見出し画像

雨の降る夜には

#夜の雨
 多くの心がこんがらがって、他人と自分との関係性がとても面倒に思える時もあるよね。
連なる無限の糸のように複雑でいて、そのひとつひとつが細ければ細い程そいつを解いてゆくのが難しい。
 ほら、そんなにも細くて引っ張ったら切れてしまいそうな糸なら、いらない物を選んで切ってしまえばいいだろ?とか、大切に繋がりを持つ太くて切り難い紐のようになった物だけを残してさ。
そんな至極あたり前な言葉がたくさん聞こえて来る。

 それでも大切に育っていったその太くて切れない紐のような関係性も、よく見てみれば細い糸が美しく丁寧に規則正しく編み込まれた物だし、何よりどこかから聞こえてくる切ってしまえば良い、なんてアドバイスはとても身勝手ではあるけれど、そんな言葉だってもしかしたら僕に繋がるまだ細いかもしれないが、優しさに連なる糸なのかもしれない。

 ところで今夜の雨はなんだか憂鬱だ。
生きて行くことに大切な雨はあるよ。
それは植物にとっても僕らにとっても同じで、干からびた砂漠のような心に降る雨ならば、あるいは待ち望んでいたように両手を広げ、大きな口を天空に開き、そいつを吸収するだろう。
 だけど雨なんか降らなくても心から溢れ出てくる悲しみは、頬をつたう大粒の涙みたいに切なくて悲しくてさ、きっともう吸収出来なくなってしまったスポンジに切ない雨が降り注いでいるようだ。

 全て愛せと人が言う
 愛とは何かと人が問う
 
 そう、そんな答えの価値はどれくらいで、多くの人が演出する人生というゲームにこんがらがって、無限連鎖するこんがらがった細い糸で出来たクモの巣にひっかかり前に進む事が出来ない夜もあるよ。
 人それぞれに許容可能な悲しみや、空から降り注ぐ水分を吸い込める量も、その時の気分も違うだろう。

 前を向いて歩く事、優しく生きて行く事、他人を傷つけない事、信じる事、裏切らない事、正直である事、悪口を言わない、清く正しく美しく。
わかったわかったもう充分だよ。
そんな事は言われなくてもよくわかってるってば。
どこかのたくさんいる誰かさんみたいに、傷ついたらすぐに絡み付いた糸を切り、SNSだのなんだので怒りを表して誰かに同情を求められれば楽なのだろ?

 それでもそれが出来ない僕らはこうして雨の夜に矛盾に従順な自分にこんがらがって泣いている。
だからそんな夜に降る雨はもう沢山で、だからこんな夜に降る雨は悲しいだけだ。

 同じ想いで同じ夜を過ごしている多くの顔も知らない、話した事もない誰かがきっとたくさん居て、たくさんの涙とたくさんの切ない想いがとめどなく流れ落ちて、それが僕の上に降り注ぐ雨だというのなら、両手を天に向かい広げて受け止めてあげよう。
僕らの目の前で悩ましくこんがらがっている細い糸のような物は今は忘れて、何も繋がってはいないが世界中にきっといる、きっとある心を感じて。

 真夜中だね。
 寂しがりの君、泣いている君、我慢してる君。
よく頑張ったよ、大丈夫さ。
きっと明日は晴れるから、明日も雨でもいつかは晴れるからさ。
今はたくさん泣いてしまおう。

#悩み #孤独 #糸 #縁 #悲しみ

そんな事より聞いてくれ。 君の親指が今、何かしでかそうとしているのなら、それは多分大間違いだ。きっとそれは他の人と勘違いしているに違いない。 今すぐ確認する事をお勧めするよ。 だって君と僕は友達だろ?もし、そうなら1通の手紙をくれないか?とても綺麗な押花を添えて。