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True Love 第一話
私は家族の笑顔が好きだ。だからなのか、無意識のうちに父や母に疲れて苦しげな顔をさせるくらいなら、私が代わりに(家事などを)やってあげたいという思いに取り憑かれる。とにかく、笑っていて欲しいのだ。
でも、現実は上手くいかない。
「やったほうがいいんだろうな」と思っても行動しないことの方が多い。そして、そういう時に限って母が悲鳴を上げる。母並みじゃないかもしれないけど、疲れて帰ってきた時に誰も何もやってくれてない時のイライラは半端ない。その気持ちがわかる分、余計にやらなければという思いに駆られる。
母のヒステリックな声で目覚めた朝は、階下に降りたくなくて眠くなくても二度寝する。
次に目覚めた時は静かになっていて、誰もいない一階に降りる。
午前中は自分の好きな事をして、午後は母のために家事をした。カウンターを片付けて、掃除機をダイニングから階段までかけて、洗濯物を畳んだ。そして、妹と協力して晩ごはんを作った。
母が帰ってきた時に、「なんで2人で作ってるの?」と言われた。普段怠け者の妹が私と一緒に作っているのが珍しかったのか、それとも、どういう風の吹き回しなのかと単に疑問に思ったのか、質問の意図はわからなかった。イラッとしたので私は適当に答えた。
なぜか、心の中がもやっとした。
その日は両親とも休日出勤で寂しい休日だった。父には晩ごはんを作ったことをとても感謝されたが、食器洗いまで当たり前にしてくれると思っているところが癪だった。
その時、私は気付いた。自分が見返りを求めていることに。
「True Love(真の愛)を与えられるようになりなさい」と私の宗教では言っている。そして、与えて忘れるのだと。
見返りを求めてしまっている時点で、それができていなかった。
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