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<2024年受験体験記>Tくん

Tくんとは、5年生の5月から一緒にお勉強を始めました。
SAPIXとの併用だったので、授業では、主に塾の教材を一緒に復習しました。


春秋おじさんの振り返り

私とお勉強を始めた時点で、すでに知識・選択肢問題(SAPIXでいうところのAタイプの問題)はよくできていました。
ただ、Aタイプがよくできるお子さんにありがちなことですが、考えることが好きというよりは、正解を出せることが好き。興味の対象のほとんどが正解かどうかにあって、じっと深く考えることにはそこまで興味を持てていませんでした。

志望校などの目標に沿って求められる「ここまで理解できていないと、応用できないよ」という理解の度合いがありますが、それを求めると、子どもは「正解できてるんだから、いいじゃん」と思いがちです。
たとえば、塾の授業のふり返りをするときも、先生の言ったことや模範解答をほぼ丸暗記に近い形で覚えていて、それをそのまま言えているんだし、OKでしょ?、となってしまいます。
しかし、当然、こうした丸暗記の記憶は時間が経つにつれて薄れていきます。また、解き方が身についているわけではないので、模試などで実力問題を解いてみると、思っているほど点数が取れません。

Tくんは、良くも悪くも、正解を覚えてしまうクセがついていました(理社も含め、知識問題を落とさない、という点ではとても役立つ能力です)。
それだけだと、国語の長文読解(記述問題)はうまくいかない。今、自分が思っているよりも深く内容を理解しなければいけない、と納得していただくことにじっくり時間をかけました。

Tくんの直しノートと厳しい添削

また、Tくんは文章に書かれている内容を正確に読むことは得意だったので、内容の深い理解を厳しく求めました(本当に厳しかったと思います)。

問4, 8, 13, 14:自己採点では部分点がついているのに、私のバツがつけられています。
「こんなこと書かれていません」のコメントが厳しい…。

過去問演習でこの添削を見たTくんが、「塾の先生に採点してもらったら、先生の採点より全然点数があったんですけど、本当にバツなんですか?」とおっしゃったことがありました。
私は「この答えからは内容が理解できているとは思えません。だから0点です。*1 文章が読めているか、一緒に確認してみましょう」とお伝えして、解説を始めました。
解説後には「あー、確かに、全く読めていませんでしたね」と納得していただいたのが印象に残っています。

Tくんがしっかりと自分と向き合い努力してくださったことで、6年生の後期には、模試でも国語の点数が安定するようになりました。

お母さまの振り返り

【指導をお願いしたきっかけ】

息子は小3からSAPIXに通っていました。小4になり本格的に4教科のカリキュラムが始まりましたが、成績は乱高下が激しく、確実に点数を取れる教科もない状態が続きました。そこで、
・強みとなる教科が欲しかったこと
・問題文を読むなど国語は全教科に通じるものであること
・国語は論理的思考が必要でありそれをしっかり身につけて欲しいが、教えるには私たち親では限界があったこと
以上から国語を教えていただける先生を探しておりました。情報を収集する中で、先生を紹介している方のブログを見つけてご連絡しました。

【指導内容】

小5のうちは通塾している塾のテキストとテストにて授業を進めました。
具体的には授業で扱った問題の解きなおし、解きなおしノートの作成・添削をしていただき、授業外では記憶アプリを利用して語彙力の強化をしていただきました。

小6では、塾のテキストのほか、過去問やその時に応じて新聞コラムの要約などもやっていただきました。塾のテキストに沿った授業をしていただけるのは本当に助かりました。今まで家の学習では、私が教えることができないせいもあり国語の時間を取ることがあまり出来ていませんでしたが、先生にサポートいただくようになってから学習も充実し、親としても安心でした。また、息子の性格を見抜いてか、大事なポイントを理解するまで真摯に向き合っていただき、進捗度に応じて適切な指導で進めていただけたことで、息子も先生を信頼し学習できたと感じています。

