不利な気がするので意識して単純な単語と文章で計算していくことを心がけると良いと思います。

2022年6月17日発行

(出典:帝国データバンク 帝国ニュース北陸版)

ありがとうございます。起業以来、下請けと工賃仕事をせず自分で考えたものを世に出して生きてきました。その経験をノンフィクションとして書いています。