SNSに疲れたくせに、つぶやきじみたものを書き残したい夜だ

自分のことを安心して話していいのだと、思える場所は多くない。相手を気持ちよくするのが会話のコツだと、就活のとき教わった。目を見る、相槌を打つ、続きを促す。よく笑い、よく食べ、決して怒らない。そうしていれば人は自分を嫌わない。自分はここにいてもいい。そうしないと生きていけない。

でもあるとき、ぐしゃんと崩れた。運ばれる前に崩れたホールケーキ。返信する前に充電が切れたスマートフォン。くるしい言葉ばかり並ぶSNS。ぐしゃん。ぐしゃん。ぐしゃん。中学校が廃校になった。色褪せていく青春。別になくてもよかった春。私は本当は何を感じていたのでしたか。

ああ、また私は本心を、詩で誤魔化そうとしているな。失礼だ。詩にも私にも失礼だ。素直に自分の感情を表現すればいいのに、こわくって仕方がない。自分の話をしていいと、なかなかぜんぜん思えない。したらしたらで自己嫌悪。世界が終わる音。幻聴。話してもいいですか、の裏の動悸。抗不安薬代わりのチョコレート。

感じたことをそのまま表現していいと。話したいときに話したいことを話していいと、そう思いたいよ、思いたくって仕方ねえよ。それが私にとっての救いだよ。そしたらもう、書かなくても生きていけるのかもしれない。その先で書けるものがあるかもしれない。表現は生きることだよ。降ってくるものでも湧いてくるものでもない。ただ生きることでしかない。だめにしたばかりの作り置きカレー。

疲れたお腹すいたがんばったねおつかれさま、好きだよ嫌いだよこれがほしいもっとああしてさみしいくるしいかなしい愛してる愛してる愛してる、ああ感情は、単純化しないと伝わらない。単純化できるほどに感情は単純じゃないのに。こんなことを考えているからいつまでも髪が乾かない。春、花粉症、アレルギーの目薬。ほしかったリップはすこし高くて買えなかった。大人は以外とみじめだね。はぴはぴはっぴー。

あのねえ、SNSに疲れちゃった。わかりあえない私たちは、それでも、わかりあおうとしたり傷つきあったりして、ぐちゃぐちゃに絡まり合って生きていくしかないじゃない。もうわけわかんないね疲れたねって、笑って諦めて仰いだ空が夕暮れなら、ぜんぶ報われた気がするかもね。

私にとって言葉は愛です。だから疲れても伝えようとしていたいです。

さ、はやく寝ようね少年少女。今夜夢の中で遊ぼうね。ビアードパパのシュークリームに埋もれながら、アンデルセン童話のつづきを読もうね。


眠れない夜のための詩を、そっとつくります。