【親へのサポート】

授業後は先生とお話をする機会が毎回あり、勉強面で心配なこと、息子の行動で気になることなど相談にものっていただきました。授業後の時間以外にも困っていることがないかなど、気にかけて下さっていました。初めての中学受験ということもあり、不安だらけの日々でしたが先生のアドバイスや言葉に救われたことが多々ありました。

【振り返り】

集団塾ではどうしても一人に対して時間をとることが難しく、個々の足りない部分を補うことは難しいと思います。先生に教えていただいてよかったのは、1対1でじっくり自分の頭で考え、アウトプットする機会があったことです。なぜそうなるのか、どうしてこの答えになるのか、どうやって導いたのか、を考えることがしっかり身につくよう指導いただきました。当初は先生から教わっていることがなかなか身につかず、近くにいる私が先生と息子のやり取りを聞いてズッコケる場面もありましたが、先生が根気強く教えて下さったお陰で考えることが身につきました。

成績が低迷していた時期もありましたが、先生との授業を見ていたので絶対に伸びる、上がると信じておりました。先生からも「小5後期になり難しい問題になっているため、力がついているか分かりにくいところではありますが、ちゃんと力はついていますので心配なさらず大丈夫ですよ」と声をかけてくださり、そこからは安心して見守る事が出来ました。記述に関しては、最初は授業内でもテストでも全然点数が取れなかったけれど、先生との授業を続けていることで取れるようになった、と本人も申しており自信に繋がっていたと思います。

息子はもともと体力がなく、小6になり学校でも役割を任されることや行事が重なり疲れることが多く、先生との授業中に集中できていない時が何度もありました。その際はちゃんと睡眠時間は取っているか、休息はしっかり取るようにと温かい言葉をかけていただきました。また、入試間際になって不安に押しつぶされそうになったとき、時間を取っていただいて不安を取り除くべくお話して下さり、メンタル的にも支えていただきました。息子も心底頼りしており、受験前日、当日朝にも電話させていただき、会話したことで心を落ち着けて試験に挑むことができました。

最後の最後まで、勉強面(小6後期では算数や理科でも質問に答えていただくこともありました。先生はどんな問題でも即答して下さってすぐに解決できて助かりました。先生、流石です)でもメンタル面でも支えていただき、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。親子ともどもお世話になりました。本当にありがとうございました。

Tくんからのメッセージ

Tくん、合格おめでとうございます。
Tくんにどのような添削をしていたか見返したのですが、確かに、ずいぶん厳しいですね(そして、授業、つらかったんですね)。すみません…。
いつも一生懸命に努力して、真剣に話を聞いてくださったことに、本当に感謝しています(言ったことをメモして、机に貼ってくださっていましたね)。

直前期から入試期間はつらいことがたくさんありましたが、本当に強くなりましたよね。Tくんが強くなっていく姿を近くで見ていて、私も力をもらいました。ずっと真剣に努力してきたからこそ、Tくんはこんなに強くなれたのだと思います。

これから身体もどんどん成長して、体力もずっとつくと思うので、中学・高校では、ぜひ自分の好きなことに打ち込んでください。とことん打ち込んで、打ち込んだ者だけが得られる、つらい、痛みのある経験をたくさんしてください。
もっともっと強くなったTくんと、またお会いできるのを楽しみにしています。



*1 ここまで厳しいコメントをしたのは、Tくんが文章を読める人で、信頼関係も出来上がっていたからです(どの生徒にも、いきなり厳しくするわけではありません)。
また、この過去問は、私がTくんに「空回りしてしまうので、体を休めてほしい(体力を回復させないと、頭も上手く働かない)」と言った直後に、私の指示を無視(?)して解いてしまったものでした。休めていないせいで、いかにTくんが本来の実力を発揮できていないか分かってほしい、という思いもありました。


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