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誰も買わない商品を食べる活動 第3回

前回はこちら

大人になると、時間の経過が凄く早くなるという。
体感では、二十歳が人生の折り返しだと。

うるせえ。それは刺激不足だ。
毎日「未知」を享受して、それに目を輝かせれば、そんなことになるはずないんだ。

これは、そう信じて日常生活で極小の抵抗を続ける、そんな活動である。

第3回
"アロエヨーグルト味黒酢"

なんの料理に使う想定...??


それはスーパーのお酢コーナーに突如現れた。
このネーミング、店頭ではツッコみきれなかった。

一旦買おう。
気づけば無思考のまま、買い物カゴに滑り込ませていた。

・・・

帰宅後、じっくり眺めて気づく。
あ、これ直接飲むタイプの酢だ。

日々、酢飯ばっかり作ってる俺。
「飲む」という発想が全くなかった。

\濃いめも薄めもお好みで!/ じゃないのよ。
1:3を自信持っておすすめしてくれよ


聞けば、酢には疲労回復やダイエット効果があるらしい。
偶然こういうご利益にあやかれる。
これもこの活動のいいところだな。

しかも、「ヨーグルト酢」じゃなく、
「アロエ」「ヨーグルト味」「黒」「酢」

ときたわ。

最終進化形態だ。
ちょっと遅れてポケモンを始めた時、友達のドダイトスを見て
「え、俺のナエトルそんなゴツくなんの!?」
となった時の感覚だ。(伝わらなくていい)

知らない間に、酢直飲み業界はここまで来ていたのか。

御託はいい


とりあえず飲もう。

言われた通り、1:3で水割り。


!?!?

香りがヤクルトみたい!甘い!

酢のツンとした感じが全くないぞ!


もっと飲むのに躊躇すると思っていたが...
こんなで健康を手に入れて大丈夫!?


飲んだ



・・・



酸っっっっっっっっっっぱ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!



おい。


やってることが食虫植物じゃねえか!!!

※甘い香りで誘った虫を捕まえ、
強酸性の消化液で溶かして食べる植物


まんまとやられた。
これ飲めば健康!という甘言と、甘い香りに誘われた私はカブトムシ。

やはり、健康は労せずして得られない。
とはいえ、酸っぱいけど普通の酢をそのまま飲むよりは遥かに美味しい。企業努力の賜物だ。

いつかは愚かなカブトムシも、念願の丈夫な体を手に入れて「一夏の命」なんて言われずに済むかもしれない。

そんなことを思いつつ、残った450mlのこの酢が、およそ料理に転用できないであろう現実から静かに目を背けた。


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