この家どうするの?(30)葬儀屋さん今昔・6「火葬待機」
真夜中の電話。次に問い合わせた葬儀屋さんは若い女性。じぶんの娘くらいの年齢。事業の継承とはいえ仕事は、たいへんだ。
【葬儀社編】つらいかたは、お読みにならないでください。
(1490文字)
ネットニュース火葬場不足
次の葬儀者さんに問い合わせする前に、どうも気になったことがあります。
◆首都圏で深刻な火葬場不足
◆すぐ火葬できない事態に
ネットニュースで見たのですが……。さすがにお茶の間のテレビでは放送できない内容ですね。数日は自宅待機ならぬ、火葬待機とか。
首都圏? 関西も?……。
火葬待機なら
わたしは父の預金通帳と年金手帳を探さないといけない。
もし「火葬待機」なら、家で父に横になっててもらわないと。
父の居場所は1階の仏間。父は足腰も衰え、ほぼ1階で生活していた。たぶん貴重品は2階のどこか。
だから1階で待っていて in the 棺桶。
もしこれが、なかよし親子なら涙にくれ、棺桶によりそい捜索どころではないだろう。否、なかよし親子なら通帳や保険関係の保管場所は把握している。
他人みたいな親子だった……わたしたち。父に聞いても答えなし。捜索は滝汗必至。
家での安置は、こわすぎる。わたしひとりで大捜索。どうも安らかに置いとけない状況だ。
「火葬待機」の場合、葬儀者さんに頼んで父をプチ家出させてもらおう。
つめたい娘のわたしであるが、仕方があるまい。次の葬儀者さん「お葬式専門B社」に置いてもらえるか、場所があるのか聞かねば……。
あせって直ぐに決めるより、聞くだけ聞いてから。親戚づきあいもなく気楽なのだから。安くてじぶんがラクな位置で進めよう。
お葬式専門B社
2社めの電話。なんと、娘のような年代の女性が出てきた。
「あんた、夜中やで。早く家に帰りや」と言いかけた。
先ほどの大手葬祭さんも若い男性だった。24時間体制の業界。もちろん女性も働いているのですね。
こちらの要望は2つ
・監察医事務所まで迎えは可能か?
・火葬までの期間、安置可能か?
親を自宅に迎えない冷たい娘。問い合わせとはいえ、会ったこともない若い女性に言うのもなんですが……。
やや事務的な対応がきこえる。
「可能ですが、そちらの最寄りの当社の使用会場は△△町です」
△△町……同じ区内だが、徒歩では無理。自転車なら行ける距離。葬儀関係だからか、あまり使用されない遠くの町会……集会所。
自社会館ではない。集会所ならオットの両親とおなじ。
通常のお葬式のみ自社会館。そりゃそうか。
町会の集会所。常駐なし。何かあったら心配だ。火葬待機とすれば、夕方は五時までとか、ドライアイスを取り替えとか、いろいろ、いろいろ……。
火葬待機からの火葬難民。
この金額プラス
お葬式専門B社「直葬じたいは17万です」
「ありがとうございます。親戚と相談しますので、いったん失礼します」
親戚はいないが、決まり文句で通話終了。
いや17万で、すむはずはない。
お迎え・会館使用料・待機費用は、出たとこ勝負。
しかし遠い会館は不便。おまけに現時点では、いつ監察医事務所から連絡が来るのか、火葬場もわからない。
わたしは火葬の帰り、骨壺を自転車の前カゴに入れて帰ることになるのだろうか……。
なんだかなぁ……。
ゆらぐ直葬、家族葬。
せこいこと考えるとキリがない。
電話が鳴った。
お葬式専門B社から。
なんだろう?
「あのっ……上司が言うには、
今なら、20%割り引きしますので」
なんやて……そんなん、
自動車の販売やないか!
(不謹慎ながら続きます)
いつも こころに うるおいを
水分補給も わすれずに
さいごまでお読みくださり
ありがとうございます。
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