幸せを目指しちゃだめですか

病院。お医者さんにしか話せないことがたくさんある。あなたはヘヴィな人生を生きている。よくやっている。本当に。そう言われるたびに、心の堤防が不安定に揺らいで、涙があふれてくる。

言えない。みんな、自分の人生で忙しい。私の悩みや恐怖は、世の中の大多数が抱かない種類のもの。話しても、理解されないという現実に打ちのめされるだけ。私が幸せになるハードルはおそろしく高いんじゃないか。絶望する。階段を見て、ここからなら終わりにできるかな、と考える。自殺予防ダイヤルみたいな画面をぼんやり眺める。友人に明るいラインをする。気持ち悪くて吐く。そんな繰り返しで。

本心を話す。その練習の前にまず、本心を話してもいい、という安心感を抱く必要がある。どうすればいいんだろう。相手に求めていいのか、私の精神性の問題か。人を信じるのがこわくなったのはいつからか、人の言葉にいちいち傷つくから、人と会えなくなったのはいつからか。

本心を話すなんて、私にとっては世界一深い谷に命綱なしで飛び込むくらいこわい。運良くどこかに引っかかれば助かる。引っかからなければ奈落の底。痛みだけが残る。消えない痛みだけが。増えていく傷を数えていると夜が明ける。

幸せになりたい、と思う。私が望むものが、たとえ、大多数の人が元々持っているものだったとしても。それを考え出すと、本当に、狂ってしまうから。私は私が思う幸せを目指していたい。本当に。

幸せになることを諦めたくない。弱音は全部、幸せを目指す過程にあるものだと思うから。幸せになりたい。幸せになりたい。くるしいさみしいかなしいくるしい。幸せになりたい。

他人の顔色をうかがって、本心をはぐらかせてばかりの20数年間を、超えた先で、私は、生きてみたい。

眠れない夜のための詩を、そっとつくります。