山村若静紀

日本舞踊家。東京と大阪に稽古場があります。本名の堀口初音として、著書に『上方伝統芸能あ…

山村若静紀

日本舞踊家。東京と大阪に稽古場があります。本名の堀口初音として、著書に『上方伝統芸能あんない』(創元社)、『決定版!魔法の「15分着つけ」』(プレジデント社)。ご体験・ご入門、イベント出演依頼はお気軽に info@wakashizuki.jp までお問い合わせください。

最近の記事

オンライン稽古④

前回の投稿から、またずいぶん時間が経ってしまいました。 すっかりニューノーマル、新型コロナウィルスとの共存が普通の生活になりました。 これからどのくらい続くのか、先がまだ見えないことにも驚くばかりです。 舞のお稽古は、おかげさまで対面も復活し、対面のみに戻られた方、引き続きオンラインのみの方、ご都合にあわせて対面とオンラインを併用される方、とそれぞれよい方法に落ち着きました。 やはり対面もオンラインもどちらもメリットとデメリットがありますので、自由に選択できるようになった

    • オンライン稽古③

      対面の稽古より、オンラインのほうが優れていることもあるのは発見でした。 ひとつは、お弟子さんが受け取る情報量がオンラインだと圧倒的に少ないので、逆にわかりやすいと思っていただけるところです。 また、これは当たり前のことですが、移動に時間がかからない、という利点があります。 お仕事や家事の空き時間に稽古を受けられるので、いつもなら月2回が限度という方も、オンラインでの稽古は回数を増やしておられました。 オンラインでは実験的に、お月謝を定額制で受け放題にしたこともあり、ほとん

      • オンライン稽古②

        オンラインで舞の稽古をはじめるにあたり、もっとも大切だと思ったのは、お弟子さんの不安と不快を徹底して取りのぞく、ということでした。 そうでなくても世間には不穏な空気が蔓延しています。 舞の稽古方法が変化することによって、わずらわしくなったり、気後れしたり、お弟子さんがそんな気持ちになるのは絶対に避けたい。 できれば稽古することで、鬱々とした気分が晴れ、外出自粛による運動不足解消などにも役立てれば、オンラインで稽古を続ける意義があるのではないかと思いました。 また、この時点で

        • オンライン稽古①

          前回の投稿から3か月、すっかり世の中が変わってしまいました。 まさかこのような事態になるとは、当たり前だと思っていた日常のはかなさに驚くばかりです。 3月の中旬から、海外のロックダウンのニュースや国内のイベント自粛のお知らせを耳にして、これからしばらくは今までのような対面での稽古が難しくなると思い、何かよい方法がないか考えていました。 そんなとき、仲良しの大学教授の方から教えていただいたのが、今やお馴染みのオンライン会議システム「zoom」です。 伝統芸能の稽古にどこまで使

        オンライン稽古④

          ほぼ毎日きもの生活をはじめて18年

          ふと思いたって、2002年から、きもの生活をはじめました。 舞の稽古を毎日するので、洋服から何度も着替えるのが面倒に思ったのと、30代に入り今まで着ていた洋服がなんだかしっくり来なくなってきたのと、きものが増えてきて収納に困り出したのと…そんなところが理由です。 現代にきものだけで暮らせるのか実験したい気持ちもあって、眠るときのパジャマ以外はずーっときものを着て半年間。結果、思いのほか困らなかったので、この時点で持っていた洋服のほとんどを処分しました。 きもの生活は困ら

          ほぼ毎日きもの生活をはじめて18年

          稽古場でのふるまい

          芸事は「礼に始まり、礼に終わる」と言われるように、ご入門の方にはご挨拶の仕方からお伝えいたします。 稽古場に入ると、まず師匠に「こんにちは。よろしくお願いいたします」と座って手をついてご挨拶。師匠が他のお弟子さんの稽古中なら、気づいていただくか、キリのよいところまでお待ちします。 師匠へのご挨拶が終わってから、待ち合いにいらっしゃる同門の方にご挨拶。それからはご自分の順番がまわってくるまで、お茶を飲んでくつろいだり、洋服でお越しの場合は浴衣に着替えたり。和気藹々と過ごしま

          稽古場でのふるまい

          舞と踊りの違い

          「日本舞踊」は明治にできた新しい言葉で、それまでは「舞」と「踊り」が別々に存在し、発展していました。 「舞」は上方のお座敷でうまれ、能や文楽と縁が深いです。商家や花街のお座敷で舞われますので、埃をたてないよう動きが制約されています。そのため、恋愛の喜びや嫉妬など、名もなき女性の心情を表現することに長けています。 「踊り」は江戸を中心に発展しました。歌舞伎の舞踊部分だけを取り出したものがはじまりなので、大きな劇場で踊られることが前提になっています。特定の役柄やストーリーがあ

