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シンママの娘(29) 最終回・家族とは

「名義変更しなくても、よかったな」
娘の結婚。22歳から名字が変わり、24歳で戻りました。
今では、笑い話になっています。


協議離婚調停

生きるのに、お金は必要。しかし財産分与も、へったくれもなく……
結婚のお祝い金は、旦那さまが親戚に全額返金でナシということになった。



生活力もない妻子に、なんということを。
現実は、そんなもんだろう。結婚生活の長さに関係なく。
娘は、お金では悔しい思いをしていた。
調停員さんが「解決金」という名目で、お金をもらうことを提案。
これは、旦那さまは了承したそうです。
なぜだかは、娘にもわかりません。


養育費の振り込み

養育費。娘の口座に振り込み決定。旦那さまから、振込料の安い銀行を指定されたらしい……。


養育費は、孫が成人するまで。
何かあった時、節目や病気、事故などには話し合いのうえ……ウンヌン。
きっと自分で払わず、義父母がお金を出したり振込するのだろうと、娘もわたしも思ったのでした。



月にいちどの面会

親子の面会。どうも面会という言葉に違和感がある。もっと、ほかに愛のある言葉はないのか……と思ってしまいます。


よく耳にする面会交流。
離婚をすると、現実的にシングルマザーは生活に必死。子どものことは、お留守になりがち。


わたしの両親は離婚組。父子家庭になったが、父親が生活にお金がいくら必要かは、全くわからなかった。
ひとり暮らしの経験もなく、すべて母親に頼りきっていた。
だから娘の旦那さまが、娘に現金を渡さず、育児に協力せず、実家に入り浸り体質なのは、なんとなくだが想像できたのだ。


これが男性のすべてではない。若い時から、苦労や自立の人生を歩んでいる人もいます。男女関係なく。
「男だから、女だから忍耐強いはず」なワケもなし。


一歳半の孫娘は、両親に何を思うのか。
これから、何もなかったように辻褄つじつまを会わせるのは孫娘なのだ。
もとから父親の顔を、ほぼ見ていない孫娘。
それなのに、ある日「パパ」という言葉を発した。
道行く背格好の似ている男性を見るや指さして……。
わたしも娘も、何て返したらいいかわからず知らんぷりをしてしまった。


……孫娘は、これ以上の言葉は出さなかった。
(……ママとババが青い顔。言ってはいけないことだ……)
幼い子に、辻褄を合わさせてしまった。
なかったことにしてしまった。
かつて自分がしたように。



月に一度の「面会」
旦那さまは、自分の父母と一緒に会うと言ったそうだ。
そんなことじゃなくて……調停員さんの目が、テンになっていたらしい。
白目になっていたかもしれません。


気を遣うのは誰だろう。
そして、これが家族のかたちと思うのは、誰なんだろう。


調書(成立)



白い紙・二枚に淡々と綴られた文字。


これで離婚調停は終了しました。
「スッとした」娘の第一声。

それから娘は
離婚届を出しに区役所へ。
なぜかカップルが多い……

11月22日
きょうは「いい夫婦」の日であった。


娘が笑った。

シングルマザー シンママの娘の。



- END -



ありがとう

◆「シンママの娘」 あとがき◆

最終回まで、お読みくださり
ほんとうにありがとうございます。

2022年6月に書きはじめ、
7月より毎週金曜日に連載開始。
6か月に渡り書き続けてこれたのは、皆さまのおかげです。

シンママの娘の人生は、これから。

離婚前に、孫の1歳半健診があったのです。娘は、いつどこに通知が来たかすら、わかりませんでした。
実際バタバタして健診を受けた時には孫は2歳になっていました……。

本作「シンママの娘」は娘の承諾なしでは書けませんでした。
娘よ、嫌なことばかり聞いてごめんなさい。そして、ありがとう。

孫も大きくなったら読むかもしれない。なので「○○ハラスメント」という言葉を出さず使わず書きました。

いつか娘が「シンママ」のお話を書いてくれたら……

それを楽しみに筆をおきます。
   2023年1月   藤井 靜子

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