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実家の自室で言葉を綴る

雨と流行病のおかげで、実家に軟禁状態が続いている。
2日で少し痩せた。This is 実家ダイエット。

外に出たい。友達に会いたい。雨がやまない。

不意に、米津玄師は実家の自室で絵を描いていたという話を思い出し、私も実家の自室で小説を書いてみた。だからといって米津玄師にはなれない。夢ならばどれほどよかったでしょう。私は玄米よりパンが好き。

半ば物置と化した部屋で、蹲るようにして言葉を綴った。雨音と、時折屋根に止まる鳥の羽音。

休職中に夏の短編を書きたかった。けれど物語を書き上げるには精神力が要る。心が不安定な今、何かを創作することは荒療治だった。でも荒くても、大切な治療だった。救いだった。

会いたいひとがいるのに気軽に会えないのがもどかしい。悔しい。かなしい。つらい。

前、東京で若者が路上飲みしているのを見て愕然とした。私の親は一年以上外食をしていない。過剰なほど敏感に自粛をしている。帰省と旅行はしないでください。でも出勤はしてください。オリンピックはやります。自粛してください。ひとと会わないでください。おかしいのは誰だ。何なんだ一体。落ち着け。私も落ち着くから。

線香の匂い。話したことのないおじいちゃんの遺影。何かわからない賞状。家族の誰とも似ていなくて、本当にうちの子?と冗談を言われた時は、きっとおじいちゃんに似ているんだと思うことで心を守ってきた。帰省の度に話しかけるけれど、一度も声を聞いたことはない。聞こえたら嬉しさと怖さ、どちらが勝つだろう。フィフティーフィフティー。

ずっと何かに怯えている。ゆるやかな動悸がずっと続いている。人間不信をこじらせているけれど、人間が好きだ。好きだーと思うひとの話を聴いていたい。好きだーと思うひとのことを信じていたい。心を晴らしたい。明日天気になあれ。あるいは転機に。強がってばかり。ほんとは傷つきたくなかったな。

でも不幸に沈んでいたくない。置かれた状況を嘆く人生は好きじゃない。嘆きもしたくなるけれど。幸せを見つける心の感度を高く持っていたい。幸せ。今日は何があったかな。さっき剥いて食べた桃は美味しかった。

気づけば8月も折り返し。
愕然としちゃいますね。
夏は死に急ぎすぎですね。
同じ匂いがします、だから好きです。
私はもう少し生きますが。


おやすみなさい。ミン。

眠れない夜のための詩を、そっとつくります。