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この家どうするの? (11)老いらくの恋
バブル時代も泡が消えるように飛んでいってしまった。じぶんの美貌も終わったような気持ちに。
バブル前から父の恋人がいたのだが気配はない。どうでもいいことだが癖のある女性だった。
父の恋人
独身の父なので、恋愛は自由です。
気楽な隠居生活のスパイスも必要かもしれない。
ある時から、わたしが高校を卒業した頃からか……
父は社交ダンスの帰りに「服」を家に持って帰ってくるようになった。
父がわたしに買ったものではなく、要らない服・古着の類。
「貰ったんや」と言う父……
リサイクルや、ボランティアなる言葉はあったのだと思うが、そんな活動をしている女性がくれるのらしい……
父子家庭
いままで父から服やプレゼント品など貰ったことがない。誕生日すら。
毎月のお小遣いだけしかくれなかった。
「住むところは子どもに提供している」
連れ子だった父は、暮らせる家に執着があった。
しかし、それ以上の想像力や女の子に配慮もなかった。離婚もしているくらいだし。
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父子家庭でも、料理を作ったり子どもにそれなりの愛情がある親もいるのだが。
「生活費(食費)は、おばあさんに渡している」
高校生の頃、いつも言われた。わたしが、いろいろと買いたいものがあるので父にお金を貰おうとした時に。
父は親として責任を果たしているつもり。しかし食費だけで、暮らせるわけがない。食費が生活費と思っていた。じぶんの母親が生活費を払っていたのだから。
父は、そんなことすら知らないのだった。
小遣いは、オシャレな服や好きなものまで買ったりする額ではなかった。わたしは、早く働いてお金が欲しかった。
なので、働いてお金が入ると収入は全て自身のために遣った。
バブル時代もやってきて、わたしは消費だけが趣味だった。
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お礼を言わせる父
父が勝手に、リサイクル服を貰ってくるのはいい。
祖母も、いろいろ使いまわしや工夫をしたり、始末は常だった。
そんな「モノを大切に世代」
不用品を捨てられず「母親のいない娘さん」に、と言う気持ちはワカル。
毎回の父のセリフ。
「Aさんに服を貰った。電話でお礼を言ってくれ」
あれほど祖母に生活の面倒をみさせ、叔母に晩ごはんのおかずを頼ったりしてたのに「ありがとう」の一言すら、なかった父。
わたしにも、
「人に何かしてもらったら、ありがとうを言え」なんて言われたこともなし。わたしは、無作法で非常識な人間になってしまっていた。
娘に電話でお礼を言わせる。強制。
「Aさんに、お礼を言わないとアカンねん」
今さら何だ。世間体?
じぶんや娘の躾を反省しているようではない。
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面倒だった。世の中には、いろんな人がいる。
仕方ないので電話口でお礼を言う。
「あらぁ~、服を着て頂戴ねぇ~、
本も、お父さんに渡したから読んでねぇ。情緒ある娘さんになるように。
アタシも、子どもを背負って国家試験の勉強したのよぉ~……」
話が長い。毎度そっちの自慢話になる。結局、これなのだ。
自然な気持ちで人に親切にする人もいれば、お礼を言わせるのが趣味のような人も。じぶんの話がしたいだけの人も。
電話口の語尾を伸ばす甘い声。毎回こうなのだ。
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人から服をもらうのは、ありがたい。お礼を言うのは当たり前。
しかし、わたしは父に買ってもらったほうが、どんなに嬉しかったか。
それこそ喜んでお礼も言って、家事も完璧にこなしたかもしれない。
父の付き合う人に興味はないが、
老いらくの恋とやらに声の出演させられる。
妙なプレゼントは断って欲しかった。
その後、声の出演だけではすまなくなったのだ……
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「親の持ち家」の日
いつも こころに うるおいを。
水分補給も わすれずに。
最後までお読みくださり、
ありがとうございます。
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