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True Love 第七話

「休みの今だからこそ、勉強して差をつけなさい。」

何度も言われた言葉だ。分かっていても行動に移すのは難しい。ほとんどの学生がそうではないだろうか。私もその1人だった。

お昼の時間になって、自分だけ作って食べるのは忍びないと思い、母と弟にも煮込みラーメンを作って食べた。その後、母から、

「今のうちに、勉強しときーよ。周りの人はしとるけんね。」

と言われた。また始まったと思ったが、無視して行くことができず、話が終わるまで大人しく聞く事にした。

「お母さんもね、看護学校を卒業するときに、先生から『あなたは大学に行きなさい。』って言われたけど、とにかく早く就職したくて、親元を離れたくて、言う通りにせずに、ただ寮があるっていうだけの病院に就職して後悔しとるとよ。他のみんなは、お母さんより良い病院行っとるのに、就職先の選択は、賢くできんかった。あんたは、ちゃんと大学に行って大学病院で働いた方がいいよ(私の目指す職業は医療系)。この年になって、目立った経歴がないお母さんは、若い子にこき使われるとよ。お母さんは、耐えられるけど、あんたは無理やろ?勉強は高校生のときしかできん。勉強は、財産になるけど、他のことはそうじゃないでしょ?神様だって、勉強せずに苦労する子を見るよりも、勉強してみんなのリーダーになって活躍する子をみる方が喜ばれるでしょ?あんたならできる。今、お母さんが言った事、忘れんでよ?お母さんがいなくなっても、忘れんでよ?」

今まで聞いてきた話も少しあったのに、なぜか、気持ちが動かされた。私に託してくれた母の思いは、無下にできないと思った。

やる気になった私は、勉強をしに2階へ上がり、逃げてきた数学の問題に取り掛かった。目標は全部終わらせる事にした。集中力が続かず、何度も諦めようとしたが、頑張って解いていった。終盤になって力尽きようとしていた頃、母が部屋に入ってきて、何も言わずにりんごを4切れほどお皿に盛り付けたやつを置いて行った。それを食べると、糖分のおかげなのか、解くスピードが上がり、ちゃんと目標を達成することができた。辛いと思ったとき、りんご4切れを持ってきてくれた事に母の愛を感じた。

母親は、最強だ。私が思っている以上に子供のことを愛しているのだと思う。本当にありがたい。


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