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定年後のシャッター


ガラガラガラ……閉店。お店のシャッターが下りる。
昭和の路傍のシャッターに書かれてた定型文は「駐車禁止」「駐車お断り」など。

それが変わってきたのは、いつからでしょうか。


シャッターは情報源

アーケード商店街のお店は車が通りません。
なので駐車禁止と書いてあるのは少ないかも。
都市により例外もありますが。


「シャッターが閉まっている」
とは、
「本日お休みです」「もう閉店しました」
など、あいにくの営業時間外のお知らせ。

シャッターには、お店の名前・営業時間・電話番号・定休日などが書かれています。
さりげなくイラストも入ってたり。


いままで知らなかった、お店のキャッチフレーズも。
通りすぎるまでの30秒コマーシャルとドラマ。

「日本最古の加琲店」
創業元治元年


シャッターは、お店が閉まっている時間の広報担当ですね。
お疲れさまです。


シャッターの定年退職

ところが閉業してしまうと、シャッターは下りたまま。
お知らせの貼り紙がペタン。
「閉店のお知らせ…」
永年の感謝の言葉とひきかえに、二度とシャッターは上がらないと知る。


いつの間にか塗料はげて、鉄サビで変色。
閉ざされたシャッターの向こうには、商品も人も空っぽに。
シャッターは定年退職後すれど年金はない。

シャッターのまわりの空間は、だんだん暗くなります。
まるで人生……



シャッター商店街

「シャッター商店街」とは、シャッターが閉まったままの店舗が多い商店街。
天井てんじょうがある商店街は、アーケードが影を落とし、
うつむいたシャッターが並びます。
ここは、廃墟?


寂れた商店街。アーケードの下は薄暗くて、通る人もまばら。
買い物や、ちょっとした会話の散歩道にもならず、人は離れていくばかり。
商店街の防犯対策も必要だ。

看板にゆずる
「いらっしゃいませ」


そこでいつの頃からか、シャッターがカラフルなキャンパスに変身しました。
広報担当、第二の人生がやってきた。


シャッター第二の人生

商店街が明るく、通るだけでも楽しい。
誰が最初に考えたのでしょう?
もちろん現在営業中のお店も、シャッターを、お色直ししています。

10時開店


みんなで歩こう



シャッター・アート

ちまちま描くより、ドーンと大きく。
白地に鮮やかな色。見て見て、ウキウキ、ワクワク、いいですね。


いつの間にか描かれていたイラスト。
描いた人は、きっと夜間に、すこしづつすこしずつ。深夜のお仕事。
再就職のお話し。書いた人も嬉しいね。
再雇用。シャッターはビックリしたでしょうね。

まずは、真っ白に。これだけでも明るく、巨大なキャンパスができた。
さらに、サビを消したり、デコボコを整えたり。
かさぶた取れた。痛みも取れた。
まだ働ける!


絵の部分が増えてゆく。となりのシャッターも復活だ。
動物・食べもの・雑貨……
むかしの業種と関係ない。なんでもOK! 転職したみたい。

お寿司にゃん


最近はベンチや椅子が、ふたたび置かれていて嬉しい。
一時期は、縄を張って座れなかったり、撤去されてましたから。
おめかし商店街。ちょっと派手なのも新鮮。

「これ以上、イタズラできないぞ。
動かしたり、持っていくと即ワカルよ」

シャッターは商店街の見まわり・防犯担当に。
これからはタバコのポイ捨て防止・火の用心。
やることがいっぱいだね。
よかったね。

暗い町とみんなの心が、すこしでも明るくなってくれたらいいな。

ワッフル美味しそう


これから、寒くなる。
そこの喫茶店でホットコーヒー飲んでいこか。


テーブル席、空いてる!


あれっ、シャッターだった……!



毎週水曜日は
「たてものエッセイの日」



いつも こころにうるおいを。
水分補給も わすれずに。

最後までお読みくださり、
ありがとうございます。

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