ほぼ毎日きもの生活をはじめて18年

ふと思いたって、2002年から、きもの生活をはじめました。

舞の稽古を毎日するので、洋服から何度も着替えるのが面倒に思ったのと、30代に入り今まで着ていた洋服がなんだかしっくり来なくなってきたのと、きものが増えてきて収納に困り出したのと…そんなところが理由です。

現代にきものだけで暮らせるのか実験したい気持ちもあって、眠るときのパジャマ以外はずーっときものを着て半年間。結果、思いのほか困らなかったので、この時点で持っていた洋服のほとんどを処分しました。

きもの生活は困らないどころか、たくさんのメリットがありました。

いちばん良かったのは、きものは基本のかたちが決まっているので、システム化してしまうとあれこれ考えなくてもよいということ。洋服だと、アイテム毎の組み合わせ・アクセサリーや小物の有無・自分の体型・流行・シルエットを邪魔しないための下着など、選択のポイントが多いように思います。忙しい毎日で、服装について考える時間が少ないのは、とても便利なことでした。

それから、からだが整うところも。からだを中心に布を巻きつけていくわけですから、体幹を常に意識することが出来、姿勢がしゃんとします。また、お腹まわりに布が何枚も重なりますので、冷え防止に。女性のきものには脇の下に「身八つ口」とよばれる空気孔がありますので、通気性もばっちりです。温度差にも強く、洋服用の下着やゴムの部分で締めつけないので、解放されている感覚もあります。これはゆるゆるの着つけであることが前提ですが…。

また、収納が本当に楽になりました。きものは畳むと平らになるので、かさ張りません。洋服ときもののどちらも持つのは、相当なスペースが必要だと思いました。

服飾費が安くなったのは意外でした。流行を追わなくなり、体型や年齢の変化にも対応できるので、新しく買う必要がありません。きものは用途別に数種類あればよいので、初期費用はかかりますが(いただきものがあればそれも不要)、最近はちょっとした小物類を買い足す程度。毎年の服飾費はびっくりされるほど少ないです。

そして仕事上のメリットも。いつもきものを着ているので人さまに覚えていただけるし、見知らぬ方からもなんとなく親切にしていただける機会が増えるような気がしています。

もちろんきものが向かない場面もいくつかあります。温泉や病院、スポーツジムなど、出先で着脱するとき。ものすごーく急いでいるとき。掃除や何かのお手伝いに伺うとき。これらのときのために、趣味でランニングをはじめたこともあり、スポーツウエアを導入しました。現在は、きもの、パジャマ、スポーツウエアの三本立てで生活しています。

きもので暮らしていると「優雅ですね」と言われることがありますが、実は逆。アップル創始者の故スティーブ・ジョブズ氏がいつも同じ服装だったように、同じかたちのものを常に着ると決めると、本当に面倒でなく楽だと感じます。

多湿で寒暖差がある日本の風土に合い、からだを整え、あらゆる体型や年齢の方に似合う…合理的で快適なきもの。職業やライフスタイルなどで、すべての方にきもの生活が向くわけではないとは思うのですが、忙しくて面倒くさがりの私でも18年間続いていますので、ご興味のある方はぜひ試してみられては。こちらでもおいおい日常きもの用の下着やお手入れの工夫について書いてまいります。




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