          舞と踊りの違い

          名残りの梅

          今年はまだ梅柄を着ていなかったことを思い出して、あわてて塩瀬の梅の名古屋帯を締めました。 きものは季節の先どりをするのが基本なので、すでに実際は盛りをすぎた梅の柄を着るのは遅いかもしれないのですが、まぁ2月いっぱいならいいかなと。 気の張る席に出ない日は、季節感もざっくりと。名残りの梅を楽しむという気持ちです。 ただなぜか桜の柄に限っては、咲きはじめると着ようという気がなくなります。見事な本物の桜に対して遠慮する気持ちにもなるのかもしれません。桜にはやっぱり特別な思いを

          名残りの梅

          きものの補整について

          多くの着つけ教室では、タオルや市販のグッズで「体型補整」をするのが常識のようですが、私は基本的には補整はいらないのやないかなと思っています。 舞台や式典のときは鎖骨のあたりに少し脱脂綿などを入れることもありますが、ふだん補整することは、まずありません。日本舞踊家で日常的に補整してきものを着ている方は、うちの師匠をはじめ、あんまりいないようです。 着つけにかかる時間をできるだけ短縮したい。稽古では汗をかくので、余分なものを重ねたくない。ゆるゆる着ているので苦しくなく、クッシ

          きものの補整について

          きものとケンカしてみると…?

          美貌の芸妓として一世風靡された佳つ乃さんは、訪問着の肩のあたりには柄をつけず、上半身は無地になるよう呉服店にオーダーされてたそうです。 まっ白の半衿に、京好みの中間色の無地の胸もと…柄とバッティングしないので美しいお顔がいっそう際立って、それはそれは見事なきもの姿なのでした。 佳つ乃さんとはくらべることもできませんが、私自身も舞台に立つ者として、できるだけ衣装と自分がぶつからないよう心がけています。舞をご覧いただくのに、きものばっかり印象に残るのはあかんし、と思うので。

          きものとケンカしてみると…?

          紐の締めかた、帯の巻きかたを変えると、きものの着心地がよくなります

          きものを着はじめられてまだ日が浅いお弟子さん。ご自分で着るとあまりしっくりこないご様子なので、稽古のとき襦袢から着つけてさしあげました。 胸紐は交差させた背中側をしっかり締め、前のみぞおちの部分はゆるく。腰紐はゆるまないよう、後ろも前もかなりきつめに。 帯を巻くときは、下の折られてる輪の部分をきつく、上のみぞおちのところは隙間を空けて。 きものを着ていて苦しいのは、みぞおちのあたりを締め過ぎているのが原因であることがほとんどなので、襦袢の胸紐(伊達締めで代用も可)ときも

          紐の締めかた、帯の巻きかたを変えると、きものの着心地がよくなります

          きもので移動するときは「観劇枕」

          月に2回、大阪へ出稽古です。 10年以上新幹線を使ってましたが、飛行機大好きだったのを思い出し、昨年から空路です。 荷物をできるだけ少なくしたいので、移動はきもののままが多いです。ゆるゆるに着つけてると洋服よりしんどいということはないのですが、帯枕の厚みがあるので、座席にもたれると腰に負担がかかるのが唯一の困った点でした。 ところが数年前にこれを見つけてから、きものでの移動がまったく苦にならなくなりました。 これです!もっとも信頼してる和装小物メーカー、あずま姿さんの

          きもので移動するときは「観劇枕」

          打ち合わせとウールのコート

          今日の午前中は舞の稽古をして、午後からは小唄のお師匠さんと打ち合わせでした。 小唄と舞の会をやりましょうとのお話。伝統芸能の愛好者が少なくなってきている昨今、実演家どうしが協力し合って横のつながりを強めていかなあかんなぁ、と常々思っているので、こういうお声掛けをいただくのは、ほんまに嬉しくて。 空に羽ばたくようなイベントに!という気持ちを込めて、雲柄の大島のきものに、鳥の織り帯。上着にウールのコートを羽織っていたらとても暑くて、袷の道中着にすればよかったと反省。暖冬は着る

          打ち合わせとウールのコート

          はじめまして

          日本舞踊家の山村若静紀です。 舞のこと、きもののことなど書いていこうと思います。 どうぞよろしくお願いいたします。

          はじめまして