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True Love 第四話

姉弟がいることは良いことばかりなのだろうか。私、妹、弟は姉の影響を強く受けている。初めてハマったJ-popは姉がいつも大音量で流していた曲だったし、シャーロック・ホームズに出会えたのも姉が本を借りてきたからだ。自分が気に入った曲は、姉が気に入らないと良い曲だと思えなくなってしまったし、姉の意見が頭からこべりついて離れないこともあった。姉が好きだったものは私、妹、弟と順に好きになった。姉がいることで私は姉に影響され過ぎて、いったい自分は何が好きなのか、何がしたいのかわからなくなった。もちろん今は別の高校に進学して、姉の痕跡がない学校で伸び伸びと過ごしているが、中学校の時は先生と姉の関係が近過ぎて肩身の狭い思いをした。

姉弟だからこそ、似ているのは当然だ。だからこそ、自由な発想をしている姉が羨ましい。私は姉に縛られているというのに。

以前、女子会と称して母と姉、私、妹でファミレスに行っていろんな事を話した。だいぶ長い時間そこにいたと思う。昔話にも花が咲いたのだ。

私は妹とは3歳離れていて、弟とは11歳離れている。私が妹や弟に「食器片付けなさい。」とか「これは出しっぱなしにしないの」とかいろいろ言っていると、思う事があった。それは、私が妹や弟くらいの歳のころ、同じ事を母や父に言われてもやっていただろうか、という事だ。今こそ、母や父に言われ続けて身に染みているし、歳も取ったので常識のように身についている。しかし、自分ができているからという理由で妹や弟に同じ事を求めるのは間違っているような気がするのだ。だから本当に、妹や弟は偉いと思う。姉がいるせいでレベルの高いものを要求され、それを実行し、早く大人になる事を強要されているのだから。可哀想だが、どうしようもない事なのかもしれない。私自身、反射的に口から出てしまうし、無意識に求めてしまっている。

私の考えていたことは、当たらずとも遠からずだったようだ。

妹がファミレスで涙ながらに、話してくれた事がある。私は全く気付いていなかったのだが、妹は私と姉の顔色をずっと伺っていたらしい。妹曰く、険悪な雰囲気にならないように、妥協してきた事が何度かあったみたいだ。本当に、気付いていなかった。ずっと、妹は生意気だと思っていた。

そんな事があったから、私は妹や弟に優しくしようと決めた。私自身完璧ではないので、八つ当たりの対象にしてしまった事があるかもしれないが、なるべく、話を聞くようにしたし、生意気な事を言っても、受け入れるようにした。今、妹がどう思っているか分からないが、良好な関係を築けていると思う。

妹や弟は小さいから何も言わないと思っていたのは大きな間違いで、いつも大人や年上の顔色を伺っているのだ。滅多に悲鳴をあげないからこそ、身近にいる私が気付いてあげるべきだった。自分が姉に対して不満を抱いていたように、妹や弟も理不尽さに打ちのめされているのかもしれない。本当に、気をつけなければならない。気づくのが遅くなって、ごめんね。

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