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“海の恵みを封じ込めて”静岡中央魚類に迫る!/大石諭さん(有限会社静岡中央魚類・代表取締役社長)

はじめに

こんにちは。常葉大学造形学部の芦川、大浦、大岳です。
今回、私たちが数あるファクハク参加企業さんの中で紹介するのは「静岡中央魚類」さんです!静岡中央魚類さんは清水駅から徒歩約10分のところにある、小型の冷凍鮪の加工を専門に行っている企業さんです。皆さんは、回転寿司やスーパーで見るお刺身がどのように加工されているか知っていますか?
この記事では、そんな疑問に答えてくれる静岡中央魚類さんに迫っていきます!

有限会社静岡中央魚類入り口で学生を出迎えてくださる社長の大石諭さん

加工している魚や工場について


―作業現場の機械は固定されているのですか。

固定してありません。
当社で使用している様々な機械や道具は、全て少人数で移動させることが出来ます。大概の工場はコンベアなど大型の機械は床に据え付けてありますが、当社の機械や道具は、床に据え付けておりません。大型の機械にはキャスターを付け、台や道具などは一人でも移動できる様にサイズを小さくして軽くして有ります。なぜ、その様にしているかと言うと、動かせないことで社員に危険を感じさせたり、作業効率が悪くなったり、衛生管理の上で床の掃除や補修が容易に出来ないといった、問題やストレスが無い職場にしたいと思ってこういった形にしています。
初めて見学に来られる方達の為に分かりやすく作業の流れを説明した絵も用意してありますよ。絵を見ながら皆さんも見学して下さい。ちなみに、こちらの絵は社長自ら作成したそうです。

イラストで作業の流れが分かりやすく説明されています。

―魚の裁断について教えてください。

当社では、超低温(-50℃以)で保管管理された魚を裁断しております。加工用の魚は、内臓が付いた状態で冷凍処理されています。超低温管理の為、ハンマーで叩いたぐらいで簡単に内臓がポロッと取れます。

冷凍のマグロを機械で裁断していく社員の方々

現場に来てもらうと感じられると思いますが、とても危険度が高い現場です。
大石社長は言います、50年経っても冷凍マグロ加工作業内容は変わらない。
現在は、サーモンの切り身などはAI技術が進みコンピューターがバンバン切る時代ですが、冷凍マグロ加工については、まだまだ人間の繊細な手先の技術がないと出来ない作業だと教えてくれました。
単純に魚を切っているように見えますが、手から感じる魚の感触で瞬時に魚体の状態を判断し的確に中心線を切っています。魚が曲がっていても同じように中心線を切ります。皮の剥き具合も手から来る振動で判断し数ミリ単位で磨いています。これら全て、先代の職人達から長い間引き継がれて来た技術だと言うことです。
AIや全自動機械だと細かな調整がまだ効かないため、無駄が多くなり出来が悪くなってしまそうです。ですが、そうは言っても担い手が不足して来ているので、今後この様な産業も衰退して行ってしまうのかと危惧していると言っていました。 

―裁断の過程で出る細かい魚の破片はどうなりますか。

肥料や飼料という形で再活用されています。
再活用部位によっては、オイルを抽出して美容、化粧品、DHAサプリメントなどに活用されています。商品とならないからと言って廃棄するのではなく色々試行錯誤して全ての部位を再活用しています。SDGsの指標である「つくる責任つかう責任」や「海の豊かさを守ろう」などの内容に沿い食品ロスを極力減らすことで持続可能な商品の製造を実現しています。

皮磨きの機械の下に入っている細かな破片

―ここで梱包された魚(商品)はどこに出荷されていますか。

地元や全国の量販店・回転ずし・卸し売り市場などに出荷されています。 

会社・仕事について


―過酷な現場だと実際に見て改めて感じました。勤務時間や休憩はどのくらいありますか。

勤務時間は始業8時から終業17時までです。基本残業は致しません。社長自身が嫌いだそうです。休憩は2時間ごとに挟んでいます。10時、お昼休み、15時です。作業の都合で前後することも有るそうです。朝から夜まで働いて、家でご飯を食べて寝て、起きたらまた会社という流れにはならないように色々と工夫しているとのことです。体調管理が不十分になるとケガや事故などに繋がり、会社と社員に良い影響が生まれないと考えています。

応接スペースにてインタビュー中の様子 左から大石社長、芦川、大浦

―無駄な時間を減らすためにしていることはありますか。

余計な気を使わせないよう作業に集中できる環境づくりをしています。
無駄な物は置かない、見やすく確認しやすく整理整頓を心掛け安心安全に作業出来る環境。
伝達は必要な事のみ伝える。注意事項はその場で注意する。人の流れの導線を最短にする。

―とても過酷で危険な現場ですが、特に注意していることはありますか。

特に注意している点は、機械の取扱と動作ですね。とても危険な機械を使用していますので事故やケガに繋がらないように注意させています。作業中に横着な動作をすることで、事故やケガの原因に繋がると考えています。危険な動作を何度注意してもやってしまったり、集中出来ていない時に作業を続けてしまったりというような事が、事故やケガの理由のほとんどです。ほんの少しの事だからという甘い判断で本人も会社も多大な損害を被るかもしれないのです。この業界は危険な部分が本当に多いので特に気にかけています。

ファクハクについて


―どうしてファクハクに参加されたのですか。

清水は、冷凍マグロの水揚げ扱い量が日本で一番ですが、そのマグロが実際にどのように処理されているのかを見て教える場所が乏しいと日頃感じていました。
そんな時に、ファクハクのお話を聞かせて頂き直ぐに応募を決めました。ファクハクに参加することにより、お客様が普段何気なく食べているお刺身が、多くの人達の手によって食べられる事に改めて考えて頂けるきっかけになれば嬉しいです。量販店などでは、様々な食材が並んでいます、その食材達の陰で働いている方達に是非注目して下さい。
今後、静岡の産業をより身近に感じて頂ければ参加した意味があったと思います。

―ファクハクに来てくださる方に見てほしい・知ってほしいと思うことは何ですか。

スーパーなどで売られている水産物がどんな工程を踏んでいるのか、どんな人達が作っているのかを見て欲しいです。ただ単純に店頭に並んでいるのではなく、さまざまな人達が関わっている事を、この機会に思いっきり感じて下さい。
そして、お刺身を食べる時に思い出して下さい、彼らのことを。
そして、食材を粗末にしないで残さず食べると言うことをお願いしたいです。

ファクハクのフライヤーを持って撮影 左から芦川、大石社長、大浦

ぜひファクハク当日は静岡中央魚類さんに足を運び、普段食べている魚の裏側に触れて見てください。今回このような貴重なお話をしてくださった大石社長、社員の皆様ありがとうございました!

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